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秦 基博

INTERVIEW

弾き語りの良さって聴いてる人が
いろんな余白を楽しむ余地があるのが魅力だと思う

―― まずは今回、弾き語りベストアルバムを作ろうと思った理由から訊かせてください。

「今年、“GREEN MIND”を2年ぶりに行ったことがひとつのきっかけにはなってます。弾き語りという表現自体が自分の音楽の始まりでもあるし。デビュー以降はそこに挑んできた。それをひとつのかたちにできないかな、というところから始まってますね。それでこれまでの膨大な数の弾き語りのなかから表題曲、その時々で自分の表現の顔になっていたものをまとめるのがいちばん伝わりやすいのかなと。結果的に弾き語りベストっていうものになりました。意図としては、いまデビューして8年、これから9年、10年目というところに向けて、ひとつ自分のなかでまとめておこうというのもありますね」

―― その“GREEN MIND”というのは秦さんがずっと続けてきたアコースティックライヴなんですが、デビュー後すぐに始めてますね?

「そうですね。2008年です」

―― 最初に“GREEN MIND”をやってみようと思われたきっかけは覚えてますか?

「あの当時はデビューして、1stアルバムを出して、バンドサウンドのなかでライヴを構築する機会がすごく増えていってたんですね。それで自分の表現の原点、はじまりを、そういうリリースやツアーの流れじゃないところでできたらいいよねっていうところからですね」

―― 毎年続けていくことも考えてたんですか?

「「毎年できたらいいなとは思ってました。ただ、毎回弾き語りでやるとは思ってなかったんですね。最初の年はピアノとかチェロの方とも一緒にやったので。だから自分のなかでは、翌年に本当にひとりだけで21ヵ所まわったのが大きかったんです。自分だけで2時間以上のライヴをギたなと思って。そういう意味では、飽きさせないためのアレンジの幅っていうのは、それこそライヴを通して構築していったので。それぞれの曲の色を際立たせたり、お互いの曲を引き立たせ合うために、特にミックスの方法を探していった感じですね」—— 内容としては未発表のライヴ音源と新録ター1本でやり切るっていうのは初めてだった。これはなかなか凄いことだなって、そこで挑むことになるんですよね。どういう曲順でやるべきなのか、1曲のなかでもどういうアレンジをするべきなのか。そこで弾き語りに対する捉え方が大きく変わったと思います。それまではわりと12歳で初めてギターを触わったテイストでやってきたことを、もう1回見つめ直すきっかけになりましたね」

―― 特に今年の“GREEN MIND”では何か思うことはあったんですか?

「今年は原点回帰っていうのがありました。ふらっとみんなが遊びにきてくれて、自分自身もふらっと来たような感じで成立するようなライヴをもう1回やりたいなっていうのがテーマだったんです。っていうのは、やっぱりけっこう挑んでいってたんですよ。その2008年にひとりで21ヵ 所やった翌年は野外で4ヵ所やったり、その後は宮崎でひとりでやって――」

―― その年は武道館もひとりでやって。

「そうですね。毎回新しいことにトライアルしていく場所になっていってたので。それで2013年に1回休んだんですよ。毎回チャレンジをするだけじゃなくて、そもそもなんで“GREEN MAIND”をやるのかっていうところに立ち返っていけたんです」

―― つまり、弾き語りだけでどう聴かせるかってことを、“GREEN MIND”を通じて経験して、その上での弾き語りベストになるわけですね。

「そうですね。だから今回の弾き語りベストは2009年以降のテイクから主に選んでます。それ以前の音源も入ったりはするんですけど。基本的には弾き語りについて意識を変えていった瞬間からのテイクから主に選ばれてます」

―― 今だからこそ出せる弾き語りベストなのかもしれないですね。

「アコギと歌だけで21曲2枚組を聴いてもらうにはどうすればいいかを考えました」

―― 場合によっては正直、飽きちゃうこともあると思いますから(苦笑)。

「ですよね。でも、理想はあっという間に終わったなと思って。そういう意味では、飽きさせないためのアレンジの幅っていうのは、それこそライヴを通して構築していったので。それぞれの曲の色を際立たせたり、お互いの曲を引き立たせ合うために、特にミックスの方法を探していった感じですね」

―― 内容としては未発表のライヴ音源と新録のスタジオ音源とが合わさった感じで収録されているということですが。

「ライヴミックスのようにしたものもあれば、そのなかから歌とギターの素材だけを抜いて、オーディエンスの声とかホールの響きもなくして新たにミックスしたものとか、あとは新しい響きを付け加えたりしたものもあります」

―― それがミックスの方法の部分ですね。

「そうですね。だから、ライヴ音源でもないし、スタジオレコーディングとも違う、そのへんがごちゃまぜになってます。例えば“大阪城ホールでレコーディングしたもの”のようなかたちになってる。特に『水無月』ではお客さんの手拍子とか声が入ってるのは、あえてそうしたんです。そこに聴いてくれる人のフィーリングが加わることで、どんどん自分の声も変わるんですよね。スタジオレコーディングではそうはならない。そのニュアンスがより強く反映されるのが弾き語りだとも思うんですよね」

―― それでライヴ音源を素材にしたんですね。“ベストアルバム”と呼ぶものに、お客さんの声も入れるのもあんまりない。

「ひとりでやってるんだけど、ひとりじゃないんだってことを伝えたかったんです。弾き語りの良さって聴いてる人がいろんな余白を楽しむ余地があるのが魅力だと思うし。それを『水無月』で聴いてもらいたいなと思いました」

―― いま、余白っていう言葉を聴いて、まさにバンドサウンドのほうが音が多くて情報も多いのに、その余白に弾き語りの切なさがあって。胸に迫る感じとかが増幅される、というか。

「あとは言葉のニュアンスとか倍音も含めて、逆にバンドだと聴こえない音が、息遣いも含めて聴こえますからね。ある意味バンドよりもそこに情報がいっぱいあったりする。それぞれの描ける世界っていうのが全然違うと思うんですけどね」

―― それから、この弾き語りべストはその曲そのものが持っている雰囲気をすごく大事にしてるな、と感じました。

「ミックスの方向性、つまり曲がどうあるべきかとか、どう鳴ってるかっていうのは、自分のなかで明確にあるんですね。例えば『Dear Mr. Tomorrow』はとにかく言葉を強くしたいから ドライな仕上がりにしようとか、でも『鱗(うろこ)』はもうちょっと響いてほしいな、空に抜けるような響きにしたいなとか。それをまず事前にエンジニアさんにも伝えるんです。その作業の なかで、曲の特色、自分のなかにある、ここはこう伝えたいっていうのは色濃くなっていくし、それぞれの曲のカラーが出ることで、より引き立ち合うということはあると思いますね。何よりも、曲の温度感とか、その曲に合う表現が自分のなかでどこにあるのかな? っていうのを探すのは気にしながらやりました」

―― 通常のオリジナルアルバムの場合でも、そういうエンジニアさんとのやりとりを密にやられるんですか?

「やりとりとしては変わらないですけどね。でも…これだけの曲数があるっていうのは大きいです。21曲を2枚組のアルバムにした時に、特に今回は素材がギターとアコギなので細かいニュアンスで曲が変わってしまうことがありましたね」

―― いつも以上に繊細な作業だった?

「そうですね」

―― 一言で“弾き語りベスト”と言っても、けっこう奥が深いというか、聴こえ方を細かく気にするのが秦さんらしいです。

「こっちで細かく細かくやってる作業っていうのは聴き手には関係ないですけどね(笑)。それをやることで、聴いてくれる人の受け取り方が大きく変わったりするので、そのためにやってるんですよね。聴いてくれる人は、“すごい切ないなー”とか“なんか楽しいなー”とかで十分なんですよ。でもそれを引き出すために、なんか…水面下でバタバタやってる感じですね(笑)」

―― アヒルのように(笑)。

「優雅に泳いでるように見えるけど、っていう感じですね(笑)」

INTERVIEW&TEXT:RIE HADA

PROFILE

2006年シングル「シンクロ」でメジャーデビュー。圧倒的な歌唱力と繊細なソングライティングで、「鱗(うろこ)」「アイ」などが幅広い年齢層の支持を得る。2014年は全国17公演がソールドアウトした“GREEN MIND 2014”が大盛況のうちに終えたほか、16thシングル「ダイヤローグ・モノローグ」をリリース。映画『STAND BY ME どらえもん』の主題歌となった「ひわまりの約束」がロングヒット中。

HP:http://www.office-augusta.com/hata/

NEW RELEASE

秦 基博

11.15 RENTAL
初回生産限定盤(2Blu-spec CD2):AUCL-30022〜3 ¥3,611(税抜)
※高品質CD・Blu-spec CD2仕様+三方背ケース&48Pスペシャル・ブックレット付属
通常盤(2CD):AUCL-167〜8 ¥3,241(税抜)
※初回プレスのみスリーブ仕様

 

 

 

 

TRACK LIST
【DISC 1】
①ひまわりの約束 ②青い蝶 ③初恋 ④言ノ葉 ⑤ダイアローグ・モノローグ ⑥メトロ・フィルム ⑦Halation ⑧キミ、メグル、ボク ⑨Dear Mr.Tomorrow ⑩鱗(うろこ) ⑪朝が来る前に

【DISC 2】
①Girl ②グッバイ・アイザック ③虹が消えた日 ④エンドロール ⑤フォーエバーソング ⑥シンクロ ⑦透明だった世界 ⑧僕らをつなぐもの ⑨水無月 ⑩アイ

 

TSUTAYA 予約/購入特典(抽選)

TSUTAYA MUSIC TALK presents 秦 基博 スペシャルトークイベント ご招待!

開催日:2014年12月13日(土)
集合時間:13時30分 開演時間:14時
会場:東京都渋谷某所

  • 詳細はご購入の際にお渡しする応募ハガキ、ならびに当選された際にお送りする当選状をご確認ください。

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