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ゆず

全国ツアーで育んだ新曲たちが
ついにひとつのカタチで完成

アリーナツアーも終盤に差し掛かったゆずから届けられるニューアルバム『TOWA』。
弾き語りユニットを軸にどこまでも広がっていくゆずワールドの決定版ともいえる本作。
こだわり抜いたサウンドと言葉の構築美に迫るべく、二人に話を訊いた。

COLUMN

弾き語り、バンドサウンド、EDM…
“深化”を遂げたゆずワールドの決定版

「ようやく、ですね」

インタビューが始まってすぐ、ゆずの二人のくすぐったいような笑顔がこぼれた。そこにはなんとも言えない充実感と自信と、そして何より言葉そのものへの実感が込もっていた。

ゆずのニューアルバム『TOWA』が、2016年1月13日にリリースされる。

この上ないシンプルすぎる告知文が、どうしてこんなにドラマチックに迫ってくるんだろう。少し時間を巻き戻して、この新作の成り立ちを見てみよう。

アルバムに向けて曲作りを開始したのが、だいたい2014年の6月頃だったという。

「そうですね。それからプリプロを重ねていったり、レコーディングをしたりで、1年くらいで完成しました」(北川悠仁)

つまり、2015年の6~7月頃にかけて、新作はほぼ完成していたのだ。そして予定では、ツアーの開始に合わせて秋頃にリリースされるはずだった。曲作り、プリプロ、レコーディング、リリース、ツアー…すべては順調に進んでいた。ところが突然、アルバムのリリースが1月になると発表されたのだ。一体何が起こったのかと驚いた。正直、あまりに急すぎる発表はトラブルを疑ってしまうほどだった。しかしそれは、作品をよりきちんと届けるために二人が下した決断だということがすぐにわかった。つまりこういうことだ。ツアーでアルバム収録曲の新曲をまずは披露し、その上でリリースするほうが、ゆずにとっては“あるべきコミュニケーションの姿”なのだと。そこには、8月15日と16日に地元の横浜スタジアムで行われた“弾き語りライブ「二人参客」”でつかんだ実感が大きく影響している。アルバムのリリースに先駆けて発表されたオフィシャルHPにはこんな素直な気持ちが綴られている。

「忘れられない2日間になった夏の野外ライヴ“二人参客”で、集まったみんなの熱気、一体感を全身で受けて、改めてライヴで伝わる“音楽の力”を感じました。『これから世に出て行く新曲たちを、まずはライヴでファンの皆さんに聴いてほしい』二人参客ライヴを終えて、そんな想いが自然と芽生えました」

もともとゆずにとって、新曲発表の場は路上だったのであり、そこで道行く人たちが足を止めてくれる楽曲が自分たちにとっての正解だった。それがいつの間にか、メジャーに行ってリリースがあってのツアーという順番が当たり前になってしまった。地元で二人だけの弾き語りライヴを経験する中で取り戻したかつての感覚で、路上時代とは比べ物にならないくらい大きく成長した二人が今同じことをやったらどうなるのだろう?この新しいアルバムは、作品単位としてだけではない、彼らのこれまでの活動全体から導き出された一つの答えと言えるのかもしれない。

さて、時間をインタビューした時点にもう一度戻してみよう。ようやく、と笑った後、北川はつづけた。

「横浜スタジアムのライヴのすぐ後だったんですよ。ほんとに翌日とか、それくらい。すぐにスタッフに集まってもらって、僕らの想いを伝えたんです。まずは新曲をツアーで聴いてもらいたいって。もちろん無茶なことを言っているのはわかってました。でもどうしても今回は、今は、そうするべきだと強く思いました。中には難色を示す人もいましたよね。でもまあ最終的にはとことん話し合って、そのかたちでやってみようとなったんですね。とは言え、ツアーの初日を迎えるまではものすごく不安だったんですけどね(笑)。でもライヴを重ねるうちに、今までにはない曲の伝わり方をしているのがわかったし、その土地土地によってもリアクションが違ったりして、まだツアーが全部終わったわけではないのですが、やってよかったんじゃないかなと思っています」

「アルバム制作自体は随分前から少しずつ進めていたんですけど、感覚としては夏の横浜スタジアムから始まったという感じですね。そういう意味でやはりあの2日間はとても大きかったです。まずは自分たちの音の再確認ですよね。二人でやれることは何なのか、改めてそこを知ることによって、どこへどう向かうのかがわかったような気がします」(岩沢厚治)

その彼らの新しい一歩である新作『TOWA』の印象を一言で表すなら、“深化”という言葉がぴったりだ。弾き語り、バンドサウンドのみならずEDM的要素を盛り込んだ楽曲までさらりと身にまとい、その足取りはどこまでも確かだ。楽曲によって表情はガラリと変わるが、二人のハーモニーと言葉は常にど真ん中にあってブレることはない。『LAND』『新世界』といった過去2作品が作品ごとに明確なコンセプトを打ち出したものであったのに比べ、『TOWA』が表現するものはあくまでゆずの現在地であり、これからの指標だ。そういう意味で、これまでとこれからをつなぐリンクポイントとなる作品だということが言える。

「『LAND』や『新世界』の場合はコンセプトに基づいた楽曲を持ち寄って一つのアルバムにしていったのですが、『TOWA』の場合は、パーソナルから発信されたものを合わせて、それをコンセプトに変えていったという感じですね。だからとても重要な分岐点になったというふうに感じています。コンセプチュアルなものとパーソナルなものとのバランスをとって、これからのゆずの作品のあり方みたいなものをより深化させていけるような気がしています」(北川)

先ほども触れたとおり、曲ごとのアプローチは様々で、とくに打ち込み系のトラックを使用した楽曲に思わず耳を持って行かれる。ただその中にあって、アコースティックギターのサウンドへのこだわりはいつも以上と言ってもいいくらい実に細部にわたっている。たとえばアルバム収録3曲目の「かける」では、休符を効果的に用いることによってデジタルサウンドの中でもアコギの音が抜けるように新鮮に響く効果を獲得しているし、一方で4曲目の「みそら」ではこれまでにやったことのない奏法自体にチャレンジしている。そして7曲目の「いっぱい」に至っては、オーセンティックなヒップホップ風のトラックとスリーフィンガーのアコギの響きが対等に共存している。

「スリーフィンガーとはいえ普通の弾き方ではないんですけどね。ものすごく難しいことをやるんで4日くらい寝込みましたよ(笑)。とくに僕の場合は、アコギがどのように響くのかということをより考えますから。だから打ち込みであっても、生のリズムであっても、アコギをどうするかという意識のアプローチは変わりませんね」(岩沢)

そしてもちろんサウンド面の深化だけでなく、メッセージを伝える方法も随所に工夫が凝らされている。まずは「OPENING CEREMONY」から「終わらない歌」、ここで極上のメロディとともに示されるメッセージはこのアルバム全体を包み込むような存在感がある。

「とにかく『終わらない歌』で始まるアルバムなんだということは、最初の頃からありました。音楽で国境も壁も何もかも越えて一つになるという、普遍的で、ある意味では古臭くもあるメッセージを今の時代だからこそもう一度きちんと伝えたいという部分は、アルバム全体、そしてツアーを通してありますね」(北川)

「かける」では、Aメロの一行目だけ必ず韻を踏み、サウンドと言葉が一体となった疾走感を生み出し、「みそら」ではゆったりしたメロディに一つ一つ言葉を置いて、それを重ねることで、やさしく諭すような口語と文語の中間のような独特の音楽を可能にしている。そして6曲目「た Ri ナ ぃ」においてはシンプルでストレートなロックナンバーに乗せて歌われる日常からヘアピンカーブを曲がるように社会風刺へと突き進む。

ゆずというユニットのオリジナリティはきっと、何をやっても最終的にはゆずになるというところだろう。最新のデジタルサウンドを導入しても、鋭い社会的なメッセージを込めても、ゆずの音楽はゆずとして世の中に浸透する。それはまるで良性のウィルスのように我々の体内に当たり前のように、いつのまにか存在していて、ほんの少し気持ちを楽にさせてくれる。

「やっぱり表現者である限り、オンリーワンでありたいという想いがあって。それは、まだ誰もやったことのないコンセプトを発明するとか、まだ誰も放ったことのない言葉を使うとか、そういうことだけではなくて、一音一音、一言一言の精度というか、そこを上げていくことでのオンリーワンがあるんじゃないかなと思っています」(北川)

その想いは『TOWA』というタイトルとともに、この作品の一曲一曲に結実している。

INTERVIEW&TEXT:MASAHIRO TANIOKA

NEW RELEASE

TOWA

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通常盤(CD)
SNCC-86930 2,870円(税抜)

初回限定盤 COMPLETE BOX
(CD+LIVE CD+DVD+スペシャルフォトブック)

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収録曲

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曲名 アーティスト名 再生時間 音楽配信
1. OPENING CEREMONY ゆず 00:00:36
2. 終わらない歌 [Album Version] ゆず 00:03:41
3. かける ゆず 00:04:28
4. みそら ゆず 00:05:01
5. ポケット ゆず 00:04:31
6. た Ri ナ ぃ ゆず 00:03:51
7. いっぱい ゆず 00:03:40
8. いつもの病気 ゆず 00:02:44
9. OLA!! ゆず 00:03:27
10. Interlude~Borderless Ticket~ ゆず 00:01:40
11. TOWA ゆず 00:04:05
12. 夕焼け雲 ゆず 00:04:30
13. 二人三脚 [Album Session] ゆず 00:03:48
14. 終わりの歌 ゆず 00:03:06

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TOUR INFO

LAWSON presents YUZU ARENA TOUR 2016 TOWA supported by 日本生命

2016年1月14日(木)国立代々木競技場 第一体育館
2016年1月16日(土)国立代々木競技場 第一体育館
2016年1月17日(日)国立代々木競技場 第一体育館

PROFILE

北川悠仁、岩沢厚治によって1996年3月結成。1998年6月にリリースした1stシングル「夏色」が大ヒットを記録。以降、メジャーフィールドでコンスタントに作品をリリースし、「栄光の架橋」(2004)、「雨のち晴レルヤ/守ってあげたい」(2013)など多くのヒット曲を世に放つ。フォークを出発点としながら、ロック、ポップス、クラシック、EDMからワールドミュージックまで多彩なアプローチで紡ぐ楽曲は世代を超えて愛されている。

HP:http://www.senha-yuzu.jp/
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