『劇場版 艦これ』 アニメ版「如月轟沈」の“迷走評価”から賞賛を浴びた理由

軍艦をモチーフとしたキャラクターが活躍する人気ブラウザゲーム『艦隊これくしょん-艦これ-』。

そのアニメ版が放送されたのが、2015年春のことだった。

軍艦ブームに火がつくも、アニメは「カオス」

賛否両論だった『艦隊これくしょん -艦これ-』 (C)2014 「艦これ」連合艦隊司令部

如月の轟沈が波紋を呼んだアニメ版『艦隊これくしょん -艦これ-』 (C)2014 「艦これ」連合艦隊司令部

軍艦関連書籍や模型の売上げにも貢献し、各地の港でイベントが実施されるなど空前絶後の“軍艦ブーム”を巻き起こした作品のアニメ化に、ファンからの期待の声は非常に大きかったが、放送を重ねるにつれ、次第に失望や困惑の声が多く聞かれるようになった。

その最大の原因とも指摘されているのが、物語内での日常要素とシリアス要素のアンバランスである。

特に、駆逐艦「如月」が序盤の戦闘で突如として轟沈したにも関わらず、物語はほのぼの系の日常エピソードを織り交ぜながら、世界観の核心に迫ることなく最終話を迎え、全編を通し如月轟沈の意味が見出せぬままであったことに困惑の声が集中。

結果として、「シナリオがカオス」との評価が多数に上り、最終回終了後に続編製作決定のアナウンスがなされても、期待の声より不安の声の方が大きく聞かれる事態となっていた。

>【賛否両論】アニメ版第2期『艦これ』の展開どうなる(2015年6月17日)

そして、1年半にも及ぶ期間を経て11月26日『劇場版艦これ』が公開、大方の予想を大きく裏切り、本作品への評価の声が日に日に高まっているのだ。

ようやく見えた『艦これ』世界観の核心

これまでの経緯から、期待よりも不安を抱いて劇場に足を運んだという人も多かったようだが、実際に鑑賞した人からは「観に行って本当によかった」との声が多く聞かれている。

というのも、劇場版では作品の世界観の核心である「深海棲艦」の正体や、キャラクターたちにとっての戦いの意味、そして何よりここへ来て如月が物語の中で沈んだ意味がようやく明らかになってくるからだ。

この劇場版での展開が、当初から予定されていたものだったのか、アニメへの反響を受けての軌道修正だったのかは定かではないが、とにかく、アニメ版を見てモヤモヤとした想いを抱えていたファンにとってはこの劇場版が待ちに待った「解」であることは間違いない。

エンディング曲「帰還」も必聴

シナリオ自体ももちろんだが、自分の好きなキャラクターの活躍をスクリーンで見たいという人のニーズにも、アニメ版から格段にレベルアップした戦闘描写でしっかりと応えている本作品。

そんなこの映画に欠かすことのできないもう一つの重要要素が、西沢幸奏によるエンディング曲「帰還」である。

「帰還」

帰還

アニメでもエンディングを担当していた西沢だったが、劇場版でも抜群の歌唱力を発揮し、ラストに流れるこの「帰還」こそが映画のテーマにさらなる深みを与えている。もはや『艦これ』にとどまらず、その原点である「軍艦そのものの哀しい歴史」に重なるこの曲が、観る者の心を震わせ、物語の意味の何よりの解となっているのである。

クライマックスで主人公・吹雪が体験する、哀しみと希望との邂逅の物語。それはそのまま、エンターテインメントとして生み直された『艦これ』と、歴史上の悲劇との邂逅でもあるのかもしれない。

(文:小林三笠)

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