日本の食、街、人が海外から注目の的! 映画で見るクールジャパン5本

(C)Igor Normann

2020年の東京オリンピックを控え、日本への注目が集まっている昨今。それは映画界も然り。日本映画としては黒澤明監督や小津安二郎監督人気は以前からあった。しかし2003年公開の『ロスト・イン・トランスレーション』を皮切りに、日本自体やカルチャーを題材にした作品、日本人が活躍している作品が増え、海外で評価を集めている。特に2013年はその豊作年!

代官山 蔦屋書店のシネマコンシェルジュ冨丘紗里氏に、海外から評価されている5作品をピックアップしてもらい、見どころとともに紹介してもらった。

映画のプロが選んだ、クールジャパンな作品5選

世界が注目する食

2011年にアメリカで大ヒットし、2013年に日本でもロングランを記録したドキュメンタリー映画の話題作。寿司店「すきやばし次郎」で寿司道を探求し続ける85歳の寿司職人・小野二郎、伝説的存在の父を追う長男・禎一。二人を中心とした寿司職人たちの姿を、フィリップ・グラスによるクラシック音楽に乗せて追う。 メガホンをとるのは、有名なテレビドキュメンタリー制作者を父を持つ、若手監督デヴィッド・ゲルブ。 「寿司という題材は日本人にはない着眼点。監督が、寿司に対して侍道に通じるスピリットを感じているのが伝わってきます。例えば、寿司を握るためは10年間皿洗いをしないといけない、女性は体温が高いから寿司職人には向かない、人によって味が変わるとか。寿司は海外でも浸透していますが、本物を知る機会がなかなかなかった。日本では自国のものが海外にどう見られているかが分かる。そういう意味で、国内外で評価されたんでしょうね」

世界がアツい視線を送る街

上京して何もかもうまくいかない女が存在価値を見つけるまでを描く『インテリア・デザイン』(フランス人監督ミシェル・ゴンドリー)、”マンホールの怪人”が『ゴジラ』のBGMと共に東京で次々と人に危害を加えていく『メルド』(フランス人監督レオス・カラックス)、引きこもり男が外の世界で衝撃の事実に気づく『シェイキング東京』(韓国人監督ポン・ジュノ)の短編3作品を収録したオムニバス映画。 「『インテリア・デザイン』『シェイキング東京』では、孤独、引きこもり…と都会ならではの空虚感、『メルド』には、雑多で汚いけれど離れられない…という東京の街の引力みたいなものが描かれています。海外の人が抱く東京の印象をベースにして作った、ある意味”東京のファンタジー”です。日本、特に東京が海外からどう見られているかが分かっておもしろいです」

海外で活躍する日本人

海外でジャーナリストとして活躍し、ニューヨークを拠点に制作活動を続ける佐々木芽生監督が出会った老夫婦の姿を追う。夫ハーブ、妻ドロシーは、ともに現代アートの収集家。増えすぎた作品を美術館に寄贈するまでを描くドキュメンタリーだ。 「監督はお二人とずっと一緒に過ごして、ひたすらにカメラを回すんです。自主製作映画で上映予定もなかったのですが、現地で評価され、日本での凱旋上映でもロングランヒットを記録しました。海外で制作活動をして、成功している日本人がいる。同じ国の人間としてうれしいですよね」

主人公は、ニューヨーク在住40年の日本人アーティストの老夫婦。アメリカ人のザッカリー・ハインザーリング監督が二人の日常を追う。夫は、手にグローブを巻いてライブペインティングをする現代芸術家・篠原有司男。妻はキューティーという自身の分身となるヒロインを通じて二人の夫婦生活をつづる乃り子。 「タイトルはお二人の作風と関係性を掛けていて、パッケージからは旦那さんが一方的に殴られているのが分かります(笑)。奥さんは旦那さんをアーティストとして尊敬しているけれど、旦那さんは奥さんをアーティストとして見ない節がある。奥さんはそれが不満で、自分の作品を通じてうっぷんを晴らす。でも、最後は『愛しているよ』で終わる…。奥さんがとても素敵です。ドキュメンタリーですがとてもドラマチックで、劇映画のよう」。 海外で活躍している日本人の姿を知るだけでなく、日本の良き夫婦の形も見どころと言えそう。

海外が認めた役者

アメリカ在住のイラン人監督アミール・ナデリが俳優・西島秀俊にほれ込み、日本映画の制作を決心。主人公は、映画好きのあまり自主制作映画を撮り続ける男。制作資金を借りていた兄が金借しのヤクザに殺されてしまい、男は代わりに金を返すために『殴られ屋』に。兄が殺された場所で殴られるたびに、兄への詫びの気持ち、映画への情熱を思い、深みにはまっていく…。 「西島さんを撮るにはどういう映画に…という感じで企画が進んだ、西島さんがいたからできた映画です。100本の映画タイトルを言いながら殴られるラストシーンでは、自分の信念のためにどこまでできるのかを考えさせられますね。このシーンは映画好きでないと出てこない発想。これを映画好きの二人が形にして、日本を舞台に撮られたというのは感慨深いものがあります」

作品を通じて、日本に対する海外の視点や、海外での人の活躍を知ることができる。海外に目を向けるだけでなく、日本というものをもう一度見つめなおしてみるのもいいかもしれない。(文:高橋七重)

【代官山 蔦屋書店】
シネマコンシェルジュ 冨丘紗里 氏

2011年10月から同店のコンシェルジュに。大学では映画について研究。年間150~350本の映画を観ている。国を問わず海外ものが得意分野で、単館系からヒット作まで幅広く網羅している。今気になっている作品は、海外ドラマ『ウォーキング・デッド』(DVD、Blu-ray 12月リリース)。

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