安藤桃子&サクラ姉妹、「1対1」の本音を語る。映画『0.5ミリ』公開記念トークショー

(左から)監督の安藤桃子と主演の安藤サクラ

(左から)監督の安藤桃子と主演の安藤サクラ。

去る11月10日、映画『0.5ミリ』の公開を記念して、監督の安藤桃子と主演の安藤サクラによる姉妹トークショーが、東京・代官山 蔦屋書店で行なわれた。

一説によれば「世界初」とも呼ばれる、姉妹による監督&主演のタッグ。「実はやりにくかったのでは?」との質問に、姉は「それはひとつもなくて。共通言語があるんですよ。周りからは擬音にしか思えないような(笑)。同じ親から生まれてるわけですが、親は世代が違うので、見てきたことも、感じることも違ったりしますけど、私たちはほぼ同世代で、同じもの食べて、同じ環境で育った同性なので」と答え、妹は「生きものとして、とても近いんですね」とうなづいた。

「ねじれてねじれてドリルになれ、と父に言われました」(安藤サクラ)

安藤サクラ

「だから、感覚だけで理解しあえる。(監督と女優という関係だけではなく)人としてのリスペクトがちゃんとあるから、それが成り立つんだと思います。心強い間柄」(安藤桃子)

父、奥田瑛二がエグゼクティヴ・プロデューサーでもある本作。映画監督としても大先輩である奥田には「作品そのものには口出ししない」約束で参加してもらったという桃子監督だが、奥田は現場で、大御所、津川雅彦らの待ち時間のお相手をプロデューサーとして見事に務めてくれたそう。

家でも父を「奥田さん」と呼び、「ある種の師弟関係を築いている」姉に対して、妹は父とは距離を置いてきたと告白。しかし、座右の銘「ドリルになれ」は奥田のことばであることを明かした。「『お前はねじれている。だが、ねじれてもいい。どうせなら、ねじれてねじれてねじりまくって、真っ直ぐ穴を開けるドリルになれ』と、反抗期に言われたんです」(安藤サクラ)

そして、3ヵ月ほど前に父への想いも変化したという。
「夫(柄本佑)は、父のこと『パピー』と呼んだりするくらい、仲がいいんですよ。夫は俳優です。そして、血がつながってる父も俳優。そのことによって、私も共有しあえるものがある。それはとても幸せなことなのではないか。そこから、父を見る目が変わりました」(サクラ)
「佑君とサクラという夫婦を、父はめちゃくちゃ尊敬してると思うんです。ふたりがいないときに『あいつらの台詞の覚え方を聞いて、俺も最近それでやってるんだ』なんて言ってましたから」(桃子)

「1対1でうまくいかなかったら、何人集まってもうまくいかない」(安藤桃子)

安藤桃子

安藤家の祖母の介護体験をきっかけに、この映画は生まれた。
「祖母の介護は、家族みんなで、というより、いかに祖母と、ひとりひとりが、それぞれの関係性でコミュニケーションをとるか、ということでした。祖母が亡くなったいま、振り返ると、すごく家族として強くなったと思います」(サクラ)

「one to one」の考え方は、映画作りにも影響したという。「たとえば、5人グループというものがあるとします。でもそれって『5人のグループ』じゃないんです。5人それぞれが、1対1の関係がしっかりあった中で、そこに5人集まってるというだけのことじゃないかって、随分経ってから気づいた。たとえば、ふたりでいることと、グループでいることは変わらない。10人であろうが、20人であろうが、1対1であることに変わりはない。社会も実はそうで。全部いっしょくたでセット、なんていうことはないんだなと。それが、いまの私の『答え』です。映画の現場もそうですけど、1対1でうまくいかなかったら、何人集まってもうまくいかない。ひとつひとつ、ちゃんと向き合いましょう、って思います。(映画の主人公、介護ヘルパーの)サワちゃんは、全員と1対1できちっとかかわっているから」(桃子)

家族だからリスペクトが生まれるわけではない。誰とだって、人として1対1で向き合うことができれば、それは可能になる。映画『0.5ミリ』に横たわる、コミュニケーションの本質が、対照的な姉妹の語らいから自然に生まれたひとときだった。

(文:相田冬二)


映画『0.5ミリ』
大ヒット上映中

原作「0.5ミリ」安藤桃子(幻冬舎文庫)
監督・脚本 安藤桃子
出演 安藤サクラ / 柄本明 坂田利夫 草笛光子 津川雅彦
エグゼクティブ・プロデューサー:奥田瑛二 プロデューサー:長澤佳也 アソシエイト・プロデューサー:畠中鈴子
撮影:灰原隆裕 照明:太田博 美術:竹内公一 録音・整音:渡辺真司 音楽:TaQ フードスタイリスト:安藤和津
主題歌「残照」寺尾紗穂 作詞・作曲:寺尾紗穂(アルバム「残照」収録)(発売元:MIDI INC./Published by YANO MUSIC PUBLISHING Co.,Ltd.)
助成:文化芸術振興費補助金 企画:ゼロ・ピクチュアズ 制作:リアルプロダクツ 製作:ゼロ・ピクチュアズ リアルプロダクツ ユマニテ
配給:彩プロ
(C)2013 ZERO PICTURES / REALPRODUCTS 2013/196分/カラー/ビスタサイズ

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