『渇き。』主演 役所広司インタビュー

国内外問わず多数の出演歴を誇る名優、役所広司。主演作『渇き。』で渾身の演技を見せた彼が、監督への思いや同作の魅力を語った。

渇き。

中島監督のビジョンに近づけるように必死にやり切った

本作は、トロント国際映画祭や釜山国際映画祭など、さまざまな映画祭で上映していただきました。各国の目の肥えた映画ファンに楽しんでもらえることは純粋に嬉しいですし、僕自身もシッチェス・カタロニア国際映画祭で日本人として初めて最優秀男優賞をいただけた。そのような経験ができて、とても光栄です。

中島(哲也)監督と組むのは『パコと魔法の絵本』に次いで2度目になりますが、監督はとにかく映画作家としてありきたりなものは作らない。自分の個性を出すことを恐れませんし、自分が面白いと思うものを正直に打ち出される方です。だから役者側としても非常に頼もしいし、彼の作品に参加するといつもワクワクするんです。本作は暴力的なシーンが多い作品ではありますが、台本を読んで、中島監督なら決して下品なものにはしないだろうという確信がありました。監督ご自身の個性なのか、バイオレンスでも美しく撮られる。僕自身、監督に対して確かな信頼があるので、出演することに迷いはありませんでした。

自分が演じた藤島という人物については、役作りに当たって、まず何が核になるだろうかと想像しました。彼は人格的に問題があるというか、愛情表現の仕方がどこか欠落している。暴力によって物事を解決してきた人なのでしょうし、ひょっとしたら子どものころ、彼自身が暴力を受けてきたのかもしれない。そんな男が結婚し、子どもを持ったものの家庭に収まりきれず、娘との再会も不幸なものになってしまった。それでも娘に異常なまでに執着して、どこまでも彼女を捜し求める。あれが藤島なりの愛情表現なのだろうと思いましたね。

そんな男を演じるに当たって、中島監督からは「熱を伝えたいから、リアルなものではなく大きな演技を心がけて」と言われました。藤島は歯止めの効かない、行動する前に頭で考えたりしない人物だと思いますし、そのやり方は非常にハマっていたと感じています。僕自身も出し惜しみせず、監督のビジョンに近づけるよう必死にやり切りました。

でき上がった作品を観たときは、タイトルバックから驚かされました。どこか懐かしく、それでいてポップで、すごくエンタメ性が高かった。まさに〝中島ワールド〟が炸裂していると感じましたね。

映画というものは一回では見きれないほど情報が詰まっていますし、観直すたびに発見があるのがよい映画です。本作には一瞬のカットにも作り手のメッセージがたくさん込められているので、ブルーレイやDVDで何度でもご覧いただきたいですね。

◆PROFILE

役所広司
'56年長崎県生まれ。'96年、『Shall we ダンス?』『眠る男』『シャブ極道』で国内14の映画賞の主演男優賞を独占。本年は『渇き。』でシッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀男優賞、京都国際映画祭で三船敏郎賞を受賞。近作は『蜩ノ記』('14)。

渇き。

渇き。

製作年:2014年 製作国:日本
監督・脚本 中島哲也
原作 深町秋生
出演 役所広司 小松菜奈 妻夫木聡 清水尋也 二階堂ふみ 橋本愛 國村隼 黒沢あすか
青木崇高 オダギリジョー 中谷美紀

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アーティスト情報

役所広司

生年月日1956年1月1日(62歳)
星座やぎ座
出生地長崎県諌早市

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中島哲也

生年月日1959年9月2日(59歳)
星座おとめ座
出生地福岡県

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