【追悼】菅原文太さん「その輝きは永遠不滅」

トラック野郎 御意見無用

演じ手としての類稀なる重力

「仁義なき戦い」の広能。「トラック野郎」の桃次郎。日本映画史に深く刻まれる二大シリーズの顔として、菅原文太は記憶されている。その輝きが永遠不滅であることは間違いない。

だが、彼の功績は、そうしたど真ん中だけにあるわけではない。

たとえば、長谷川和彦監督の「太陽を盗んだ男」。あるいは、阪本順治監督の「鉄拳」。当時、新進気鋭だった監督たちの野心的かつ冒険的な演出を全身で受けとめ、それを映画という大地に馴染ませていく。豪快に見えて、実はとことん地道な芝居がそこにはあった。

どこか土の匂いがするスターだったのは芸風ではなく、演出家へのそうした丹念な思いやり、そして、演じ手としての類稀なる重力によるものではなかったか。

遺作「おおかみこどもの雨と雪」では、農家の老人を演じた。声だけで映画そのものを包み込む存在感は、やはりしっかり地に足がついた生活者のそれだった。あの老人の言葉がざらついていながら、優しさと温もりに満ちていたのは決して偶然ではない。

(文:相田冬二)

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST