【INTERVIEW】辻仁成が語る『LUCY/ルーシー』の魅力

パリを拠点に、文学や映画など幅広い分野で活躍する辻仁成が、フランス発のアクション大作の見どころを語り尽くす。

辻仁成

「我が道を突き進んできたベッソンの進化を感じます」

科学的にユニークな題材をダイナミックに描いている

バイオレンスやアクション系の映画はあまり観ないので、派手な暴力シーンが続く最初の10分は、「最後までこれだと辛いなぁ」と思っていたんです。でも、モーガン・フリーマン扮する脳科学者の講演シーンを境に、急にレベルの高い話になってきて、グッと引き込まれました。

人間の脳の使われていない部分が覚醒したらどうなるか、という発想がユニークですよね。僕が同じテーマで話を作るとしたら、もっと内的宇宙を見つめて、人間関係がドロドロになって、人生が崩壊するような暗くて地味なものになると思うけど、リュック・ベッソンはそれを激しいアクションやSF的なビジュアルで見せている。普段は交通量の多いルーヴル美術館の裏通りでカーチェイスを撮ったり、ページをめくるように時間を行き来してNYや太古の地球を巡ったり。ダイナミックな男ですよ。そういえば昔、フランスで映画監督になりたくて彼の会社の門をたたいた僕に、「パリで撮影するならシャンゼリゼの車を止めてやるよ」と言ってくれたなぁ。

覚醒の過程を見事に演じたヨハンソンにやられました

『LUCY/ルーシー』はベッソンが持つマンガ的な感覚やアメリカ的な感覚、アジアに対する関心がうまく混ざっていて大衆性があり、人類の細胞の進化が未来につながるという壮大で深い物語でもある。ルーシーが心に苦しみを抱えながらも人類の役に立ちたいという強い意志で戦う姿に希望を感じました。ベッソンは、見た目はボソーッとした男だけど(笑)、きちんと計算ができて、意外に繊細なんじゃないかな。高い位置に立って世界平和を描こうとしているように見えます。『サブウェイ』の頃からファンだったけど、ここ最近でまた進化しているように思いますね。

それから、スカーレット・ヨハンソンにもやられました。『ロスト・イン・トランスレーション』を観て、いい俳優だなぁと思っていたんだけど、今回の芝居は特に気に入りました。おどおどした女の人が、脳が覚醒し、それにつれて表情もキリッと変化する。その過程を演じるのは役者冥利に尽きるでしょうね。ベッソン作品のヒロインらしく、拳銃の扱い方もうまくてカッコいい。ストーリーにロマンスの要素は全然ないけど、人間としての感覚が失われていくルーシーが、「最後の記憶として」と言って協力者のフランス人刑事にキスをするところは少しロマンチック。実はそこが一番好きなシーンです。

◆PROFILE

'59年東京都生まれ。'89年、デビュー作の『ピアニシモ』で第13回すばる文学賞受賞。'97年に『海峡の光』で第116回芥川賞、'99年には『白仏』仏語翻訳版でフェミナ賞を受賞。ミュージシャン、映画監督としても活動し、監督作に『その後のふたり』('13)、『醒めながら見る夢』('14)など。

脳が覚醒した女性に宿る驚異のパワー

LUCY/ルーシー

LUCY/ルーシー

『LUCY/ルーシー』

リュック・ベッソン監督とスカーレット・ヨハンソンの初タッグ作。新種のドラッグの影響で脳が覚醒した女性ルーシー(ヨハンソン)が、犯罪組織の刺客を撃退しながら、自身の能力を人類未踏の領域へと目覚めさせていく。

Film (C) 2014 Universal Studios. All Rights Reserved. Artwork and Packaging Design (C) 2015 Universal Studios. All Rights Reserved.

(取材・文:橋真奈美/撮影:江藤海彦)

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アーティスト情報

辻仁成

生年月日1959年10月4日(58歳)
星座てんびん座
出生地東京都

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スカーレット・ヨハンソン

生年月日1984年11月22日(33歳)
星座さそり座
出生地米・ニューヨーク・ニューヨーク

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