ヴェネツィア映画祭で審査員大賞ほか5部門を制覇『ルック・オブ・サイレンス』ポスター解禁

(C)Final Cut for Real Aps, Anonymous, Piraya Film AS, and Making Movies Oy 2014

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虐殺を「自分の責任」とは捉えていない

第71回ヴェネツィア国際映画祭5部門受賞。虐殺に隠された“責任なき悪”のメカニズムを浮かび上がらせた、常識を覆す被害者と加害者の“対面”。衝撃の大ヒット作『アクト・オブ・キリング』を被害者側から見つめ返す、慟哭のドキュメンタリー『ルック・オブ・サイレンス』。

本作の主人公は、60年代インドネシアで密かに行われた大虐殺で殺害された兄を持つアディ。2003年、アディはジョシュア・オッペンハイマー監督と出会い、監督が撮影したかつての加害者たちが自らの虐殺を誇らしげに語る映像に強い衝撃を受け、2012年に再会すると「兄を殺した加害者たちに直接あって、責任を問いたい」と提案。眼鏡技師という職業を活かし、加害者たちに「無料の視力検査」を行うことで彼らの警戒を和らげると、静かに視力を測りながら、徐々に核心をついた質問を投げかけてゆく。

―そこで目の当たりにしたのは、加害者の誰もが、虐殺を「自分の責任」とは捉えていないという事実だった。

アディの提案を聞いた監督は、最初は「今も権力を握る加害者と直接対峙することはあまりにも危険」と反対したが、アディの強い意志に心を動かされ、対面に同行することを決定。本作は、アディの勇気によって生まれ、結果、殺人の実行者たちが、責任を感じることなく、大罪を犯しえる心理的メカニズムを浮かび上がらせ、『アクト・オブ・キリング』とはまた違う側面から、「悪」とは何かを映しだすことに成功している。

公開された日本版のビジュアルは、主人公アディの背中越しに、加害者の姿が映しだされるという「対峙」を全面に押し出した、“静寂”と“恐怖”を兼ね備えたもの。監督も「素晴らしい」と絶賛したという。

半世紀以上もの間、恐怖によって沈黙を強いられてきた大虐殺の被害者でありながら、勇気を持って加害者たちに対峙し、沈黙を破ったアディ。彼が対峙した加害者たちは皆、殺人という大罪を犯して今なお、罪の意識がなく、自分たちは正しいことをした、と堂々としているように見受けられるが、彼らの姿に、アディは何を思ったのか? アディとともに、加害者たちから放たれる言葉の数々から浮かび上がる“責任なき悪”の根本にある、人間という存在の怖さを見つめることになるだろう。


映画『ルック・オブ・サイレンス』
初夏、シアター・イメージフォーラム他全国順次公開

原題:THE LOOK OF SILENCE
製作総指揮:エロール・モリス、ヴェルナー・ヘルツォーク、アンドレ・シンガー
製作・監督:ジョシュア・オッペンハイマー
共同監督:匿名
撮影:ラース・スクリー
2014 年/デンマーク・インドネシア・ノルウェー・フィンランド・イギリス合作/インドネシア語/103 分/ビスタ/カラー/DCP/5.1ch/
日本語字幕:岩辺いずみ/字幕監修:倉沢愛子]
配給・トランスフォーマー
宣伝協力:ムヴィオラ

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