映画『ギリシャに消えた嘘』―ホセイン・アミニ監督インタビュー

伝説的な作家、パトリシア・ハイスミス原作の「殺意の迷宮」を、ヴィゴ・モーテンセン、キルスティン・ダンスト、オスカー・アイザックら豪華キャストで映画化した『ギリシャに消えた嘘』。ギリシャのアテネとクレタ島からトルコのイスタンブールへと舞台を移しながら、詐欺師とその美貌の妻、図らずも彼らの犯罪に加担してしまった青年の逃避行が展開していく―。

脚本家として名を馳せてきたホセイン・アミニが初監督した本作について、思いの丈を語ってくれた。

ヴィゴ・モーテンセンとホセイン・アミニ監督/(C)2014 STUDIOCANAL S.A. All rights reserved.

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―初監督をしてみて
脚本家であるという事は、常に誰かの助言に対して反応しなくてはいけないという部分がある。僕は脚本家として働いていた頃に“この様な人と働きたい”と思ったスタッフと一緒に現在働いている。
人というのは、たまに一人になりたい時があるのだと思う。僕がたまに役者に対してアドバイスしている時に思うのは、何を言わなくてはいけないかという事と同じくらい、何を言わない方が良いのかが大切であるという事である。監督として、役者の邪魔をしてはいけない部分もあるという事を理解するもとても大切であると感じている。撮影に入る前に、色々な人から、“健康的に過ごさなければ体がもたない”や、“かなり疲れる仕事だ”と言われてきたが、僕は、毎朝起きて、脚本を書かなくてはいけない環境でなくなった事に喜びを感じていた。僕は現場に行く事がとても楽しかった。これは初監督作品だったからかもしれないけど。でも、脚本家時代に、誰もまわりにいなくただ白紙を見つめていた頃よりも、まわりの人が自分を助けてくれる環境というのはとても楽しかった。今回の作品はまわりのサポートをしてくれる人がいたからこそ、自分の自信にも繋がった。

―キャラクターについて
キルスティン、オスカー、そしてヴィゴとは、しっかりと脚本を読んだ。彼らは脚本の合作者と言っても過言ではない。彼らとしっかりと話しあった後、僕はそれを持ち帰って、数か月揉み、撮影に臨んだ。
マクファーランド夫妻は、この映画の最初の方では、とても魅力的なカップルに映っている。彼らはフィッツジェラルドの小説で描かれているようなキャラクターである。外見はとても煌びやかであるが、内面では何か深い暗闇をかけている。最初の方では、彼らはとてつもなく魅力的かつ、お金持ちであるように描写されているが、ストーリーが進むとともに、徐々に彼が詐欺師である事がわかってくる。ストーリーにとって重要なのは、各キャラクターの内部で何が起こっているかという部分だ。ハイスミスが原作で表現する部分であり、僕の好きな要素のひとつである。悪役に感情移入をさせて、一緒に強い気分にさせる。これはヒッチコックも頻繁にやっていた事で、あまり感情移入したくない人物に観客をさせるという技術である。

(C)2014 STUDIOCANAL S.A. All rights reserved.

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―ヴィゴ・モーテンセンとの仕事について
原作のなかでは、チェスターはとても暗くて、弱く、酒に溺れていた。脚本では、この役柄をもう少し発展させ、ギャツビーの様なキャラクターにした。僕が思うに、ヴィゴは自分のなかで、両方の要素を取り入れつつ、自身の役柄を確立させていたと思う。彼の役者としての素晴らしい部分は、彼は何に対してもギリギリの線まで挑戦をするところだと思う。彼と働くのは、ジェットコースターに乗っているようなもので、彼のスピードについて行くのに僕らは必死になっている。ただ、それと同時に彼は協力者であるから、僕らに対して常に助けの手を差し伸べている。このプロジェクトにおいて、彼はゴッドファーザーの様な存在であった事からも、クリエイティブな面では彼の存在なとても大きかった。
ヴィゴの仕事に対する姿勢には脱帽した。彼は全ての事を覚えている。例えば、彼はそれぞれのテイクで、グラスがどの位置にくるかなどを正確に記憶していて、スクリプターやその他スタッフを驚かせていた。同じシーンで何テイクしているにもかかわらずだ。さらに、彼は本当に自然体で演技するんだ。

―キルスティン・ダンストとの仕事について
彼女は細かい事に対してもとても熱心に取り組んでいた。例えば、ひとつの台詞において、あまり自然ではないと感じた時に、彼女は何度も試行錯誤をして苦しんでいた。でも最終的にはスクリーン上で彼女はとても自然体で表現をしていたよ。

キルスティン・ダンスト/(C)2014 STUDIOCANAL S.A. All rights reserved.

キルスティン・ダンスト/(C)2014 STUDIOCANAL S.A. All rights reserved.

―オスカー・アイザックとの仕事について
彼とは『ドライヴ』で一緒に仕事をしたのだが、彼はとても素晴らしい俳優だと思う。彼とは、2人で数日間脚本をじっくり読んだのだけど、彼はそこまで意見を言わないのだが、彼が意見を言う時はとても細かくて詳細を説明してくれる。彼は自身で言ったことを、何度も考え直し、実際にそれを演じると、自然体この上ないパフォーマンスとなる。
僕はヴィゴと対等に向き合える役者はあまり思い浮かばなかったが、オスカーはとてつもなく良い役者だ。
ライダルという役柄において、オスカーは彼を純粋であると同時に、詐欺師という一面を表現した。さらに、原作や脚本では表現しきれていない、とてもチャーミングで好かれる人柄を演出している。
この様な3人の役者と一緒に仕事をするという事は、僕の初めての監督作品としては、かなり楽をさせて貰ったよ。

―ギリシャ、トルコでの撮影について
アテネから始まる物語は、古代の遺跡とその神秘さが映し出されている。僕はここで、観客がこの場所へ休日に遊びに行きたいという感情にさせるのが目的だった。そしてその後に、クレタ島へ行く。ここはどちらかというと、寂しい少し廃れた場所で、キャラクターたちの嘘が徐々に見え始めてくる。これがそのシーンの背景で表現されている。キャラクターたちのアイデンティティーや彼らの心情が崩れ始めるのを反映している。そしてインスタンブールではノワール感を出しつつも、チェスターの崩れ落ちていく様子を演出している。
これらの暗示が、キャラクター達の内部で心理的に何が起こっているかを表現したんだ。

(C)2014 STUDIOCANAL S.A. All rights reserved.

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映画『ギリシャに消えた嘘』
4月11日(土)全国ロードショー

出演:ヴィゴ・モーテンセン、キルスティン・ダンスト、オスカー・アイザック
監督:ホセイン・アミニ(『ドライヴ』脚本)
原作:パトリシア・ハイスミス(「殺意の迷宮」)
原題:The Two Faces of January

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アーティスト情報

パトリシア・ハイスミス

生年月日1921年1月19日(74歳)
星座やぎ座
出生地米・テキサス フォートワース

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