武井壮がおすすめする「人生の扉を開いてくれる映画」9本

“百獣の王”を目標に日々トレーニングを続けている武井壮さん。大好きなアメフト映画を中心に、人生にヒントをくれるおすすめのヒューマンドラマをピックアップ。体験談や人生哲学とともに語ってくれた。


武井壮がおすすめする「人生の扉を開いてくれる映画」9本

しあわせの隠れ場所

過酷な境遇の黒人少年が裕福な白人家庭に引き取られ、アメフトの才能を見いだされる。白人夫人役のサンドラ・ブロックが第82回アカデミー賞(R)主演女優賞を受賞。

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リプレイスメント

選手がストに入ってしまったプロフットボールチームに、代役としての監督と選手が集められ、急造チームで試合に臨む。一癖も二癖もある選手たちのキャラが楽しい。

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ルディ

憧れの名門大学のアメフト部に入った少年が、小柄な体格ながら、数々の試練を乗り越える。主演は『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のサム役、ショーン・アスティン。

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タイタンズを忘れない

人種差別の残る'71年、ヴァージニア州の高校統合で白人と黒人混合のアメフトチームが誕生。選手たちは徐々に結束を強める。黒人コーチ役にデンゼル・ワシントン。

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ビッグ

主演トム・ハンクスの出世作となったコメディ。不思議な機械の力で突然大人の体になった少年が、おもちゃ会社に就職し、柔軟なアイデアで次々と成功を収めていく。

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シティ・オブ・ゴッド

60~70年代のブラジル、リオデジャネイロのスラムで、子どもたちが日常的に犯罪にまみれ、ギャング化していく。現地スラムの素人がオーディションを経て多数出演。

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いまを生きる

ニューイングランドの全寮制男子校の新任英語教師が、規律に縛られていた生徒たちに自立心を芽生えさせる。生徒たちが机の上に立つクライマックスは名シーン。

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チアーズ!

全国大会で無敵を誇るカリフォルニアの高校のチアリーディング部に、振付盗作疑惑が持ち上がる。アクロバティックでスリリングなチアリーディングの技が連発!

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ドラムライン

スポーツの試合のハーフタイムに演奏するマーチングバンドを題材にした青春映画。ハーレム育ちのドラムの天才少年が、大学のマーチングバンドで波乱を起こす。

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自分の能力だけでなく、周囲の人の支えがないと扉はなかなか開かない

『しあわせの隠れ場所』(C)2010 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. 

『しあわせの隠れ場所』(C)2010 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. 

最初に思いついたのはアメフト映画4つ。そんなに大きく違わないんですけど、大好きなんですよアメフト映画が。絶対にはずせない4本ですね。『しあわせの隠れ場所』はマイケル・オアーというアメフト選手の実話がベースで、家庭環境が悪くて街をフラフラしていた彼が裕福な白人家庭の養子に迎えられ、彼らのサポートにより奨学金で大学まで行き、NFLにドラフト1位で指名される。「扉を開く」のは自分の能力だけではかなわないものだなあ、と共感できたんです。僕もマイケルみたいに、親と一緒に住むことがあまりできなかったし、一人でいる時間も長かった。どうやったら人生をやっていけるだろうと考えて選んだのがスポーツでした。僕も彼が協力者を得たのと同様、学校の先生方に学業も生活も支えてもらい、正しい方向に導いていただきました。同じような道をたどって、あそこまで輝いた人がいたんだと、僕がTVに出る少し前、下積みをしていた頃に観て、「夢を捨てないで頑張ろう」と勇気づけられました。

スポーツも芸能界も同じエンターテインメントであって、僕たちは自分たちのパフォーマンスでたくさんの人に元気になっていただくのがお仕事。でも多くの方を楽しませられなければ、次の仕事はいただけません。ここでもやはり、自分の力だけじゃ扉は開かないと感じさせられるんです。

『リプレイスメント』(C) 2000 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『リプレイスメント』(C) 2000 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

スポーツとコメディが見事に融合した『リプレイスメント』はアメフト版『メジャーリーグ』みたいな物語。スター選手たちの代理(リプレイスメント)として、キアヌ・リーヴス演じる主人公らが集められるところから始まります。イギリス出身のキックしかできない選手、街のゴロツキからディフェンスになった選手、耳の聞こえない選手と、長所も短所もある人物たちが困難を乗り越えて活躍し、人生の支えになる強さを手に入れます。元気が出ないときや、「今日はトレーニングがしんどいな」というときに、もう何十回も観ましたね。大好きなシーンがありまして。主人公たちがスター選手たちと大ゲンカして留置場に入れられて、グロリア・ゲイナーの曲「恋のサバイバル」に合わせて踊って歌うんです。そこでチームがまた一つになるんですよ。そこを観たいがために全編を何度も観直している。僕が映画を選ぶ基準は、自分を動かすスイッチになるかどうか。この映画にはたくさんのスイッチがある。友情とか、恋とか。無条件に元気になれる作品ですよ。「スポーツ映画を観るならこれ!」というぐらい。

スポーツとエンターテインメントの融合は、僕が目指しているところでもあるんです。僕はアスリートではあったけど、エンターテイナーではありませんでした。この映画には観ていて楽しい選手がたくさんいて、アスリートはこうあるべきだと教わりました。すごく影響されましたね。

スポーツは能力や結果がすべてではない。努力した経験が先の人生に生きる

『ルディ』(C)1993 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『ルディ』(C)1993 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『ルディ』は意外と知名度が低いですね。主人公は体格や身体能力に乏しいアメフト選手で、だけどすごく努力家で、周囲もみんな心の中で信頼する選手。最後の試合、残り時間わずかとなったところで巻き起こるあの「ルディ」コール! もう、震えますわ!!あのシーンを観るためだけに、また2時間観てしまいます。

小柄で、アメフトチームに入るだけでも大変だった男が、そのひたむきさで、チームの精神的支柱となり、夢をかなえる瞬間は鳥肌もの。アスリートとしての能力だけが選手の価値を決めるんじゃない。スポーツは相手との勝負だけではなくて、自分自身を成長させることが最も重要。トレーニングして結果が出ることも、その先の長い人生のリハーサル。スポーツで努力した経験が生きるんです。ルディがやってきたことは地味で不器用でまっすぐな努力の積み重ね。ルディよりはるかに高い能力を持つ選手たちがアメフトの技術そっちのけで目を見張るほど。だからこそ、ここぞというときに「彼以上に毎日成長してきた人間はいない」という評価から、最高の場面が回ってくる。彼はその先、その勲章を手にどの分野でも頑張れる力を手に入れたんじゃないかな。スポーツをやっていて「レギュラーがとれない」「能力は高くないけど、トレーニングに意味を求めたい」という人は、これを観て、毎日が決して無駄じゃない、努力はいつか評価されるという希望をもってほしい。

『タイタンズを忘れない』(C)Disney.

『タイタンズを忘れない』(C)Disney.

『タイタンズを忘れない』も『ルディ』と同じく実話。人種差別がテーマのアメリカの高校の物語です。僕たちは、知らない人に対して、先入観や見た目だけで嫌悪感を抱くことがありますよね? この映画は「知らないこと」がどれだけの損失なのかを教えてくれる。僕が“百獣の王”を目指し始めたのはそもそも、アメリカの山で大きなシカと遭遇したときに、シカのことを何も知らなかったから、恐怖で腰を抜かしてしまったことがきっかけ。「動物を殴り倒したい」からではなく、僕がシカのことを知っていれば、刺激するような場所に行かなかったかもしれない。シカも僕を知っていれば、「いつもの人だな」という反応でしょう。人間同士も、肩がぶつかった相手が知らない人かどうかで、対応が違いますよね。互いを知ることで争いがなくなるんです。僕は地球上で知らない人も動物もいなくなるくらい、歩き回って知り合いたい。そうすれば争う必要はない。相手を知って争いがなくなることこそ最強というのが、僕の目指す“百獣の王”なんです。この映画でそれを少しわかってもらえるとうれしいです。

いろんな可能性があることを映画は教えてくれる一方で、選択肢のない世界を描く映画も

『ビッグ』(C)Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

『ビッグ』(C)Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

お仕事の現場って子どもの頃は想像もつかないことばかりですよね。『ビッグ』は子どもの視点で社会科見学をさせてくれました。「お仕事ってこういう風にやるんだ」ってね。僕は結局、就職はしませんでしたけど、インターンさせてもらった気になりました(笑)。映画の価値は、そういうところにもありますよね。自分にやる気を持たせてくれることもあるけど、今とは違う道に進んでいたらどうだったんだろうと、いろんな可能性への想像をかき立ててくれる。僕は小学生の頃にスポーツで生きていこうと決めましたが、一方でそれ以外の人生への憧れもあった。この映画は僕の思春期の好奇心を満たしてくれました。

『シティ・オブ・ゴッド』(C)O2 Filmes curtos Ltda. and Hank Levine film GmbH 2002.

『シティ・オブ・ゴッド』(C)O2 Filmes curtos Ltda. and Hank Levine film GmbH 2002.

それと対極にある、選択肢のない子どもたちの話が『シティ・オブ・ゴッド』。生まれながらに、お金、仕事、教育がない。子どもたちは争い、奪うことで自己表現する。僕らの倫理観は通用しない。海外でTVでやっていたのを、寝なきゃいけない日だったのに最後まで観て、打ちのめされました。僕たち日本人の生活はとてもぜいたくなものなんだと再認識しました。毎日、着る服や行くお店、何かに努力するのかしないのか、遊ぶのか遊ばないのか、全部自分で選べる。僕は子どもの頃、親がいなくてお金もない生活をしんどく感じたりもしましたが、それでもここまで成長できたし、誰より強い体も手に入れました。こんなありがたい環境に生まれて何もしない訳にはいかない、と考えさせられました。

心の欲求に素直に生きるべきじゃないかと思わされる

僕たちの人生の大半は、学校や仕事、睡眠の時間で占められていますよね。人が心の底からやりたいことに費やせる時間はどのぐらいなんだろうと、よく考えていた時期に観たのが『いまを生きる』。新任教師が生徒に自由を説く物語です。僕は、不満な時間が多ければ多いほど、自分の人生が輝かなくなると信じています。本当にやりたいことをやる時間が、僕が本当に生きている時間。将来の不安があるからと今を我慢するのでなく、今、何か願望があるのなら、それに100%ぶち当たっていいんじゃないか。心の欲求に素直に生きるべきじゃないかと思わされる一本です。

仲間の大切さを描いたドラマに僕は弱い。その中に、なりたい自分がいる

『ドラムライン』(C)2004 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

『ドラムライン』(C)2004 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

『チアーズ!』は元気が出るんですよ。『リプレイスメント』みたいに。チアリーディングはまさに人を元気にすることが仕事ですが、その裏には高い技術やフィジカルの裏付けがある。劇中の準決勝、決勝のパフォーマンスは体力、技術ともにハイレベルで観ている自分自身が応援されているように元気になれます。同じく応援する側のドラマを描いているのが『ドラムライン』。才能あふれる主人公が、自分の才能だけではチームとして最高のパフォーマンスはできないと気付くシーンがいいんです。僕はこんなドラマに弱い。一人じゃ何の価値も生まれない、大事なのは仲間や見守ってくれる人たちなんだと。今回のラインナップも、主人公一人では夢がかなわない映画ばかり。そんな素敵な映画のおかげで、今の僕ができあがっているんですね。


武井壮

1973年東京都生まれ。陸上の十種競技の元日本王者であり、格闘技、野球、ゴルフなどの競技経験を生かし、TVやラジオ、雑誌で活躍。現在も多くのスポーツに挑戦し続けている。

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アーティスト情報

武井壮

生年月日1973年5月6日(45歳)
星座おうし座
出生地東京都葛飾区

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