『インサイド・ヘッド』や『脳内ポイズンベリー』などに代表される、“脳内ムービー”の面白さ

『インサイド・ヘッド』/(C) 2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

『インサイド・ヘッド』/(C) 2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

夏休み映画のひとつとして話題を集めているディズニー/ピクサーの長編アニメーション『インサイド・ヘッド』。11歳の少女ライリーの成長を喜びや悲しみ、怒りなど5つの“感情”を通して描き、感情がキャラクター化されているのが見どころでもある。が、ちょっと待った! 少し前のラブ・コメディ『脳内ポイズンベリー』も似たような設定で話題に。というわけで、『インサイド・ヘッド』と『脳内ポイズンベリー』の違いについて、またこれまでの“頭の中”を描いた映画をピックアップ!

『インサイド・ヘッド』と『脳内ポイズンベリー』の両作品とも頭の中を舞台に感情を具現化、現実の世界と頭の中の世界、2つの世界がどう関わりあっているのか、その繫がりを描いている。先に公開された『脳内ポイズンベリー』は水城せとなの少女漫画が原作。こちらの特徴は主人公・櫻井いちこ(真木よう子)の恋愛をベースに物語が進んでいく。

『脳内ポイズンベリー』(C)水城せとな/集英社 (C)2015フジテレビジョン 集英社 東宝

『脳内ポイズンベリー』(C)水城せとな/集英社 (C)2015フジテレビジョン 集英社 東宝

脳内には5つの感情がつねに会議をしていて、いちこの行動を決定している。たとえば「この人好きかも!」と無意識に感じているように思える気持ちも、実は頭のなかにいる5つの感情──理性、ポジティブ、ネガティブ、記憶、衝動(演じるのは、西島秀俊、神木隆之介、吉田羊、浅野和之、桜田ひより)が会議をしながら決定しているという具合だ。自分自身の恋愛と重ねて、あの感情はこういうことだったのか! と、女性の心理、恋愛ならではのさまざまな心の揺れ動きに女性は大いに共感できるわけだ。

『脳内ポイズンベリー』(C)水城せとな/集英社 (C)2015フジテレビジョン 集英社 東宝

『脳内ポイズンベリー』(C)水城せとな/集英社 (C)2015フジテレビジョン 集英社 東宝

一方、『インサイド・ヘッド』は主人公のライリーが誕生するところからはじまる。喜びの感情を抱えて生まれてきた彼女がヨロコビのほかにカナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、5つの感情と一緒に成長していく姿が描かれる。もともと、この映画は監督自身の経験がヒントになっている。思春期の娘が何を考えているのか分からない! 娘の頭のなかは一体どうなっているんだ? そんな疑問から頭の中のストーリーが出来上がっていった。傍目には「反抗期かな?」と思われがちな子供の態度の背景には「こんなことが起きているのか!」というように、人が成長していくうえで欠かせない5つの感情それぞれに役割りがあることを教えてくれる。特に邪魔者扱いされているカナシミの存在理由にたどり着いたときは、涙を流してしまう人も多いだろう。

『インサイド・ヘッド』/(C) 2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

『インサイド・ヘッド』/(C) 2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

自分の中にある感情なのに自分ではなかなかコントロールすることができない。どうしてこんな気持ちになるんだろう? どうしてこういう気持ちが生まれるんだろう? その“何故”を知るヒントがこの2つの映画のなかにはある。

頭の中を題材にした映画はほかにもまだある。スパイク・ジョーンズ監督の長編デビュー作『マルコヴィッチの穴』(1999年)。映画俳優ジョン・マルコヴィッチの頭に繋がっている穴を見つけた人たちが、その穴を通じてマルコヴィッチの頭の中に入ってしまうという突飛なアイデアを映像化した空想コメディ。脚本を手がけたのはチャーリー・カウフマン。彼は頭の中にものすごく興味を抱いているのか、9年後には監督&脚本で『脳内ニューヨーク』(2008年)を作った。頭の中にあるニューヨークを作って舞台にしようとする劇作家の苦悩を描いた作品で、現実の世界と演劇の世界の境界線が分からなくなっていく展開がなんとも興味深い。そして、寝ている間の“夢(潜在意識)=頭の中”という意味ではミシェル・ゴンドリー監督の『恋愛睡眠のすすめ』(2005年)やクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』(2010年)のような映画もある。

『インサイド・ヘッド』/(C) 2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

『インサイド・ヘッド』/(C) 2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

『インサイド・ヘッド』をはじめとするこれらの作品は、もしかしたらもしかすると頭の中に本当に別世界があるのかもしれない! と想像力を膨らませて観るのが面白い。

(文:新谷里映)

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