「死についての映画じゃない、生を祝福する映画」―映画『サヨナラの代わりに』ヒラリー・スワンク インタビュー

ヒラリー・スワンク

ヒラリー・スワンク

『ボーイズ・ドント・クライ』で演じた性同一性障害のブランドン役、『ミリオンダラー・ベイビー』で演じたプロボクサーを目指すマギー役で2度、アカデミー賞に輝くヒラリー・スワンクは“強い女性”が似合う女優だ。主演とプロデューサーを兼ねた新作『サヨナラの代わりに』で演じるケイトも難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症しながら自分らしく生きようとした強い女性。彼女自身が人間の強さに惹かれるからなのか、それとも……。難役+強さ=ヒラリー・スワンクの仕組みが知りたい──。

「そんなことないわって言いたいところではあるけれど(笑)、ふり返ってみると、確かに私自身が強い女性に惹かれているのは間違いないわね。女性キャラクターが多面的に描かれている作品に惹かれるし、実際、そういう女性たちは強いインスピレーションを与えてくれる。どんな逆境でもどんなに辛くても乗り越えていく、そこに惹かれてしまうの。“人生は芸術を模倣する”とも言うけれど、この『サヨナラの代わりに』を含めた主演&出演作すべての映画は私の人生を変えてくれた。自分とは違う人物を生きる、その人物の目を通して世界を見ることで、自分の世界を広げることができるんですもの」。そして、そのヒラリー・スワンクの演じる役を通して、私たちは自分の世界を広げる。

「この映画は、ALSについて描いているけれど、死についての映画じゃない、生を祝福する映画、2人の女性が出会うことでお互いに本当の自分であることを描いている映画、愛の映画、パワフルな映画なの」と語るように、ヒラリー・スワンクの演じるケイトとエミー・ロッサムの演じるベックの予期せぬ出会いから生まれる絆に感動させられる。その友情の触媒となるのがALSという病だ。徐々に身体が動かなくなる、声を発することも困難になる、それを表現することはアカデミー賞女優であっても難しかった。

(C)2014 Daryl Prince Productions, Ltd. All Rights Reserved.

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「どんな役作りも最低4週間かけているの。たとえば、歩き方はひとりひとり違って絶対に同じ歩き方はない。自分の演じるキャラクターはどんな歩き方をするのか、まずそこから作っていくわ。とは言っても肉体的な動きというよりも、この人はこういう心理だからこういう動きになるんじゃないかって考える。キャラクターの心象風景を把握することが大切でもあるの。今回のケイトも、もちろん歩き方を見つけたけれど、これまでと違うのは、ケイトは歩けなくなってしまう……ということ。だから他の形でそれを表現しなくてはならなかった。それは大きな挑戦だったわ」。

さらに、ALSを正確に描写することでケイトの感情を深く掘り下げたいと考えたヒラリー・スワンクは、可能な限りリサーチを重ね、ALS患者に会って話を聞き、公認介護士からはどんなふうに身体が動かなくなっていってしまうのか、呼吸の仕方に至るまでALSを知ることに力を注いだ。そして、ケイトを生きた。「この映画はフィクションではあるけれど、彼らの話を聞いてケイトを演じたことは、私にとってはリアルストーリーでもあるということなの」。その言葉からも伝わってくるように、彼女自身と役が一体化しているからこそ「もしも自分だったらどうするだろう? どう生きるだろう?」と考え、それが共感につながっていく。

(C)2014 Daryl Prince Productions, Ltd. All Rights Reserved.

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「もちろん、私も考えたわ。ケイトがベックと出会ったように、自分自身を100%見てくれる相手と出会いたいと思ったし、見てもらうだけじゃない、私自身も100%の自分を見てもらえるように、自分の心の内を伝えることが必要なことも教えてもらった。何より、健康であることは決して当たり前ではないという気づき。私たちの誰もが、明日どうなるか分からなくて、今こうしている次の瞬間だって何が起こるか分からない。今この瞬間しかないのかもしれないって思えたら、明日できるからいいわとは思わなくなる。今日、今、やれることをやるって思うようになるの」

またひとつ、ヒラリー・スワンクという名女優から本当の意味で生きるとはどういうことなのか、毎日を強く生きていくためのヒントを受け取り、思うだろう。なんて強く、素敵な女性なのかと──。

(取材・文/新谷里映、メイク:YOSHi.T for MONDO (AVGVST) ヘア:Ken Yoshimura@AVGVST)


映画『サヨナラの代わりに』
11月7日(土)全国ロードショー

監督:ジョージ・C・ウルフ
出演:ヒラリー・スワンク『ミリオンダラー・ベイビー』『P.Sアイラヴユー』、エミー・ロッサム『オペラ座の怪人』
2014/アメリカ/英語/102分/ビスタ/カラー/5.1ch/日本語字幕/字幕翻訳:稲田嵯裕里

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アーティスト情報

ヒラリー・スワンク

生年月日1974年7月30日(44歳)
星座しし座
出生地米ワシントン州

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エミー・ロッサム

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