映画『海街diary』監督・是枝裕和インタビュー

綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずが姉妹役で共演したことで話題を集めた映画『海街diary』。監督を務めた是枝裕和が、作品に込めた思いを語った。

是枝裕和

この作品を監督するのは僕だと思った

原作を読んだ際、最初に3姉妹がすずと出会い、高台から街を見下ろす場面のカット割りを見て、この作品は映画化を求めている、やるなら僕がやりたいと思いました。内容的にはあとから考えると自分がやってきた“捨てられた子どもの話”との共通点もあるんですが、全体のテーマ設定や肝にしている点がいい意味でドラマティックじゃないところにひかれたんです。そこが僕向きの作品だと感じたし、正直僕が(監督したほうが)いいだろうと思いました(笑)。

脚本については、原作者の吉田(秋生)さんから『映画は現場で生まれるものでしょうから、原作にないシーンや台詞を思いついたら迷わず撮ってください』とお手紙をいただいたこともあり、現場で芝居を見て手を加えていくという普段どおりのやり方で進めることができました。それで、法事から帰ってきた6人の女たちが居間でそれぞれの個性をにおわせつつ動き回る一連のシーンなど、この作品らしい、何ということはないけど好きだなと感じられるシーンをたくさんカメラに収めることができました。

僕はいつも、回想を使わずにどうやって“過去の余韻”と“未来の予兆”を感じさせられるかを意識しているんですが、今回は4人が住む家が持つ「時間」を核にしました。人間より長い時間を持つものをきちんと存在させたうえで人を絡めていったんです。特徴的なのが、姉妹役の綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずに、それぞれ今はもう存在しない人の影を背負って演じてもらっている点。幸には祖母、佳乃には母親、千佳には父親、すずには子ども時代の幸を重ねています。一つのシーンの中で異なる時間軸を持つものを重ねて描いていくと、観ている人の意識が広がる。そうして映画を観終わったときに、4姉妹の生活が今も続いているような余韻を残せていたら、この映画は成功なのではないかと思います。

また、綾瀬さんの所作の美しさ、長澤さんの笑顔、夏帆さんの受けの芝居のうまさなど、女優陣の凛とした魅力も見もの。何よりすずは、彼女のあの年齢、あの瞬間に、この役に出会えたことが奇跡。作品にとっても幸せだったし、僕も幸せでした。本作は、元々原作ファンということもあり、これまで撮ってきたオリジナル作品よりも照れずに好きだと言えるものになりました。むしろ僕がこの映画の一番のファンですね。

◆PROFILE

是枝裕和/'62年東京都生まれ。TVドキュメンタリーの演出家を経て『幻の光』('95)で映画監督デビュー。『そして父になる』('13)で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。代表作に『誰も知らない』('04)、『歩いても歩いても』('08)などがある。

海街diary

『海街diary』

NOW RENTAL & ON SALE
'15年・日
監督・脚本・編集/是枝裕和
原作/吉田秋生
出演/綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平
【セル】3,800円(税抜)、6,000円(税抜/スペシャル・エディション)、4,800円(税抜/ブルーレイ)、7,000円(税抜/ブルーレイ スペシャル・エディション)

(C)2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ

(取材・文:深田尚子/撮影:江藤海彦)

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アーティスト情報

是枝裕和

生年月日1962年6月6日(56歳)
星座ふたご座
出生地東京都

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