『クリード チャンプを継ぐ男』(15)と併せて観たい! 傑作ボクサー映画5選

© 2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

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シルベスター・スタローン主演で人気を博したボクシング映画『ロッキー』シリーズの後継作『クリード チャンプを継ぐ男』が全国公開中だ。そこで今回は、同作と併せて観たい、ボクサーの姿を描いた傑作映画を5本紹介する。

『レイジング・ブル』(80)

名優ロバート・デ・ニーロは、「デ・ニーロ・アプローチ」と称される徹底的な役作りで知られる。そのデ・ニーロが最も過酷な役作りを行ったと言われているのが、マーティン・スコセッシ監督とのタッグで、実在したボクサー:ジェイク・ラモッタの人生を描いた『レイジング・ブル』だ。

主人公のジェイク・ラモッタ(デ・ニーロ)は、ボクサーデビューから順調に白星を重ねていき、不敗を誇るシュガー・レイ・ロビンソンにも勝利を納める。ビッキー(キャシー・モリアーティ)という妻も得て順調にキャリアを重ねていくラモッタだったが、その強さが災いして次第にライバルたちが敬遠するようになり…。

特筆すべきは、余りにも凄まじいデ・ニーロ・アプローチ。ボクサー時代の鍛え上げられた肉体も素晴らしいが、特筆すべきは引退して太ったラモッタの姿。デ・ニーロは体重を27キロ上乗せし、波乱万丈に満ちたラモッタの人生を徹底したリアリティーと共に演じきった。その結果、第53回アカデミー賞では主演男優賞を受賞している。時代性を出すためのモノクロ撮影や、当時は珍しかったリング内部での撮影および切り返しの多用、ハードな暴力描写など、スコセッシ監督による演出も随所で光る。ちなみに、ラモッタ本人は本作を観賞後に、デ・ニーロが演じる自身の姿に驚き、「俺ってあんなに酷かったか?」と妻のビッキーに尋ねたところ、「もっと酷かったわよ」という答えが返ってきたという。

『ザ・ハリケーン』(99)

ノーマン・ジュイソン監督とデンゼル・ワシントンがタッグを組んだ『ザ・ハリケーン』は、冤罪によって30年以上もの刑務所生活を余儀なくされた実在のボクサー、ルービン・“ハリケーン”・カーターの人生を描く作品。主人公のルービン(デンゼル・ワシントン)は、幼い頃から白人警官デラ・ベスカ(ダン・ヘダヤ)に目の敵にされ、不遇の人生を送ってきた。そんな逆境にも負けず、努力の甲斐あってボクサーとして成功を収めたカーターだったが、デラ・ベスカによってある殺人事件の容疑者に仕立て上げられ、終身刑を言い渡されてしまう…。

実話を基にしている作品で最も重要なのは、主人公を演じる主演俳優のパフォーマンスだ。この点において、デンゼル・ワシントンは最高の演技を見せている。鍛え上げた筋骨隆々の肉体美、懲罰帽での幻聴や幻覚、彼に救いの手を差し伸べる少年レズラ(ヴィセラス・レオン・シャノン)との交流で見せる葛藤。惜しくもオスカーは逃したが、ベルリン国際映画祭の銀熊賞、そしてゴールデングローブ賞の主演男優賞を獲得しているワシントンの名演は一見の価値ありだ。

『ミリオンダラーベイビー』(04)

クリント・イーストウッド監督・主演×ヒラリー・スワンク主演の『ミリオンダラーベイビー』は、女性ボクサーと彼女のトレーナーが織りなす悲劇的なドラマを描く作品。主人公のマーガレット(ヒラリー・スワンク)は、困窮する生活を変えるために女子ボクサーとして生きることを決心する。かつて名トレーナーとして名を馳せたフランキー(クリント・イーストウッド)のジムに入会したマーガレットは、フランキーにコーチを頼むが断られてしまう。しかし、毎日サンドバッグに向かうマーガレットの姿に心を動かされたフランキーはコーチを引き受け、マーガレットはスターダムを駆け上がっていくのだが…。

死んだ父親以外からは家族からも愛を受けることなく生きてきたマーガレットと、家族に愛情を見せたことのないフランキー。愛を失ったはずの2人が、二人三脚でキャリアを積み上げていくに従い、知らず知らずの内に愛を見出していくストーリーが生むドラマ性の高さは、流石イーストウッド。マーガレットを陰ながら助ける元ボクサーのエディ役で、いぶし銀な演技を見せたモーガン・フリーマンも素晴らしい。

愛を知らぬマーガレットとフランキーが愛を見出すストーリーは感動的だが、本作は終盤で大きく転調する。そしてラストシーンでは、見る者の心を揺さぶる究極の難問が与えられ、イーストウッドはその難問に対して悲しすぎる答えを提示する。この答えは耐えがたいほど悲しいが、それと同時に「命の在り方」について考えさせられる深みがあるのも見逃してはならない。

『シンデレラマン』(05)

ロン・ハワード監督×ラッセル・クロウ主演の『シンデレラマン』は、実在したボクサーで「シンデレラ・マン」と呼ばれたジェームス・J・ブラドックの半生を描いた作品。主人公のブラドック(ラッセル・クロウ)はボクサーとして華々しいキャリアを誇っていたが、大恐慌の到来をきっかけにキャリアが低迷。年齢を重ねて肉体も衰え、負けがかさむようになり、ライセンスをはく奪されてしまう。その後は港での日雇い仕事で何とか家族を養うブラドックだったが、ある日、思いがけずボクサーとして復帰するチャンスを得る。復帰戦で奇跡的な勝利を収めたブラドックは再ブレイクを果たし、勝ち星を積み上げ、とうとうチャンピオンのマックス・ベア(クレイグ・ビアーコ)に挑戦するのだが…。

特筆すべきは、家族に接する優しい父親としてのブラドックと、リング上で大男たちと闘うボクサーとしてのブラドックを演じ分けたラッセル・クロウの熱演。彼は『ビューティフル・マインド』(01)での繊細な演技が激賞を集めたが、本作における「強さと弱さが同居した」ブラドック役も、彼のキャリアで指折りの当たり役になっている。ブラドックを支え続けるも、命を落とすのではないかと心配しては心を痛める愛妻のメイを演じたレニー・ゼルウィガーも素晴らしい。そしてクライマックス、ベアとの戦いでブラドックが見せる驚きの戦法にも注目だ。

『ザ・ファイター』(10)

デヴィッド・O・ラッセル監督の『ザ・ファイター』は、実在した兄弟ボクサー、ディッキー・エクルンドとミッキー・ウォードの姿を描いた作品。主人公でボクサーのミッキー(マーク・ウォールバーグ)は、兄でセコンドのディッキー(クリスチャン・ベイル)と二人三脚でキャリアを重ねてきたが、ディッキーは薬物中毒で、母や姉たちもミッキーの重荷になっており、、本領を発揮できないでいた。そんなある日、ミッキーはバーで働くシャーリーン(エイミー・アダムス)に出会い、恋に落ちる。時を同じくして、ミッキーは別のジムの会長に勧誘を受け、ディッキーとの決別を決意するのだが…。

本作では、ミッキー役のマーク・ウォールバーグが兄の陰に隠れがちな冴えない弟を見事に演じているのだが、ディッキー役のクリスチャン・ベールが圧倒的に素晴らしい。焦点が定まらない目をギラつかせ、常にハイテンションなディッキーの姿はジャンキーそのもの。ベールはバットマンの印象が未だに色濃く残っているが、オスカー(助演男優賞)を受賞した本作での演技は、同じく徹底的な役作りで話題を呼んだ『マシニスト』(04)と甲乙つけ難い。本編のラストではディッキー本人の姿が映し出されるのだが、挙動から話し方まで、あまりの再現度の高さに驚愕すること請け合いだ。

(文・岸豊)

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クリスチャン・ベール

生年月日1974年1月30日(44歳)
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出生地英ボーンマウス

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クリント・イーストウッド

生年月日1930年5月31日(88歳)
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