『サウルの息子』と併せて観たい! ナチス・ドイツと闘った人々の姿を描いた映画4選

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アウシュビッツ強制収容所でユダヤ人の運搬と死体処理に従事し、その後レジスタンスに加わった男の姿を描いた映画『サウルの息子』が現在公開中だ。そこで今回は、同作と併せて観たい、ナチス・ドイツと闘った人々の姿を描いた映画を4本紹介する。

『シンドラーのリスト』(93)

スティーヴン・スピルバーグ監督は『E.T.』(82)『ジュラシック・パーク』(93)など、子供から大人まで誰もが楽しめる娯楽映画で知られているが、その一方で、歴史ドラマでも高い評価を確立している。その契機となったのが、1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を救ったドイツ人実業家オスカー・シンドラーの姿を描いた映画『シンドラーのリスト』だ。

主人公のシンドラー(リーアム・ニーソン)は、軍需に目を付けてほうろう容器工場の経営を始める。ユダヤ人を安価な労働力として活用したシンドラーは事業を拡大していくが、時を同じくして、冷酷なSS将校アーモン・ゲート少尉(レイフ・ファインズ)が着任。ゲートによって次々とユダヤ人は殺害されていき、シンドラーの工場で働く人々もその標的となるのだが、ユダヤ人労働者への情が芽生えていたシンドラーは、彼らを救うために「あるリスト」を製作する…。

本作以前にもホロコーストを扱った作品は多く作られてきたが、本作ほど大規模でドラマ性に満ちた作品は類を見なかった。シンドラーを絶対的な英雄として描くのではなく、善悪の境界で思い悩む一人に人間として描いたストーリーは悲しみに満ちているが、味わいもある。また、基本的にモノクロの作品でありながらも、部分的に色を付け、そのシーンが孕む悲劇性を強調する映像表現も秀逸だ。


『ライフ・イズ・ビューティフル』(98)

収容所で生きる人々の表情は、一様に暗く重苦しい。しかし、ロベルト・ベニーニが監督・主演を務めた映画『ライフ・イズ・ビューティフル』は、収容所で死を迎えるその瞬間まで、愛する息子を楽しませ続けた、心優しい父親の姿を描いた感動作だ。

主人公でユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は、北イタリアの田舎町で、小学校の教師ドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)と駆落ち同然で結婚し、息子のジョズエ(ジョルジョ・カンタリーニ)をもうける。しかし、第二次大戦の開戦に伴い、3人はナチスによって強制収容所に送られ、グイドとジョズエはドーラと離れ離れに。ジョズエは母がいない寂しさに苛まれるが、グイドは冗談を交えながら、笑顔でジョズエを励まし続ける…。

当時、監督と主演を務めたベニーニは、『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)などのコメディ映画への出演で知られていたが、本作は悲しみに満ちた歴史ドラマだ。対極的な作品への挑戦となったベニーニだが、ストーリーに悲しさがあるからこそ、彼が演じるグイドの優しさと愛は強く引き立っている。笑いを武器にナチスと闘ったグイドの姿によって、アウシュビッツの残酷さが希薄化されていないストーリーのバランスも素晴らしい。

『誰がため』(08)

ナチスによる暴虐の被害を受けた国は数多くあるが、デンマークもその一つだ。オーレ・クリスチャン・マセン監督、トゥーレ・リントハート&マッツ・ミケルセン主演の『誰がため』は、デンマーク国内でナチスの協力者を暗殺した、実在の闘士2人の姿を描いた作品。

主人公のフラメン(トゥーレ・リントハート)とシトロン(マッツ・ミケルセン)は、レジスタンス「ホルガ・ダンスケ」の闘士。上司の命令によって、2人は対独協力者を数多く暗殺していた。しかし、フラメンは愛する人の暗殺を命じられ、一方のシトロンは家族との軋轢に苦しむようになる。そんな中、彼らの隠れ家をナチスが突き止め、2人の最後にして最大の戦いが幕を開ける…。

淡々と暗殺を遂行して「ホルガ・ダンスケ」に尽くす2人だが、それぞれが本当に守りたいと願う存在と、厳しい現実との間で板挟みにあい、心をすり減らしていく様が切ない。次第に自分たちの行いに正義を見出せなくなっていく2人を待ち受ける運命はあまりにも過酷だが、悲惨な最期を迎える彼らの姿があったからこそ、救われた人々もいたと考えると感慨深いものがある。日本でも着実に人気を伸ばしているミケルセンだが、本作でのパフォーマンスは特に素晴らしく、彼が演じるシトロンの哀愁漂う姿は、一度見たら忘れられない。

『ディファイアンス』(08)

エドワード・ズウィック監督×ダニエル・クレイグ主演の『ディファイアンス』は、ビエルスキ兄弟のユダヤ人救出を描いたネハマ・テクの小説『ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟』を映画化した作品。

物語の舞台は、1941年のベラルーシ。ナチスの侵攻を受け、トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)のビエルスキ兄弟は森へ逃げ込む。そこで出会ったユダヤ人たちと共に武装した3兄弟は、「ビエルスキ・パルチザン」(民衆による非正規軍)を結成する。空腹や内紛などの苦難を乗り越えて生き抜いたパルチザンだったが、とうとうドイツ軍と鉢合わせてしまい、苛烈な戦いが始まることに…。

ポーランド国内において、ビエルスキ兄弟は英雄とも略奪者とも言われており、その評価は未だに分かれているが、彼らがナチスと闘ったことは純然たる事実だ。空腹や病気、凍てつく冬の寒さといった数々の試練を乗り越え、生きることを諦めなかったビエルスキ兄弟とパルチザンの姿は、鑑賞者に大きな感動を与える。終盤での大規模な銃撃戦も、一部原作(史実)とは異なるものの、映画的な演出が効果的に機能しており、見る者の目を奪う。

(文・岸豊)


映画『サウルの息子』

1月23日(土)より 新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

監督:ネメシュ・ラースロー

脚本:ネメシュ・ラースロー、クララ・ロワイエ

主演:ルーリグ・ゲーザ

2015年/ハンガリー/カラー/107分/スタンダード

配給:ファインフィルムズ

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アーティスト情報

エドワード・ズウィック

生年月日1952年10月8日(65歳)
星座てんびん座
出生地米・イリノイ・シカゴ

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ダニエル・クレイグ

生年月日1968年3月2日(50歳)
星座うお座
出生地英・イングランド・チェシャー

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