第88回アカデミー賞での不遇も話題に―『それでも夜は明ける』ほか黒人差別に関する映画3選

『それでも夜は明ける』(C)2013 Bass Films, LLC and Monarchy Enterprises S.a.r.l. All Rights Reserved.

『それでも夜は明ける』(C)2013 Bass Films, LLC and Monarchy Enterprises S.a.r.l. All Rights Reserved.

第88回アカデミー賞は、レオナルド・ディカプリオの悲願の主演男優賞受賞などが話題となったが、その一方では、黒人が全くと言ってよいほどノミネートされなかったことが議論を呼んだ。現実社会でも未だ解決されていない黒人差別は、ハリウッドでもまかり通っているのだ。今回は、クラシックの時代から近年に至るまでに作られた、黒人差別に関する映画を3本紹介する。

國民の創生

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D・W・グリフィス監督の代表作で、南北戦争から連邦の再建に至るまでの日々を、南部白人の視点から描く作品。

本作は、クロスカッティングやフラッシュバック、クローズアップやパン、さらには1シーン1カットの否定(マルチアングルの導入)など、今では当たり前の映像表現を初めて効果的に用いたため、映画史においては極めて重要な作品として位置付けられる。しかし他方では、黒人のせいで白人女性が命を落とし、KKK(白人至上主義勢力)が黒人を痛めつけて殺害するのをまるで正義のように描いていたり、白人俳優が体を黒塗りして黒人に扮したこと(当時のハリウッドには黒人俳優がほぼ皆無だった)が、余りにも白人的な差別感情に基づいていると非難を浴びた。

本作は、技術的な面で言えば史上最も偉大な作品でありながら、極めて差別的な映画でもあるが故に、非常に複雑な立ち位置にある作品なのだ。

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アラバマ物語

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ハーパー・リーの原作を基に、白人女性への暴行容疑で逮捕された黒人青年トム(ブロック・ピーターズ)を弁護する白人弁護士アティカス(グレゴリー・ペック)の姿を中心に、黒人差別や南部における屈折した倫理(黒人に協力する白人への差別感情)を鮮やかに描き出す作品。

本作では、アティカスの子供であるスカウト(メアリー・バダム)とジェム(フィリップ・アルフォード)の存在が大きな意味を持っている。彼らは子供ながら、父が挑む裁判や人種差別、町で腫れもの扱いされる「引きこもり」のブー(ロバート・デュヴァル)について好奇心を持ち、あれこれと考えを巡らせるのだが、彼らの姿は南部の白人の子供の頃の姿がリアルに再現されたもので、多くの人々にノスタルジーと共感、そして黒人差別について再考する機会を与えた。

白人が主体ではあるが、白人を英雄視・偶像化しない物語のバランス感覚も素晴らしい。

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それでも夜は明ける

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スティーブ・マックイーン監督が、キウェテル・イジョフォーを主演に迎えて、実在した黒人奴隷ソロモン・ノーサップの半生を描いた作品。

バイオリニストのノーサップ(キウェテル・イジョフォー)は、演奏会の帰りに突然拉致され、そのまま黒人奴隷として売られてしまう。ノーサップは柔和な農園主のウィリアム(ベネディクト・カンバーバッチ)に購入されたものの、農園監督とのトラブルが原因で、残忍な農園主エドウィン(マイケル・ファスベンダー)の下で働くことになり…。

本作で最も重要なのは、「白人農園主による黒人奴隷のレイプ」という犯罪を明確に描いていること。というのも、本作に至るまで、作り手たちはこうした描写を避けてきたのだ(その背景には、余りにも暴力的であることや批判を恐れたことが挙げられる)。しかし、マックイーン監督はこの暗黙の制約を破り、劇中ではっきりとレイプシーンを描いた。その結果、本作は歴史的な文脈でも非常に重要な作品と目され、マックイーン監督は第86回アカデミー賞で、黒人監督として史上初の作品賞に輝くという快挙を成し遂げている。

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(文:岸豊)

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