ディズニー最新作『ズートピア』はこうしてできた―監督&プロデューサーが来日記者会見で語る

左から、

左から、バイロン・ハワード監督、リッチ・ムーア監督、プロデュースを務めたクラーク・スペンサー

ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ズートピア』が4月23日(土)に公開を迎える。その公開をおよそ1か月後に控えた3月24日(木)、本作のメガホンを取ったバイロン・ハワード監督、リッチ・ムーア監督、プロデュースを務めたクラーク・スペンサーが来日して、都内で記者会見を行った。

 

映画『ズートピア』より ©2016 Disney. All Rights Reserved.

本作は、動物が人間のように暮らす社会を舞台に、新米警官のウサギ:ジュディ・ホップスと、詐欺師のキツネ:ニック・ワイルドが、謎の失踪を遂げた動物たちの行方を追う姿を描く作品。

ハワード監督は本作の製作背景について、「5年前に『塔の上のラプンツェル』を完成させた後、次のプロジェクトについて考えていたんだ。そして、ボスのジョン・ラセターに、二本足で立って話す動物についての映画を作りたいと相談したんだよ。ディズニーは話す動物についての映画を長い間作っていなかったから、ジョンはすごく気に入ってくれた」と説明。

ラセターは大興奮したそうで、「ジョンは僕にハグして、『ライオン・キング』のシンバのように持ち上げたんだ。ジョンはとんでもなく強い男なんだよ(笑)」と続けて笑いを誘った。

バイロン・ハワード監督

バイロン・ハワード監督

ラセターから、「今までにない、話す動物についての映画を作ること」を要求されたハワード監督は、ケニアでリサーチを敢行。肉食動物と草食動物が共存するズートピアの世界観は、とある水飲み場で見た、ライオンやガゼル、シマウマが隣同士で水を飲む姿から着想を得たのだという。本作にはアーティストや技術者を含むおよそ700人のスタッフが携わっているそうで、彼らとの旅を通じて本作を発表できたことに、ハワード監督は感謝の意を表した。

リッチ・ムーア監督

リッチ・ムーア監督

共にメガホンを取ったムーア監督は、縮尺や振る舞いなどがリアルだと絶賛されているアニメーションを解説。「1年半ほど費やしたリサーチの後、アニメーターたちは、本作を今までにない、話す動物についての映画にするには、キャラクターが着ぐるみを被った人間のように描かれてはならないと気づいたんだ。素晴らしい設備が備わったディズニー・アニマル・キングダムやケニアなどで研修を行った後、アニメーター陣は動物のありのままの振舞い、個性を組み込みたいと考えた。そして彼らは、最も小さいネズミから、最も大きなキリンまで、それぞれが野性の生活で見せる行動を演じて、所作や明確な感情などを拾い上げながら、個性を追求していったんだよ。私たち3人は、感情表現と、動物が見せる行動に関する知識の素晴らしい融合に感動したし、誇りに思っている。この融合が、本作を既存の作品とは異なるものにしたんだ」と語った。

プロデューサーのクラーク・スペンサー

プロデューサーのクラーク・スペンサー

世界的大ヒットの要因を尋ねられたスペンサーは、「ヒットの要因は3つあると思う。まず1つ目の理由は、ズートピアが複雑でディティールに富んだ社会であること。私は、本作が今までで一番大きな規模で製作された作品だと思うし、鑑賞者はキャラクターや世界観に恋することができる。2つ目の理由は、本作が信じられないくらい面白い一方で、ニックとジュディの関係がとてもエモーショナルであること。つまり、コメディと感情的な面が両立されていることだね。さらに、ディズニー作品で犯罪が描かれることによって、鑑賞者は驚かされもする。3つ目の理由としては、世界から自分が誰かを押し付けられるのではなく、なりたい自分になれる、というテーマやストーリーが響いているんじゃないかな」と分析。

映画『ズートピア』より ©2016 Disney. All Rights Reserved.

映画『ズートピア』より ©2016 Disney. All Rights Reserved.

動物がまつわるアニメの楽しさや意義を訊かれたハワード監督は、「面白いのは、人類が反映された世界を通じて、我々自身の姿を見れることだね。免許センターで働くナマケモノには面白味を見出すことができるし、ジュディにはエモーショナルな繫がりを抱くことができる。リッチと話していたんだけど、日本人スタッフの中に、ジュディと同じように家を出た日本出身の女性がいるんだよね?」と意外なエピソードの存在を明かした。

これを受けたムーア監督は、「多くの日本人スタッフがいるんだけど、その中の一人に、宮崎県出身のサイトウチカという女性がいる。チカはジュディにとても深い繋がりを感じているんだ。というのも、彼女は幼い頃からディズニーのスタジオで働きたいと思っていたんだけど、周囲の人々は理解しなかった。彼女は夢を諦めなかったけど、『どうかしている』と思う人もいたみたい。だからこそ、彼女はウサギなのに警官になりたいと願っていたジュディに、強い繋がりを感じていたんだ」と日本の映画ファンにとっては非常に喜ばしい背景を語ってくれた。

バイロン・ハワード監督とリッチ・ムーア監督

バイロン・ハワード監督とリッチ・ムーア監督

本作は、人間社会を反映したような世界観も話題を呼んでいる。これについてハワード監督は、「ズートピアの世界は、我々のそれと非常に近い。ズートピアをデザインする上では、多くの街や景色を参考にしたよ。語られるストーリーが、アメリカ人だけでなく、人々にとって普遍的なものだったから、ズートピアをアメリカや世界に実際に存在する街だと感じてもらいたかったんだ」と意図を明かした。

バイロン・ハワード監督

バイロン・ハワード監督

最後にハワード監督は、「鑑賞者にとって、ジュディは『夢を追いかける』という、とても典型的なディズニーのヒロインに思える。彼女は、自分が誰なのかを定義するために、とても強い意欲や希望を持っていて、警官になるという夢を叶えるために実家を出るけど、他の若い人々やかつての私と同じように、夢を叶えることは、とても難しいことだと知るんだ。でも、彼女は諦めない。そして、夢を叶えようとする中で、ズートピアに隠された秘密や、彼女が気づいていなかった心理的な弱さを発見する。こうしたネガティブなものごとを無視しないことで彼女は成長していき、勇気ある行動を取り、ネガティブな点を受け入れることで、より強くなっていく。登場した時も魅力的だけど、彼女は旅を経て、人生がそう簡単ではないこと、そして、夢を叶えることは可能だけど、思い描いたように叶わないこともあると学ぶ。ズートピアは白黒はっきりしたものじゃなく、僕らの社会と同じように、グレーで曖昧なものなんだ」と語り、本作が空想とリアリティを共存させた、今までにないディズニー作品であることを強調した。

(取材・文:岸豊)


映画『ズートピア』

2016年4月23日(土)全国ロードショー

製作総指揮:ジョン・ラセター 製作:クラーク・スペンサー
監督:バイロン・ハワード『塔の上のラプンツェル』/リッチ・ムーア『シュガー・ラッシュ』
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

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