新作映画『ルーム』を観るべき3つの理由――全身で人生を抱きしめたくなる傑作

(C)ElementPictures/RoomProductionsInc/ChannelFourTelevisionCorporation2015

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『ルーム』ってどんな映画?

7年前、見知らぬ男に誘拐され、暗く薄暗い“部屋”に監禁された女性ジョイは、その後子どもを出産。5歳になった息子ジャックとともに、部屋に閉じ込められたままだった。男の監視と暴力に耐えかねたジョイは、人生を取り戻すため、逃げ出すことを決意。一方、生まれてから一歩も部屋を出たことがないジャックは、テレビで見た“外の世界”が本当に存在すると聞かされ、混乱してしまう。それでも母親の願いを叶えようと、決死の脱出作戦に身を投じ…。

観るべき理由:1――見事、主演女優賞に輝いたブリー・ラーソン

とにかく見逃せないのが、主演を務めたブリー・ラーソン。多感な10代後半から監禁され、望まぬ形で母親になりながら、息子ジャックへの愛情を惜しまない。さらに奪われた時間の尊さに押しつぶされそうになりながら、家族との再会、社会への順応というステップを踏み、真の意味で“生還”を遂げる難役を熱演。思春期のトラウマについて研究したほか、めったに外出せず、太陽も避ける徹底した役作りが認められ、ゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)&英国アカデミー賞の主演女優賞など40近い女優賞を受賞し、第88回アカデミー賞では見事、主演女優賞に輝いた。

現在26歳で、『リリーのすべて』で助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル(27歳)とは同世代。今後のハリウッドを担う女優の活躍に期待したい。

観るべき理由:2――原作、脚本、撮影、そして天才子役! 奇跡の化学反応

原作はブッカー賞の最終候補にもなったエマ・ドナヒューの小説「部屋」。もちろん、発表直後から映画化オファーが殺到したが、それを予見していたというドナヒューは出版を待たずに脚本も手がけていた。ジャックの一人称である小説とは対照的に、脚本では客観的な視点を加えて、観客を一瞬にして“部屋”の住人にしてしまう巧みなアレンジを施した。物語の舞台であり、重要なキャラクターでもある部屋を見つめるのは2台のカメラ。1台はジャックの目線となる手持ちカメラで、“世界への扉”の役割を果たした。

忘れてはいけないのが、ジャックを演じた天才子役ジェイコブ・トレンブレイ!あまりの芸達者ぶりに「オスカー候補になるべき」の声も多く上がった名演に圧倒されたい。素顔は『スター・ウォーズ』が大好きな9歳の男の子だ。

観るべき理由:3――「ハローで始まり、グッドバイで終わる」 その意味は?

衝撃的な設定であるが、それでも『ルーム』は誰もが共感できるポイントが多々ある。監禁された“部屋”の内と外で貫かれた親子愛はもちろん、未知なる新世界が目の前に広がった瞬間の喜び、興奮、不安、発見が鮮やかに描かれているのだ。折しも新生活が始まる春。ジョイのように環境の激変に戸惑う人もいれば、ジャックのように胸躍らせている人もいるはずだ。

「この映画はハローで始まり、グッドバイで終わるの。でも、そのグッドバイの先に新しい世界が待っている。そう感じてもらえれば嬉しい」。そう語るのは先ごろ、初来日を果たしたラーソン。緊張感あふれるサスペンスであり、人間の尊厳を暖かく見つめるヒューマンドラマ。見終われば、全身で人生を抱きしめたくなる傑作だ。

(文・内田涼)


『ルーム』

9月16日(金) Blu-ray&DVDレンタル・発売、デジタル配信開始

【第88回アカデミー賞(R)主演女優賞受賞】
作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説をブリー・ラーソン主演で映画化。監禁された女性とその部屋で生まれ育った息子が外界へと脱出。そこから始まるさまざまな葛藤や苦悩、感動を描き上げていく。

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ルーム

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出演者 ブリー・ラーソン  ジェイコブ・トレンブレイ  ジョーン・アレン  ショーン・ブリジャース  ウィリアム・H・メイシー  トム・マッカムス  アマンダ・ブルジェル  ジョー・ピングー  キャス・アンヴァー  ランダル・エドワーズ
監督 レニー・アブラハムソン
製作総指揮 アンドリュー・ロウ  エマ・ドナヒュー  ジェシー・シャピーラ  ジェフ・アークス  デヴィッド・グロス  ローズ・ガーネット  テッサ・ロス
脚本 エマ・ドナヒュー
原作者 エマ・ドナヒュー
音楽 スティーヴン・レニックス
概要 閉ざされた[部屋]で暮らす、ママとジャック。体操をして、TVを見て、ケーキを焼いて、楽しい時間が過ぎていく。しかし、この部屋が、ふたりの世界の全てだった。[部屋]で5歳の誕生日を迎えたジャックに、ママは話しはじめた。「この部屋の外にも世界があるの。」閉ざされた[部屋]で生れ育った息子に本当の<世界>を見せるために、母は脱出を図る。初めて<世界>を目にしたジャックはー。
作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説をブリー・ラーソン主演で映画化。大きな愛に、溢れかえる希望に、涙が止まらない。アカデミー賞主演女優賞受賞。衝撃と感動の物語。

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