渋谷紀世子が選ぶ「VFX業界に入るきっかけとなった作品と映像的に影響を受けた作品」10本

『ALWAYS 三丁目の夕日』など数々の作品を手がけてきた VFXディレクターの渋谷紀世子さん。 無限に広がる映像表現の可能性についてもトコトン語っていただきました。

※ピックアップ作品は、2012年末に発行された『シネマハンドブック2013』掲載のものとなります。ご了承ください。


渋谷紀世子が選ぶ 「VFX業界に入るきっかけとなった作品と 映像的に影響を受けた作品」10本

バックトゥザフューチャー

親友で科学者のドクのタイムマシンの実験に立ち会った高校生のマーティ。だがひょんなことから過去にタイムスリップ。父と母の恋愛を自分が邪魔してしまう!

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ブレードランナー

タイレル社が開発した最新レプリカント(人造人間)6名が、人間を殺害して脱走。彼らを追うことになったデッカードは、やがて彼らの真の目的を知る…。

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コックと泥棒、その妻と愛人

高級フレンチレストランを舞台に、店の常連である泥棒とその妻、妻の愛人の学者による欲望渦巻く人間関係をつづる。衣装はジャン=ポール・ゴルチエが担当。

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シザーハンズ

ティム・バートン監督とジョニー・デップが初めてタッグを組んだラブファンタジー。純真無垢な人造人間のエドワードと、人間のヒロイン、キムの切ない恋を描く。

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アメリ

モンマルトルのカフェで働きながら夢見がちに生きる22歳のヒロイン、アメリ。彼女の軽やかな日常と彼女の恋をポップに描く。観ているだけで幸せになれる1本。

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ナイトメアービフォアクリスマス

クリスマスに魅せられ、みずから“サンタ”としてハロウィン風クリスマスを企画したジャックが巻き起こす珍騒動を描く。製作&原案はティム・バートン。

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インセプション

寝ている間に、人の意識下に入ってアイデアを盗むスゴ腕の産業スパイ、コブ。彼は逆に、アイデアの芽を人に植え付ける“インセプション”の依頼を受ける。

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ベンジャミンバトン

80歳の肉体で生まれ、次第に若返っていく主人公ベンジャミン。そんな彼を通して、愛する者との出会いと別れを描き上げたハートフルストーリー。

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スタートレック

みずからの命を犠牲にして800人の乗組員を救った伝説の艦長を父に持つカーク。彼がエンタープライズ号に乗船し、艦長に成長していくまでを描く。

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塔の上のラプンツェル

魔法の髪を持って生まれたために拉致され、塔に閉じ込められて育ったラプンツェル。だが偶然、塔に入ってきた盗賊フリンに触発され、冒険に出る。

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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』―VFXの業界に入るきっかけとなった作品です

『バックトゥザフューチャー』

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

初めて自分で友達を誘って観に行った映画であり、VFXの業界に入るきっかけとなった作品です。そもそもタイムマシンが自動車で、炎を引き連れて走るイメージも素晴らしかったし、最後は車が空を飛ぶ! いくらでも発想は自由でいいんだと思えましたね。

物語も面白いけれど、さらにそこに小道具やキャラクターが伏線として効果的にちりばめられています。続編が公開される時は私はこの業界で働いていましたが、オプチカル合成からデジタル合成に変わった過渡期のころでした。映像表現の難しさを知った上で観ることができ、勉強になりました。

『ブレードランナー』―色彩に訴えかけてくるような映像を創る監督が好き

『ブレードランナー』

『ブレードランナー』

そもそも『ブレードランナー』の原作者であるフィリップ・K・ディックの小説は大好きで読んでいました。いちばん衝撃を受けたのは、やはり映画が見せた独特の世界観。明るい未来ではなく“ダメな未来”で、あの薄汚れた雰囲気には驚きました。それとシド・ミードがデザインした未来の車にも惹かれました。車自体に興味はないんですが、ああいうガジェット的なものは気になります。

それと色彩設計もすごい。イエローアンバーな世界観とか、タイレル社から見た夕陽の色合いとか。色彩に訴えかけてくるような映像制作をしている監督は好きですね。

『コックと泥棒、その妻と愛人』―初めて“グロテスクは美しい”という感覚を知った作品

『コックと泥棒、その妻と愛人』

『コックと泥棒、その妻と愛人』

ピーター・グリーナウェイ監督は、映像をつくる際にいろいろなコンセプトを持ち込んで映像化します。とてもハッキリとガラッと変わる作風に挑む監督なんですよね。この作品では、赤、青、緑、黄色と、心情によってかなり色彩をハッキリと区別させています。例えば真っ青な部屋が登場したり。あの色の激しさが嫌いだという人もいるかもしれませんが、私はとても惹かれますね。

本当に頭をガーンと殴られるような衝撃的な映像表現も多いし、グロい部分もあるんですが、この映画で初めて“グロテスクは美しい”という感覚を知りました。

『シザーハンズ』―練り込まれた独特の世界観に刺激を受けた作品

『シザーハンズ』

『シザーハンズ』

ティム・バートンがすごい好きなんです。この作品を初めて観たのは、自分が白組でCMのためにミニチュアなどを作っていた時期なんですが、練り込まれた独特の世界観にいろいろ刺激を受けました。

美術的には、緑の中に映えたパステル色の家が並んでいる感じが面白かった。 ポップだけどキッチュでかわいい世界でしたね。しかもその中を、ハサミの手を持つエドワードが黒づくめのハードコアのような格好で歩いている。強烈な取り合わせですよね。そのミスマッチ感が今は面白いと思えるけれど、公開当時はひたすら驚きましたね。

『アメリ』―担当作と同じ撮影手法に勝手にシンパシーを感じた(笑)

『アメリ』

『アメリ』

ALWAYS 三丁目の夕日が公開したころ、そういえば『アメリ』は『三丁目の夕日』が昭和30年代の東京を舞台にしたように、ほんの少し前のパリを舞台にしていたなと思い、DVDで観ることにしたんです。そうしたらメイキング映像でエッフェル塔の前にブルーバックやグリーンバックをたくさん立てて撮影していた。古い建物や街並みが残ったイメージのパリだったけど、『三丁目の夕日』と同じ手法で撮影しているのを見て、勝手にシンパシーを感じてしまいました(笑)。話も違うし国も違うけれど、やっていることは一緒なんだと思いました。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』―立体アニメで“夜の暗さ”を表現しているのがすごい

『ナイトメア−ビフォアクリスマス』

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』

ディテールにこだわっているし、何より秀逸なのは夜の表現。光量の加減が難しいので、立体アニメは明るい中で作るのが基本ですが、この作品は暗さを表現しているのがすごい。立体(人形)アニメを自分たちで制作していた時期もあったので、いかに立体アニメにはお金や時間がかかり、作業的にも大変なのに、出来上がりは地味な感じになることが多いことも知っていました。その中で自分の映像表現を貫きながら、これだけメジャーにヒットした映画にしたのはすごいことだと思います。しかも評価も高いというのは、他人事ながら嬉しいですね。

『インセプション』―映像の表現は無限なんだなと改めて思い知らされた

『インセプション』

『インセプション』

ヨーロッパ最大のVFX制作会社、ダブル・ネガティブが、どのように人間の夢を映像化するのか。夢の中に入っていく感覚をどう表現するのか。そこに興味があって観に行きましたが、ただただ圧倒されましたね。夢の中の夢の中の夢とか、よくあんなアイデアを考えつくものだなと。

実は自分も、前の日に見た夢の続きを次の日に見ることがあったりと、元々“夢”というものにすごく関心があったんですよ。それを映像化できる羨ましさを感じながら観ましたし、この『インセプション』で改めて、映像の表現は無限なんだなと思い知らされましたね。

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』―これを仕事として頼まれたら 困るだろうなと思った(笑)

『ベンジャミンバトン』

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

もしこれを仕事として頼まれたら、すごく困るだろうなと思いながら観た作品です(笑)。CGで皮膚などの柔らかいものを描くのは大変なんです。どうしても生きているものが死んだように見えてしまう。人間の表情はいろいろ連鎖して動いているので、それを表現するのが難しい。

この作品では特殊メイクとCGが組んで主人公を若返らせていきますが、その技術が本当にすごい。よく作ったなと思いますね。

『スター・トレック』―自分の中のいろんな スイッチが押された感じ

『スタートレック』

『スター・トレック』

元々、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の参考にと思って観ましたが、仕事を忘れて見入ってしまった1本ですね。 とにかく『スター・トレック』のエピソード0的な設定が、ファンじゃなくても楽しめると思うし、ファンはファンで、どうやってカークたち乗組員がエンタープライズ号に乗ったか、サクセスストーリーとしても観られるなと思いました。自分の中のいろんなスイッチが押された感じです。

『塔の上のラプンツェル』―ヒロインのなめらかな髪の 表現が素晴らしかった

『塔の上のラプンツェル』

『塔の上のラプンツェル』

この作品には長い髪を持つラプンツェルというヒロインが登場しますが、その髪をCGでどう再現したのか、確認したくて観に行きました。伝統的なストーリーにカートゥーン的な表現が見事に混ざっていて、とても魅了されました。 空に灯籠を放つファンタジックなシーンも印象的でしたね。肝心のヘアも艶やかでなめらか。これはセルアニメでは無理な表現だなと思い、ひたすら圧倒されました


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プロフィール

渋谷紀世子

株式会社白組所属のVFXディレクター。代表作に『ALWAYS 三丁目の夕日』(シリーズ)『永遠の0 』(’13) など。『Friendsもののけ島のナキ』('11)や、『STAND BY ME ドラえもん』('14)ではプロデュースも。

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