新作映画『ガルム・ウォーズ』を観るべき3つの理由――アニメ/実写、邦画/洋画の枠を超えるハイブリッドSF

(C)I.G Films

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『ガルム・ウォーズ』ってどんな映画?

舞台は“ガルム”と呼ばれるクローン戦士が果てしない戦いを繰り広げている古代の星・アンヌン。その創造主が去ったことで、空を制する「コルンバ」、陸を制する「ブリガ」、情報テクノロジーに精通した「クムタク」という3部族による覇権争いは激しさを増していた。そんなある日、コルンバの女性飛行士、ブリガの男性兵士、クムタクの賢者が運命的な出会いを果たし、故郷アンヌンの謎、そしてガルムの存在意義を探る冒険に旅立つ…。

観るべき理由:1――アニメ?実写? 未体験の映像美にうっとり

監督を務めるのは、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』『THE NEXT GENERATION パトレイバー』シリーズの押井守。ジェームズ・キャメロン、クエンティン・タランティーノらに強い影響を与えた、偉大なる映像クリエーターの最新作はケルト神話を下敷きに、深遠なテーマを問いかけるSFファンタジーだ。1990年後半に企画されながら、当時の映像技術では実現不可能と判断され、一度はプロジェクトが“凍結”されたいわくつきの作品でもある。

実際、本編を見ると以前か押井監督が追求する「アニメと実写の融合」が、最新のVFX技術によって表現されており、近未来版『ロード・オブ・ザ・リング』ともいうべき密度の高いファンタジー空間がスクリーンに展開している。思わずうっとりしてしまう、未体験の映像美だけで一見の価値がある作品だ。

観るべき理由:2――カナダでのロケが醸し出す異質な空気感

神話的なファンタジー世界をさらに神秘的にしているのが、ロケ地となったカナダの自然だ。『アバター』『GODZILLA』なども利用したカナダの税制優遇制度「タックス・クレジット」をもとに製作体制が整われ、2013年4月にモントリオールでクランクイン。押井監督はハンガリーで撮影した『アヴァロン』(2001年公開)での反省を踏まえて、「郷に入っては郷に従え」の精神で、自身を含めたわずか7人の日本人スタッフを連れて現地入りし、カナダ人スタッフと作品を作り上げた。

言葉や文化の違い、タイトなスケジュールが原因で何度も撮影中止のピンチに立たされたというが、その甲斐あって日本ロケでは決して撮れない異質な空気感が生み出された。

観るべき理由:3――映画の新しい可能性を示唆するハイブリッドSF

映画は多くの謎を秘めた星・アンヌンでの冒険を通して、本来戦い合うはずの戦士3人が種族の“枠”を超えて、クローンとして生まれ死ぬ自らのアイデンティティーと向き合う姿が描かれている。国内外の情勢が混迷する時代だからこそ、この「枠を超える」というテーマは、映画のストーリー以上の意味深い問いかけを観客に投げかけている。

『ガルムウォーズ』という作品そのものも、アニメ/実写、邦画/洋画の枠組みを超えるハイブリッド(いい意味でのカオス)な質感が大きな魅力だ。出演者は『エイリアン2』のビショップ役で知られるランス・ヘンリクセンら欧米人で固める一方、朴ロ美ら実力派声優による日本語版での上映も行われ、本作が目指すクロスオーバーを加速させている。

(文・内田涼)


映画『ガルムウォーズ』
2016年5月20日全国ロードショー

原題・英題:GARM WARS The Last Druid

出演
ウィド:ランス・ヘンリクセン(『未知との遭遇』『ライトスタッフ』『エイリアン2』)
スケリグ:ケヴィン・デュランド(『ウルヴァリン』『ロビン・フッド』『リアル・スティール』)
カラ:メラニー・サンピエール

声の出演
ウィド:壤 晴彦
スケリグ:星野貴紀
カラ:朴璐美

原作・脚本・監督:押井守
日本語版プロデューサー:鈴木敏夫
音楽:川井憲次
宣伝コピー:虚淵玄(ニトロプラス)
日本語版演出:打越領一
日本語翻訳:原口真由美
日本語制作:ACクリエイト
日本語版制作・宣伝協力:スタジオジブリ
制作:Production I.G
製作:バンダイナムコエンターテインメント Production I.G
コピーライト:(C)I.G Films
製作国:日本・カナダ
上映時間:92分/シネマスコープ
音響:ドルビー・デジタル・サラウンド
配給:東宝映像事業部

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アーティスト情報

押井守

生年月日1951年8月8日(67歳)
星座しし座
出生地東京都大田区

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