【ホラー映画マニアックス】覗き! ドブネズミ! 監禁拷問! 要塞と化したアパートでブッ飛び大家が大暴走!! 『クロール・スペース』のクセがすごい

クロール・スペース

船のオモチャが何ともシュール

マンションやアパート、それにホテル、さらにはモーテル。それを管理する人間が末恐ろしいヤツだった……という設定はホラー映画のサブジャンルとして意外と人気で製作本数も多い。アルフレッド・ヒッチコック監督の名作『サイコ』、トビー・フーパー監督の『悪魔の沼』、ケヴィン・コナー監督の『地獄のモーテル』、近年ではジャウマ・バラゲロ監督の『スリーピングタイト 白肌の美女の異常な夜』など見応えのある傑作も多い。

建物全体を管理する責任にある人間は大きなコミュニティの班長的存在であり、そんな役割を担う人間に悪人などいるはずがない、という意識が我々の中に少なからずある。そもそも自分の部屋は最もプライベートな場所であり、心休まるテリトリーであってほしいと誰もが願う。ところが“管理人系ホラー”は、その前提や常識、願望を思い切り覆す。そこに恐怖が生まれる。

このジャンルに登場する管理人の第一印象は、大体において親切でいいヤツで入居者や宿泊者を心底ホッとさせる。しかしそれはあくまで表の顔。裏の顔は想像を絶するほど鬼畜だった、というのが基本的セオリーだ。5月18日にDVD&Blu-ray化される映画『クロール・スペース』(1986)もその一つ。1980年代に個性的なB級ホラーを量産していたエンパイア・ピクチャーズが製作しているだけに、かなりの珍妙作といえる。

クロール・スペース

※アパートです

解剖医出身の大家さん・ガンターが、DIY精神を発揮してアパートを要塞化。美女ばかりを入居させ、夜な夜な通気口を這いずり回りながらひたすら住民女子たちの私生活を覗き見る。部屋に男を連れ込んだり、オシャレぶって女子会を開こうものなら、隠し小窓からドブネズミを投入。解剖医出身だけあり、手先はかなり器用で、飛び出す槍や飛び出す牢獄フェンス、さらには台車を改良した通気口高速移動マシーンまでも発明製造。発明への衝動だけは、日曜大工の鏡だ。

アクティブな一方で、管理人室には舌を引っこ抜いてゲージに閉じ込めた女性がおり、その女性に対して自らの半生を語り聞かせつつ、ノートに記すという陰湿なアナログ・ブロガーな一面も。なぜこんな男に育ったのか!? なんでもガンターの父親はナチスで拷問人体実験を行っていたという背景があり、ガンター自身もいざとなると軍服を着こみ、自らの体にアドルフ・ヒトラーの演説映像をプロジェクション・マッピングするという厄介なDNAが遺伝済だ。

そんなアブナイ大家さんを演じるのは、ドイツ出身の変態俳優クラウス・キンスキー(小児性愛カミングアウトの過去あり)。ムスッとした顔面造形と焦点の合っていないような目ゆえに、何もしていなくても怖いのに、そんな彼による異常行動の数々は悪夢そのもの。

クロール・スペース

この人が変態俳優ことクラウス・キンスキーさん

カルト臭プンプンの本作を生み出したのは、デヴィッド・シュモーラー監督。のちに人気シリーズ化する『パペット・マスター』や、スティーヴン・キングが偏愛するカルト映画『デビルス・ゾーン』を手掛けた、ホラー映画愛好家的にはナイスガイだ。

日本で紹介された作品はそこまで多くはないが、一途にホラー畑をフィールドにしており、変態的かつ独自の世界観には定評がある。なお、ジブリ映画『風の谷のナウシカ』のアメリカ公開の際には、英訳シナリオ担当で名前がクレジットされている。宮崎駿監督が持つ世界観とシュモーラー監督の変質的センスには、どこかリンクする部分があるのかもしれない。

(文:石井隼人)

クロール・スペース

映画『クロールスペース』
2016年5月18日 Blu-ray&DVD発売開始/DVDレンタル中

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アーティスト情報

宮崎駿

生年月日1941年1月5日(77歳)
星座やぎ座
出生地東京都文京区

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