【第69回カンヌ国際映画祭】祝・パルムドール受賞!ケン・ローチ監督の傑作映画3選

世界三大映画祭の一つに数えられるカンヌ国際映画祭。第69回を迎えた今年、その最高賞であるパルムドールは、イギリスの巨匠ケン・ローチ監督の最新作『ダニエル・ブレイク』に与えられた。『麦の穂をゆらす風』に続いて二度目のパルムドールに輝いたローチ監督は、これまでにも上質な作品を数々生んできた。というわけで今回は、ケン・ローチ監督の傑作映画を3本紹介する。

アイルランドの独立を切ない兄弟愛と共に描き出す秀作

『麦の穂をゆらす風』

『麦の穂をゆらす風』

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<あらすじ>舞台はイギリス統治下のアイルランド。医師志望の若者デミアン(キリアン・マーフィ)は、夢を捨てて義勇軍に入り、独立戦争に参戦する。奮闘の甲斐あってイギリスとアイルランドの間には講和条約が結ばれたのだが、今度はその評価を巡ってアイルランド国内で内戦が勃発。デミアンは戦友でもある兄のテディ(ポードリック・ディレーニー)との対立を強いられてしまい…。

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共に解放を目指して戦ったにもかかわらず、結果的にがんじがらめとなってしまったテディとデミアン。兄弟の愛と思想の貫徹という、秤にかけようもない2つの現実に対してそれぞれが下す決断は、見る者すべての心を強く揺り動かすと同時に、国際的に悪名高いイギリスの占領統治についても一考させる深みがある。その悲劇的な結末は世界中から激賞を受け、第59回カンヌ国際映画祭ではローチ監督に初のパルムドールをもたらした。

伝説のサッカー選手・カントナにフィーチャーしたコメディ

『エリックを探して』

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<あらすじ>郵便配達員のエリック・ビショップ(スティーヴ・エヴェッツ)は、マンチェスター・ユナイテッドのエリック・カントナの大ファン。ある日、息子たちに手を焼く毎日に思い悩んでいたエリックの前に、カントナ(本人)が現れる。そしてエリックは、カントナからの助言と仲間たちの助けを得ながら、音信不通だった元妻や、息子たちを利用するギャングたちとの問題を少しずつ解決していく…。

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サッカー・ファンでなければカントナの名を知る者は少ないだろうが、本作を見れば彼がいかに偉大な選手であるかは一目瞭然。彼がエリックに与える助言の数々は実に的確かつ明快で、現役時代のリーダーシップをほうふつさせる。なぜこれほどカントナが魅力的に描かれているのかというと、ローチ監督自身も大のサッカーファンだから。とはいえ、物語の魅力はカントナに留まらない。エリックが抱える「父親としての不安」は普遍的な共感を促すし、エリックの前に立ちはだかる悪党を「カントナ軍団」が成敗するラストには爆笑させられる。

スコットランドらしい、ウィスキーにまつわる可笑しなドラマ

『天使の分け前』

『天使の分け前』

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<あらすじ>グラスゴーに暮らす青年ロビー(ポール・ブラニガン)は、親の代から続く抗争で暴力事件を起こした結果、3人の仲間たちとともに社会奉仕活動を命じられる。いやいや参加するロビーだったが、彼は指導者でウイスキー愛好家のハリー(ジョン・ヘンショウ)から影響を受けて、ウィスキーのテイスティングに興味を持つようになり…。

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主人公がこれほどまでにどうしようもない映画は珍しいが、恋人の出産を機に改心しようと懸命に努力するロビーの姿には引き込まれる。ウィスキーをモチーフにするというアイディアも面白い。なぜなら、飲酒や喫煙といった要素はスポンサーから好まれず、昨今の映画界では敬遠されがちだからだ。しかし、ローチ監督は可笑しさと小さな感動を織り交ぜながら、ウィスキーの奥深さ、その魅力を紐解いていく。タイトルの「天使の分け前」が鍵になるロビーの計画、そしてこれに続く爽やかなラストも素晴らしい。

(文:岸豊)

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