新作映画『シング・ストリート 未来へのうた』を観るべき3つの理由――新たな音楽青春映画の傑作が生まれた!

(C) 2015 Cosmo Films Limited. All Rights Reserved

(C) 2015 Cosmo Films Limited. All Rights Reserved

『シング・ストリート 未来へのうた』ってどんな映画?

1985年、不況が長引くアイルランドのベルリン。14歳のコナーは、父親の経済的な事情で公立の荒れた学校に転校されられる。肌に合わない学校生活に加えて、両親の仲も悪化。そんな鬱屈した日々を救ったのが、当時旋風を巻き起こしていたブリティッシュミュージックだった。そんなある日、自称モデルの年上女性に恋したコナーは「僕のバンドのMVに出ない?」と声をかける。彼女の答えは意外にもイエス。コナーは慌ててバンドを結成し…。

観るべき理由:1――主演はジェイミー・ベル、ニコラス・ホルトに続くスター候補!

『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』と音楽愛あふれる秀作を次々と発表し、熱い支持を集めるジョン・カーニー監督。彼が自身の少年時代を投影させた自伝的作品である本作はかつて、キャメロン・クロウ監督が音楽業界に身を投じた自身の10代を描いた『あの頃ペニー・レインと』に匹敵する、新たな青春音楽映画の傑作だ。繊細で瑞々しく、エネルギッシュで限りなくロック。疾走感あふれる青春群像に、切ない10代の片想いが織り交ぜられ、「とにかくいい!」としか言いようがない。

主演を務めるフェルディア・ウォルシュ=ピーロが放つピュアな輝きもまぶしい限りで、ジェイミー・ベル(『リトル・ダンサー』)、ニコラス・ホルト(『アバウト・ア・ボーイ』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』)に続くスター候補として、ぜひ注目すべき存在だ。

観るべき理由:2――岡崎体育もビックリ、80年代MVあるある満載!

主人公があこがれの女性に出会い「僕のバンドのMVに出ない?」と声をかける設定が、いかにもミュージックビデオが台頭を始めた80年代らしく微笑ましい。音楽好きの兄と一緒に、ラジオではなく、テレビから流れるミュージックビデオを“見ながら”、クールな音楽、そして海の向こうのイギリスに思いをはせる少年の眼差しも印象的だ。

そして急ごしらえでバンド(その名もシング・ストリート)を結成し、作曲や演奏の練習に並行し、見よう見まねでMVを撮影するシーンは、新進気鋭のアーティスト岡崎体育が“MVあるある”を詰め込んだ話題曲「MUSIC VIDEO」の80年代バージョンともいうべき内容でアラフォーには懐かしく、若い世代には新鮮に映るはずだ。本作を鑑賞した岡崎本人も「若者のやるせない気持ちはクリエイションの塊。劇中歌がめっちゃよかったので、間違いなくサントラ購入決定」と絶賛コメントを寄せている。

観るべき理由:3――閉館する渋谷シネクイントのクロージング作

そして、本作を観るべき最大の理由は、今年8月に閉館する渋谷の映画館「シネクイント」のクロージング作品だということ。99年7月にオープンし、時代の先端を走るラインナップで“映画の町・渋谷”をけん引してきた同劇場は、パルコ建て替えに伴い、本作の上映を最後に8月7日(日)、その歴史に幕を閉じることになっているのだ。現時点で、建て替え完了後に再び、映画館が営業されるかは不明。道を挟んだ向かいで営業していたシネマライズがすでに閉館しているだけに、ぜひシネクイントには復活を遂げてほしいが…。

ひとりの少年が音楽と出会い、自らの意志で未来を切り開こうと奮闘する『シング・ストリート 未来へのうた』を閉館前のシネクイントで鑑賞し、「映画館で感動を共有する」という映画本来の楽しみ方と、その未来に思いをはせたい。

(文・内田涼)


映画『シング・ストリート 未来へのうた』
7月9日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイント 他全国順次公開

監督・脚本:ジョン・カーニー(『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』)
出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、エイダン・ギレン、マリア・ドイル・ケネディ、ジャック・レイナー、ルーシー・ボーイントン

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST