新作映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』を観るべき3つの理由――“干されても”執筆をやめなかった不屈の脚本家

(C)2015 Trumbo Productions, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ってどんな映画?

ソ連との冷戦が続く1947年。国家権力が共産主義者を弾圧、排除する名目で多くの人々にいわれなき嫌疑をかけた“赤狩り”は、その理不尽な魔の手をハリウッドにも伸ばしていた。売れっ子脚本家のダルトン・トランボは以前から労働問題に熱心に取り組み、また若かりし頃に共産党員だったという理由で、国家転覆をもくろむ破壊分子のレッテルを貼られてしまう。家族に支えられながら、自らの信念を貫くトランボ。“干されても”なお、脚本執筆を続けた驚きの行動とは?

観るべき理由:1――偽名でアカデミー賞受賞!実在した不屈の脚本家

赤狩りによる弾圧、投獄という苦汁を味わいながら、不屈の精神で創作活動に打ち込んだ実在の脚本家ダルトン・トランボの半生を描いた本作。ハリウッドの汚点と言われる暗い歴史を背景にしながら、作品そのものは非常にテンポよく、何よりもエネルギッシュなヒューマンドラマに仕上がった。その理由はズバリ、どんな困難に対しても持ち前のバイタリティを武器に立ち向かうトランボの人間力にある。

公での活動ができなくなると、複数の偽名を使い分け、ときには格安のギャラでB級映画の脚本を執筆することも。アカデミー賞で最優秀原案賞を受賞した『ローマの休日』(1953年)も真の作者はトランボだった。そのわずか3年後には、やはり偽名で執筆した『黒い牡牛』で再びアカデミー賞を受賞。もちろん、その事実は長年にわたり、本人や家族、わずかな関係者しか知らなかった。

観るべき理由:2――トランボの戦いを支えた家族、仲間のきずな

本作はトランボという人物について、2つの側面からその人間性を描いている。1つは逆境をものともせずに、執筆を続けた誇り高い脚本家。もう1つは一家の大黒柱であり、家族を愛する父親、夫の顔だ。赤狩りの脅威が国中を包み込むなか、国家権力にとって著名人であるトランボへのバッシングは効果大。当然、家族も不安やストレス、より具体的な危険に身をさらされた。

それでも、家族として支え合い、トランボと一緒に試練を乗り越えていこうとする妻と3人の子どもたちの姿が感動的だ。50年代の社会問題を扱いつつも、家族愛という普遍的なテーマが根底にあり、誰もが感情移入できるはず。また、同じ赤狩りの標的となった者同士が仲間として団結し、少しずつ潮目を変えていく様子には勇気をもらえること間違いなしだ。

観るべき理由:3――現在のハリウッドを代表する名優が総出演

主人公ダルトン・トランボを演じるのは、本作で第88回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたブライアン・クランストン。海外ドラマファンであれば、「ブレイキング・バッド」の主人公ウォルター・ホワイト役と聞いて、ピンとくるはず。同ドラマでは「家族のためにドラッグ製造に手を染める余命わずかの化学教師」という強烈なキャラを演じているが、『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』でも脚本家にして、愛すべき“クセがすごい”父親像を見事に体現している。

また、妻を演じるダイアン・レイン、長女役のエル・ファニング、トランボを追い詰めるゴシップ記者に扮するヘレン・ミレンと世代を超えた実力派女優が、トランボの数奇な人生を華々しく彩っている。オスカー級の名演を存分に堪能できるのも、本作の大きな魅力だ。

(文・内田涼)


映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』
公開中

監督:ジェイ・ローチ(『ミート・ザ・ペアレンツ』)
脚本:ジョン・マクナマラ
原作:ブルース・クック(Based on the book “Dalton Trumbo” by Bruce Cook)
出演:ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、エル・ファニング、ヘレン・ミレン ほか
原題:TRUMBO
2015年/アメリカ映画/上映時間:124 分/字幕翻訳:李静華
配給:東北新社 Presented by スターチャンネル

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アーティスト情報

ダルトン・トランボ

生年月日1905年12月9日(70歳)
星座いて座
出生地米・コロラド・モントローズ

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エル・ファニング

生年月日1998年4月9日(20歳)
星座おひつじ座
出生地米・ジョージア

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