【話題のテーマまとめ】『オール・ザ・キングスメン』ほか、腐敗した政治家の姿を描く傑作映画3選

「政治と金」の問題に決着をつけることなく、逃げるように辞職した元東京都知事・舛添要一。国民の代表である政治家は、模範的な存在であるべきなのに、悲しいかなその一部は腐敗しているのが現実だ。振り返ってみると、腐敗した政治家は古くから映画のテーマとなってきた。そこで今回は、腐敗した政治家の姿を描く傑作映画を3本紹介する。

「正しいことをする」ということの尊さ

『スミス都へ行く』/監督:フランク・キャプラ

<あらすじ>田舎で少年団のリーダーを務める朴訥な青年スミス(ジェームズ・スチュワート)は、上院議員の空席を埋めるために担ぎ出された結果、議員になる。最初は戸惑いを見せるスミスだったが、彼は次第に仕事へやりがいを見出していき、汚職問題の存在を突き止める。圧力を受けて不利な状況に追いやられるスミスだったが、彼は勇気をもって公聴会で汚職を告発し…。

⇒作品詳細・レビューを読む

田舎町の青年が都会で成功を収めていく、という典型的なサクセスストーリーに見えて、実に深遠な問題提起をする作劇には、さすがキャプラ監督と言うほかない。最大の見どころは、公聴会における途方もなく長い演説だ。このシークエンスでスチュワートが見せる「正義の心」は、その凄まじい熱量によって見る者を引き込み、「正しいことをすること」の尊さを再認識させてくれる。この次に紹介する作品『群衆』と非常に近いテーマ性を持つ作品なので、ぜひ併せて鑑賞してもらいたい。

権力者の思惑に翻弄された男を描くドラマ

『群衆』/監督:フランク・キャプラ

<あらすじ>女性記者のアン(バーバラ・スタンウィック)は、ジョン・ドゥーという架空の男に関するでっち上げの記事を書く。これが社会で大反響を起こし、アンは端正な顔を持つ元プロ野球選手のウィロービー(ゲイリー・クーパー)をジョン・ドゥーに仕立て上げる。人気者となったウィロービーだが、彼は次第に虚像とのギャップに耐えられなくなってしまい…。

⇒作品詳細・レビューを読む

純朴な男の目線を通じて浮かび上がる政治の汚点を描くという意味では、『スミス都へ行く』の弟のような作品だ。しかし、富や名声を得た人間の変容、そして政治家のみならずメディアの存在意義を問いかける本作は、別の角度から見る者の心を強く揺り動かす。若かりしスタンウィックの瑞々しい美貌、そしてジェームス・グリーソンが見せる老練な演技も秀逸だ。大きな失望を描きながらも、小さな希望が残されたラストも素晴らしい。

権力と拝金主義に溺れた男の末路

『オール・ザ・キングスメン』/監督:ロバート・ロッセン

<あらすじ>田舎町で熱心に政治活動を行っていたウィリー・スターク(ブロデリック・クロフォード)は、友人で元記者のジャック・バーデン(ジョン・アイアランド)の助けもあって、夢にまで見た州知事に就任する。しかし、絶大な権力を持った途端、ウィリーも他の政治家と同様に汚職にまみれた政治家へと変貌し、権力に溺れていってしまう…。

⇒作品詳細・レビューを読む

アメリカにおける選挙戦の構図を理解する上で有益な一本。田舎に住む人々や、教育がない人々の心理を巧みに利用する政治家たちの姿は、ずる賢く醜悪だ。そんな政治家を毛嫌いしていたはずのウィリーが、その一員となってしまい、私腹を肥やしていく姿にはなんともやるせない気持ちになるが、それでも、ウィリーに扮したクロフォードが見せる力強い演説(台詞回し)には引き込まれるものがある。そんなウィリーの片棒を担いでいたジャックがラストで放つセリフは、実にシンプルだが、味わい深い余韻を残している。

(文:岸豊)

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

関連サイト

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST