新作映画『アスファルト』を観るべき3つの理由――フランス発の“団地映画”は、男女3組が織りなす癒しのヒューマンドラマ

(C) 2015 La Camera Deluxe - Maje Productions - Single Man Productions - Jack Stern Productions - Emotions Films UK - Movie Pictures - Film Factory

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『アスファルト』ってどんな映画?

フランス郊外の古びた団地。足を負傷し車いすでの生活を余儀なくされた中年男スタンコヴィッチは、深夜に食料品を買うため出かける近所の病院で、夜勤の看護師と出会い、「自分は写真家だ」と偽ってしまう。10代の青年シャルリは、隣に越してきた中年女性とぎこちない会話を交わし、彼女がかつて名の知れた女優だと知る。その頃、NASAの宇宙飛行士がなぜか団地の屋上に不時着し、親切なアルジェリア系移民の女性の部屋に身を寄せる。

観るべき理由:1――偶然が引き寄せた男女3組が織りなす、癒しのヒューマンドラマ

本作に登場するのは、「車いすの中年男×夜勤の看護師」「母親が不在がちなカギッ子青年×落ちぶれた元人気女優」「息子が服役中の移民女性×数か月の任務を終えたNASAの宇宙飛行士」という、まさに偶然によって引き寄せられた3組の男女だ。

世代も職業も境遇もバラバラだが、皆、人生の閉塞感を抱えながら、心の奥底にある孤独を補い合うように、互いを癒していく。そんな少しシュールで、ハートウォーミングな人生模様を描いた本作には「車いす男が深夜にしか外出できない理由」「青年と女優が繰り広げる歳の差“ウン10歳”の危うい駆け引き」、そして「言葉が通じない移民の老女と宇宙飛行士が分かち合う美味」といったささやかなミステリーが散りばめられており、絶妙なスパイスを効かせている。

観るべき理由:2――ブレイク必至の美少年は、監督の実の息子

団地で育った経験を描いた小説を、自ら映画化したのはフランス映画界の俊英、サミュエル・ベンシェトリ監督。日本では2004年に監督作『歌え! ジャニス★ジョプリンのように』が公開されており、同作は元妻で女優のマリー・トランティニャン(2003年没、享年41歳)にとっての遺作となった。

カンヌ国際映画祭で2度の女優賞に輝いているイザベル・ユペールが元人気女優のジャンヌを、ハリウッド版実写映画『攻殻機動隊』への出演も報じられたアメリカの人気俳優、マイケル・ピットが宇宙飛行士のジョン・マッケンジーを演じるなど豪華な俳優陣が顔を揃えるなか、その美少年ぶりでブレイク必至なのがシャルリ役のジュール・ベンシェトリ。名前が示す通り、ベンシェトリ監督と今は亡きマリー・トランティニャンとの間に、1998年に生まれたサラブレットだ。

(C) 2015 La Camera Deluxe - Maje Productions - Single Man Productions - Jack Stern Productions - Emotions Films UK - Movie Pictures - Film Factory

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観るべき理由:3――映画界は“団地ブーム”? 国内外で話題作続々

さまざまな人々が、さまざまな生活をおくる団地は、誰もが感情移入できるドラマの宝庫として、これまでの数々の映画の舞台となってきた。今年だけでも是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』(阿部寛主演)、阪本順治監督の『団地』(藤山直美主演)が相次いで公開された。かつては憧れの対象であり、今では空き部屋や高齢化などが問題視される団地には、「忘れられつつある存在」という一種のノスタルジックな空気も漂っているのかもしれない。

郷愁という点で言えば本作『アスファルト』には、『ダイ・ハード』(88年)の仏語版ポスターや、フランス語に吹き替えられた『マディソン郡の橋』(95年)がテレビ放送されるシーンなども登場。物語の時代設定が定かではない分、「時間が止まった空間」としての団地を一層印象付けている。

(文・内田涼)


映画『アスファルト』
9月3日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ(モーニングショー)、シネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショー

監督・脚本:サミュエル・ベンシェトリ
出演:イザベル・ユペール、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、マイケル・ピット、ジュール・ベンシェトリ、ギュスタヴ・ケルヴァン、タサディット・マンディ
2015年/フランス/フランス語・英語・アラビア語/100分/カラー/スタンダード/ドルビー5.1ch/DCP
原題:ASPHALTE/英題:Macadam Stories
提供:ミモザフィルムズ/シンカ
配給・宣伝:ミモザフィルムズ
後援::在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協力:ユニフランス

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