伊坂幸太郎が選ぶ「あのアクションシーンに燃えた映画」10本

思わずニヤリとするような仕掛けや軽快なストーリーで、読み手をうならせる作家の伊坂幸太郎さん。かっこよすぎて“燃えた”アクションシーンを“熱く”ナビゲート!

※ピックアップ作品は、2011年末に発行された『シネマハンドブック2012』掲載のものとなります。ご了承ください。


伊坂幸太郎が選ぶ「あのアクションシーンに燃えた映画」10本

カメレオン

松田優作主演の“遊戯シリーズ”第2弾として企画された脚本を、現代風にアレンジしたハードボイルド。政府要人の拉致現場を目撃した詐欺師の伍郎(藤原)が、仲間たちを次々と殺され、復讐に打って出る。藤原がトリッキーな格闘アクションを熱演。

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誘拐犯

食い詰めた二人の男が、大富豪の子を身ごもる代理母を身代金目的で誘拐する。だがその大富豪は裏社会の大物で、二人は命を狙われるハメになる。さらにさまざまな思惑も絡み、事態は混迷していく。クライマックスの長丁場のガンバトルが観ごたえ十分。

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仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリ

テロリスト集団により、A~Zまで26個のガイアメモリがばらまかれ、人々が次々と怪人化。翔太郎とフィリップは仮面ライダーWに変身して立ち向かう。街の人々の声援でWがパワーアップするなど、ヒーローものの王道と言える燃える展開がぎっしり!

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グエムル 漢江の怪物

『殺人の追憶』、『母なる証明』の才人、ポン・ジュノ監督による怪物パニック。漢江に巨大怪物が出現。人々を捕食し、しがない中年男カンドゥの娘を捕らえて消えた。カンドゥは一家を挙げて娘救出に向かう。平凡な家族の必死の戦いに熱くさせられる。

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サラマンダー

現代のロンドンで太古の巨大竜、サラマンダーが目覚め、爆発的に増殖し世界を破壊した。20年後、生き残った男クイン(ベール)は、アメリカから来た男とともにサラマンダーとの戦いを決意する。

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ザ・バンク 堕ちた巨像

世界中の富裕層が利用する欧州の国際銀行IBBCには、違法行為の疑いがあった。インターポール捜査官とNY検事局員が捜査を進めるが、証人は次々と消される。グッゲンハイム美術館でのガンバトルが豪快!

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スパルタンX

スペインのバルセロナで露店を営む二人の男が、ある少女の命を守ることに。ジャッキーとユン・ピョウ、サモ・ハンの名トリオがそろい踏み。ジャッキーと格闘王ベニー・ユキーデとの闘いは名バトルだ。

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チョコレート・ファイター

類まれな身体能力を持つ少女が、病の母を救うため、マフィアと闘うことになる。4年間の特訓を受けた新人女優のジージャーが、ムエタイやカンフーを組み合わせたハードな格闘術で観る者のド肝を抜く。

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アイアンマン2

軍需企業の社長が、お手製パワードスーツでアイアンマンとなって悪と戦う第2弾。ロシアの科学者たちがアイアンマンを狙う。謎の美女ナタリー(ヨハンソン)の格闘術はメキシカンプロレスがモデル。

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ブレード/刀

香港アクションの第一人者、ツイ・ハーク監督が、60年代の香港映画『片腕必殺剣』をリメイク。刀鍛冶の男が、亡き父の敵を捜す旅で右腕を失うも、執念の特訓によって必殺剣を会得し、復讐に挑む。

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『カメレオン』―泥臭くて異様なアクションに大興奮しました

『カメレオン』

『カメレオン』

ベビーフェイスで二枚目の藤原竜也さんが主役ですから、さわやかでスマートなアクションばかりだろうと勝手に思い込んでいたのですが、ふたを開けたらまるで違いました。蜘蛛のように這い、つかみ、滑り、血を噴く、といった、泥臭くて、異様なアクションが繰り広げられ、大興奮しました。

興を削ぐかもしれませんから、詳しくは書きませんが、隠れ家にやってきた二人の刺客が、警戒しながら中を歩いている時の、藤原竜也さんの登場の仕方は何度観てもグッと来ます。この映画のような、アクションシーンは初めて観ました。ラスト近くの、細い通路での一騎打ちの場面では、「バカな!」と思いつつも、ニヤニヤできて最高です。

『誘拐犯』―銃の使い方が通常の映画とは微妙に違います

『誘拐犯』

『誘拐犯』

劇場で観た時には、実は、ピンと来ませんでした。妊婦のジュリエット・ルイスが叫ぶ場面が多く、抵抗がありましたし、宣伝で、「ラストのどんでん返し」が強調されていたため、そこばかり気にしていたからです。もう一度観て、印象が変わりました。銃アクション映画として観ると、これは傑作なのです。

銃の使い方が、通常の映画とは微妙に違っています。相手を威嚇し、けん制するためにじっくり使い、銃撃戦もどこかリアルで、じわじわと魅了されます。敵が、中年から初老にかけての、ぽっちゃりとしたおじさんたちというのも不気味でした。あと序盤に、足で車を漕ぐ、超スローなカーチェイスもあって、これも初めて観ました。

『仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリ』―かっこいいアクション研究者は仮面ライダー業界にいる!?

『仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリ』

『仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリ』

子ども向けの映画ではありますが、プロットがよくできていて、劇場で観て以来、お気に入りです。CGに頼るわけではなく、あくまでも殺陣にこだわった躍動感に満ちたアクションが盛り込まれていて、そのスピード感を含め、序盤から興奮し、「そうか、日本で長年かっこいいアクションを研究してきた人たちは、この仮面ライダー業界にいるのか」と思いもしました。

最近の仮面ライダーはさまざまな武器を駆使する傾向があって、それも悪くはないのですが、この映画では、キックやパンチにこだわっていて、必殺のキック技を出す直前に、「ライダーキック」と小さな声で言うところも、グッと来ます。二人一組で活躍するバディムービーとしても最高ですし、最後の、「がんばれ、仮面ライダー!」という呼び掛けにはいつも泣かされます。

『グエムル 漢江の怪物』―生々しい迫力を感じて雄たけびを上げたくなりました

『グエムル 漢江の怪物』

『グエムル 漢江の怪物』

ラストの決戦がたまりません。あの怪物をどうやって倒すのか、ハラハラするのですが、それに立ち向かう3人がとてもかっこよく、中でも、あのダサいジャージを着たペ・ドゥナが凛々しすぎます。最後の最後、ソン・ガンホの手のひらについた、あの棒の痕跡に、映画ならではの生々しい迫力を感じ、雄たけびを上げたくなりました。それに至るまでにも痺れるシーンがいくつもあります。

例えば、お父さんが子どもたちに、「おまえたちは逃げろ!」と、手をひらひらと振るシーンは、胸が締め付けられますし、怪物の住処である下水溝から脱出するために怪物の背中を駆け上がる少女と、その後の逃走シーンの緊張感といったら、恐ろしくて卒倒しそうなほどです。映画でしか表現できない部分が満載で、何度観ても、圧倒されます。

『サラマンダー』―大味に見えて地味なところがお気に入り

『サラマンダー』

『サラマンダー』

中盤で出てくる、米軍空挺部隊と竜の戦いに興奮しました。ヘリから飛び降りると地上まで17秒、その間に三角測量によって竜の居場所を予測し、網で捕獲しようとします。空中を自然落下するそのスピード感と、恐怖がにじむアクションシーンは新鮮でした。僕の先入観だと、マシュー・マコノヒーという役者は、知的な二枚目のイメージだったのですが、ここに出てくる彼は、タフでマッチョな大将。最後は、斧を持って竜に飛びかかるのですが、その迫力といったらありません。大味に見えて地味なところがあり、お気に入りです。

『ザ・バンク 堕ちた巨像』―映像にとにかく工夫が凝らされ、いちいちかっこいい

『ザ・バンク 堕ちた巨像』

『ザ・バンク 堕ちた巨像』

画面に見えるもの、画面からは見えないもの、聞こえるもの、聞こえないもの、そういったものを注意深く活用して生み出されるアクションシーンは、観ていてゾクゾクします。映像にとにかく工夫が凝らされていて、いちいちかっこいいのです。冒頭の、男が毒でやられるシーンも、「さっきのあれが、その場面だったのか」と気づいた時には、その抑制の効き方にうっとりしましたし、美しい美術館での撃ち合いや、ラストの一騎打ちまで、丁寧なアクションの場面が多く、どうしてそれほど話題にならなかったのか、少し不思議です。

『スパルタンX』―ジャッキーの格闘には、緊迫していても幸福感がある

『スパルタンX』

『スパルタンX』

アクション映画といえば、僕にとってはジャッキー・チェンだったのですが、これも大好きです。冴えない、ぼんやりとしたジャッキーとユン・ピョウが、広場で悪漢たちと戦うシーンには大興奮しました。スケボーに乗って、注文を取るユン・ピョウにあこがれました。しかも、ジャッキーの格闘には、いつだってユーモアがにじんでいるため、緊迫しているにもかかわらず、幸福感があります。

「練習通りに戦うんだ」と自分に言い聞かせ、本当に、練習するかのように戦いはじめるシーンは、可笑しくて、とても好きです。あと、サモ・ハン・キンポーも最高です。

『チョコレート・ファイター』―可愛らしい女の子が敵を倒していく姿が気持ちいい

『チョコレート・ファイター』

『チョコレート・ファイター』

改めて言うことではないのかもしれませんが、主役の可愛らしい女の子がビュンビュン脚を振り回し、敵を倒していく気持ちよさといったらありません。しかも、やっつける相手は、わかりやすい悪人たちですから、映画ならではの爽快感に満ちています。

さらに、女の子の身体能力に甘えることなく、アクション場面には工夫が凝らされ、氷が使われたり、配管が邪魔で体を起こせなかったり、外の壁や看板を使ったりと、さまざまなシチュエーションと格闘方法が考えられています。シンプルでありつつも、贅沢なアクション映画です。

『アイアンマン2』―スカーレット・ヨハンソンの動きにうっとり

『アイアンマン2』

『アイアンマン2』

誰が何と言おうと、この映画で一番グッと来るのは、終盤でスカーレット・ヨハンソンが見せるアクションです。床を滑り、跳躍し、蹴りを繰り出し、相手を倒していく彼女の姿に、うっとりしない人などいるのでしょうか。これらは、おまけ映像的な分量ですが。もちろん、アイアンマン自体の動きも魅力的です。

例えば、冒頭で夜空を縦横無尽に飛び回ったアイアンマンが、猛スピードで落ちてきて、屋内のイベント会場に着地した際の、「ゴン」という重い響きはとても気持ちよく、あれは、映画でしか味わえない快楽です。

『ブレード/刀』―縦横無尽に回転し、まさに人間ベイブレード!

『ブレード/刀』

『ブレード/刀』※作品はカラーです

ワイヤーアクションといえば、とにかく吊られて宙に浮かぶような印象がありますが、この映画の場合は浮かぶというよりも、とにかく回転します。優雅さやファンタスティックな要素は皆無ですが、片腕を失った主人公の青年が、バネ仕掛けの人形のように、ひたすら回転しながら敵を倒していく光景は、異様でありながらも目が離せません。

最後の戦いの場面では、青年と敵役が刀や鎖を振り回しながら、縦横無尽に回転し、ぶつかり合い、武器を投げ合います。まさに「人間ベイブレード!」としか言いようがありません。


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プロフィール

伊坂幸太郎

1971年千葉県生まれ。「オーデュボンの祈り」(新潮社)でデビュー。「ラッシュライフ」「火星に住むつもりかい?」など作品多数。

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アーティスト情報

伊坂幸太郎

生年月日1971年5月25日(47歳)
星座ふたご座
出生地千葉県松戸市

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