『デスノート Light up the NEW world』池松壮亮インタビュー「表の顔と裏の顔が違う人、大好きなんですよね」

Lの後継者・竜崎を演じる池松壮亮

Lの後継者・竜崎を演じる池松壮亮

「こういう映画をやるということも驚きましたし、そのオファーを自分がいただいたのも驚きました。(オファーの)中には、そう来たか、という想像できる範囲でのものもあるんですが、これは全然想像できなかったんで、軽く動揺しましたね」

池松壮亮は、10年ぶりの降臨となる『デスノート Light up the NEW world』についてそう語る。彼は、松山ケンイチの当たり役となったあのLの遺伝子を継ぐ世界的名探偵、竜崎を鮮やかに演じている。

「(役を作り上げるには)やっぱり時間はかかりましたし、(原作にはない)オリジナルということもあります。なかなか最近、オリジナルをやる機会がなかったので。ゼロとは言いませんけど、ゼロに近い状態からのスタートで。父親だけはいて。でも育てられたわけでもない。遺伝子だけを引き継いでいる。いろいろ考えましたけど、監督、スタッフと(一緒に)迷いながら手探りでした」

池松の芝居は、そんな背景をまったく感じさせない堂々たるもの。初登場場面から、グッと吸引されること間違いなしだ。

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

さて、Lの遺伝子を継承するとはどういうことか。

「ちょっと、弟子にも近くて。弟子として遺伝子を継いでて。もう、Lを超える、ってだけの人生。たぶん、あんな人から生まれて、一人ぼっちで生きてきたら、人生、壊れてるだろうなって思って。そういうのもひとつヒントになりました。ほとんど逢ったこともないLの影を追うときに、どんな人になるんだろう?って。そこはわりと考えましたね」

人生、壊れてる。そんな彼の「一人ぼっち」のプライベートが垣間見える場面がある。ここでの池松の芝居は秀逸だ。様々なことを乗り越えて、いま、ここにいる。そんな非凡な日常を、池松は体現している。

「(あのシーンは)なんか(キャラクターの)幅が出来るなあと思ってやったんですけど。ちょっと白髪だったり。年齢不詳だったり。ヘンな薬飲んでいたり。でも(彼の人生を考えると)そうなるようなあ、と。それでも、Lよりもきっと、普通な部分、人間っぽい部分も見せられるなあと、台本読んだときに思って。そこをふくらませていきました」

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

そう、彼はLよりも、ナイーヴな感性を持ち、複雑な神経を有している。様々な側面があり、その交錯が、一見、自信満々で強気なキャラクターに奥行きを与えている。

「ピエロじゃないですけど――僕の単純な好みなのかもしれないですけど、表の顔と裏の顔が違う人、大好きなんですよね。目的があって。なんか僕は、自分を偽ることに対して、いいイメージしかなくて。そういうところがきっと、家のシーンと弟子というところとつながるのかなあと思ったし、誰かがこの物語や世界をかき回す。そういう人がいたら面白いなあと思って。それがLの子供だったら、なんかヘンだなあと思って。Lも実際そうでしたけど、あまりにも負けず嫌いだったし、人を煽るようなことをずっとやってきたし、ときどき遊び心を入れてきたり、お茶目な一面を入れてきたり。そこが遺伝子になれば、とは思ってましたね」

表の顔と裏の顔がある人が好き。この発言は、池松の演技表現の核を示すものかもしれない。人間は一面的な存在ではないということを、彼の芝居はいつも教えてくれるからだ。

「人には表の顔と裏の顔がある。そう思ってるし、僕も普段の顔と、こういう取材で池松壮亮をさらすときの顔と、俳優として現場にいるときの顔とでは、ちょっとずつ違うと思う。でも、みんな、そんなもんなんじゃないですかね」

Lのトレードマークのひとつでもあったひょっとこのお面が、意外なかたちで登場する。それは、池松が言うところのLの遊び心や茶目っ気の継承でもあるし、同時に、裏と表がある生き物である人間として必要な仮面でもある。

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

前2部作は、夜神月=キラとLとの対立構造が軸にあったが、今回は、デスノートおたくの捜査官、三島、竜崎、そしてキラを信奉するサイバーテロリスト、紫苑の三つ巴の錯綜が展開する。それは、東出昌大菅田将暉という同世代を代表する俳優たちとしのぎを削る場でもあった。

「(主要人物が)ふたりだったら、また違うことを考えたかもしれない。そこは時代の流れもあると思います。3人になったこともすごく納得できて。映画に限らず、テレビのコマーシャルでも群像が増えてますよね。ひとりで担ぐのではなく、みんなで何をするのか。そういう時代になってきた気がしているんです。だから今回、3人になったことになるほどと思いましたし、だからこそできることもあるんじゃないかと。他のふたりも、それぞれに全うするでしょうし、僕も竜崎を全うしつつも、それプラス、多少バランスは考えましたね。たまたま3人いたら、3人の世界になるし。ふたりだったら、ふたりの世界になるし」

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

本作はアクションやサスペンスのイメージが強いかもしれない。だが、後半は旬の俳優3人による芝居合戦の趣が生まれる。どメジャーのエンタテインメント作品の中で、それぞれの演技の艶が浮き彫りになるのだ。

「いやあ、思いの外、そうなったなって。僕らは現場で、やるべきことをやるだけ。(自分がどんな表現をしても)そこが使われるか、どうかは、僕には関係ないんですね。そこはどう料理してもらっても構いませんとは思ってるんですけど、想像以上に後半、お芝居で展開していくものになっていて。そこにちゃんと監督と俳優陣のパワーがどっちも乗っていたし、前作からさらにパワーアップした重み、それは、人ひとりの重みだったり、命の重みだったり、映画の重みだったりがプラスされたような気がして。僕は現場を離れればもう観客でしかないので、単純に(作品自体を)いいなあと思いました」

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

それにしても10年である。10年前、池松は何をしていたのだろう。

「僕はまだ田舎者でしたね。まだ当時、福岡にいましたから。でも、日本中に(『デスノート』という)ムーブメントが起きてることを田舎者の僕でも感じましたし、『デスノート』という言葉は誰からも聞きました。この前、香港にHuluオリジナルドラマの撮影で行ったんですね。そしたら、向こうの、全然知らないおばちゃんも『デスノート』のこと知ってて。俺たち、『デスノート』撮ってるんだ、って言ったら、ああ!『デスノート』か! って。わかるんだ!凄いな!って。『デスノート』という言葉ひとつで分かり合えるなんて、『ゴジラ』以来あったのかなって。すごくゾクゾクしました。池松少年も10年後、こんなことになるとは想像もしてなかったでしょうね(笑)」

奇しくも今年、日本産『ゴジラ』も『シン・ゴジラ』として12年ぶりに復活した。日本を代表する世界的コンテンツ『デスノート』の蘇生が、何をもたらすかに大いに期待したい。

(取材・文:相田冬二)


映画『デスノート Light up the NEW world』
絶賛、販売レンタル中!

原作:大場つぐみ・小畑健
監督:佐藤信介
脚本:真野勝成
出演:東出昌大、池松壮亮、菅田将暉、川栄李奈/戸田恵梨香、中村獅童ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画

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