【第29回東京国際映画祭】『ダム・キーパー』の堤大介、「ピクサーをやめるきっかけ」は細田守だった!?

 

細田守監督と堤大介監督

29日、開催中の第29回東京国際映画祭で、『時をかける少女』『サマーウォーズ』で知られる細田守監督と、『ダム・キーパー』で第87回アカデミー賞短編アニメ賞にノミネートされた堤大介監督が、トークショーを実施。堤監督は以前に勤めていたピクサー退社の理由の一つが、細田監督だったという驚きの事実を語った。

『ダム・キーパー』は、堤監督とロバート・コンドウ共同監督によるオリジナル短編アニメーション。劇中では、大気汚染に覆われた世界を舞台に、大きなダムの存在によって生きながらえてきた小さな街に住む孤独な豚の少年と、天真爛漫なキツネが織りなすドラマが描かれる。一方の『ムーム』は、ガラクタから思い出のかたまりを引っ張り出して空に返すことが仕事のムーム、そしてムームと出会った、泣いてばかりのルミンが過ごす日々を描いた作品だ。

二作品の上映後に登壇した細田監督は、「素晴らしいでしょ?素晴らしいですよね~」とご機嫌な様子であいさつし、堤監督との出会いが、堤監督が働いていたピクサーで、『おおかみこどもの雨と雪』の上映が行われた時だったと述懐。これを受けた堤監督は、「映画の後のQ&Aも含めて、ピクサーのシアターが満員だったんですけど、みんな目を輝かせて帰って行ったんです。僕が辞めたのが、それから数年後なんですけど、『おおかみこどもの雨と雪』の上映をありがとうって、すごく言われたんです」と反響が大きかったことを紹介した。

アニメーションを作る際に、3Dが主流の今日において、伝統的な2Dを使い続けていることについて、海外メディアから頻繁に疑問を呈されるという細田監督は、「全部がCGルックな映像を作るほうがつまらない。アニメーションには多様な表現が歴史的にあるにもかかわらず、それを手放してCGだけに一元化するのは、つまらないと思っているんです」と持論を展開。そして、「そういう中で『ダム・キーパー』を見ると、表現の多様性、アニメーションの面白さ、表現の豊かさみたいなものを感じて、うれしくなっちゃうんですよね~」と堤監督が同作で見せた独特な世界観を絶賛した。

「堤監督とも仕事がしたい」と話す細田監督が、「堤さんも、長編の計画があるわけですよね?」と切り出すと、堤監督は製作中の新作について口を開いた。「映画作りって、苦しい。映画って、ドラマじゃないですか。でも、映画を作ることもドラマだと、身に沁みて感じています。劇場映画を完成させた経験がまだないのですが、初期段階なのに、ドラマ、ドラマの連続ですね。やっとうまくいったと思ったら、いきなり一緒にやるはずだった人たちがいなくなったみたいなことがあるわけですよ」と悩める心境を吐露。これには細田監督も、「ありますあります(笑)」と共感していた。

細田監督は、「アニメーションは、時間もかかるし、人手もかかるし、予算だってえらいことになっちゃう。苦労はものすごく大きいわけだから、作るために苦労することと、物語の中で主人公が色々な苦難に会うと、作っている間にシンクロしてきちゃうんですよね」ともコメント。そして、「アニメーションが出来上がると、その物語の主人公が苦労しているのを見て、自分がこれを作るのに苦労したっていうことを重ね合わせて、涙ぐんじゃうっていうことはあります」と話し、かつて『映画 デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』を作る中でその経験があったと明かした。

当日は、堤監督がピクサーを退社した背景に触れる一コマも。堤監督は、『おおかみこどもの雨と雪』がピクサーで上映された夜に、アニメーションについて細田監督と語り合っていた際、「堤さんは、アートディレクターよりも、監督向きだよね」と細田監督から言われたことを明かし、これがきっかけの一つになったと告白。これを聞いた細田監督は、「僕はかなり先見の明がある!」と自画自賛し、会場を爆笑させていた。

(取材・文:岸豊)

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アーティスト情報

細田守

生年月日1967年9月19日(50歳)
星座おとめ座
出生地富山県中新川郡上市町

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