【インタビュー】『ファンタスティック・ビースト』デイビット・イェーツ監督が語る「ハリポタ」シリーズの世界観が魅力的なワケとは?

ディビット・イェーツ監督

デイビット・イェーツ監督

「ハリー・ポッター」シリーズの最新作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』が、11月23日(水)より全国公開となった。キャスト、舞台を一新しての大人気シリーズ新章の幕開けに、日本をはじめ世界中で大きな注目を集めている。そんな本作でメガホンをとるのは、『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』よりシリーズの監督を務めてきたデイビット・イェーツ。今回、イェーツ監督にインタビューを敢行! 新シリーズでも描かれる、「ハリー・ポッター」シリーズの魅力的な世界の裏側とは…?

魔法使いでも、体験することはあなたと同じ

ファンタビ

(C)2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

本作の新しい主人公、エディ・レッドメイン演じる魔法動物学者のニュート・スキャマンダーが降り立ったのは、1926年のアメリカ・ニューヨーク。イギリスを舞台とした前作の「ハリポタ」シリーズとは国も時代背景も全く違う、新天地で繰り広げられる物語だ。

そんなガラリと変わった設定の本作だが、魔法動物(ビースト)をはじめ、キャラクター、魔法、またロケーションが創り出す世界観には、これまでのシリーズ同様に圧倒的なリアリティを感じる。「この世界のどこかに、本当に魔法が存在するのではないか?」と思わせる魅力は、一体どこから生まれてくるのだろうか?

J.K.ローリングの脚本には、たとえ魔法の物語を描いていてもキャラクターたちには本物の感情があるのです」とイェーツ監督。「登場する魔法使いたちも、私やあなたが経験するような、人間味のある体験を通じて描かれています。たとえ扱っている題材が、魔法動物であっても、魔法使いであっても、彼らの表現している感情が、“現実的な体験”から生まれているからこそ私たちはリアリティを感じ、ストーリーに強く共感できるのです」。

誰もが共感できる“体験”から生まれた、登場人物たちの人間味溢れる感情。キャサリン・ウォーターストンが演じたティナの境遇を例にとっても、共感できるポイントが多いことに気が付く。魔法省に務める役人のティナは、あるミスによって花形部署から窓際部署に異動を命じられてしまう。焦りを感じた彼女は、どうにかして元の部署に戻ろうと悪戦苦闘するのだが…。そんな彼女の境遇は私たちの生きる世界にも少なからず存在するだろう。そんな現実世界の“あるある”なシチュエーションや感情が、魔法の世界にちりばめられていることで、私たちは夢のようなファンタジーの世界にもリアリティを感じることができる。

また、映画冒頭ニュートとジェイコブ(ダン・フォグラー)が出会う銀行や、ティナとクイニ(アリソン・スドル)のアパート、MACUSA(アメリカ魔法省)などのセットについても言及したイェーツ監督。「1926年のニューヨークを、非常に巨大なセットでイギリスのスタジオに作りました。よりロマンティックな風景、情景になるよう多少誇張してはいますが、その中にもリアルな雰囲気が生まれるよう工夫してあります。これも映画で共感してもらえるポイントの一つだと思います」と話す。

現地取材によってかき集められた膨大な資料を基に設計された緻密なデザインのニューヨークの街並みも、本作には欠かせないリアリティを生み出しているポイントのひとつだ。

ニュートはイギリス人らしくて大好きなんです

ファンタビ

(C)2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

本作で注目のキャラクターといえば、やはり主人公ニュートだ。これまでの主人公ハリー・ポッターは“生き残った男の子”という特別な存在として描かれてきたが、一方のニュートは、魔法使いとしての高い実力を持ちながらも、シャイで人付き合いが苦手という人間味のある可愛らしいキャラクターだ。

そんなニュートについてイェーツ監督は「動物と意志の疎通を取ることができ、どんな不思議で危険な動物であっても、落ち着かせることができる非常に優れた才能の持ち主です。一方で、ニュートは、はぐれ者で、人に誤解されやすく、シャイな性格。それはとてもイギリス人らしいもので、私は大好きなんです」と魅力を語った。

さらに「撮影当初、ワーナーには『ニュートをもっと勇敢に、ヒーローっぽくしたらどうだ』と言われたのですが、試写を行った際、アメリカではシャイな部分がすごく好評でした。ニュートの内向的でシャイな性格というのは私たち誰しもが持っている特徴だと思います。人間というのは、場面によっては内向的になったり、進むべき道、やるべきことに戸惑ったりすることもあると思います。そういう誰しもが共感できるニュートの面が理解され評価された一面かなと思われます」と考察。

アウトサイダーな主人公ニュートの性格も、その人間臭さが観客に共感され、ストーリー全体に親近感を生み出している。

J.K.は私にとって“トレーニング・ジム”のような存在

ファンタビ

(C)2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

シリーズの持ち味でもある、リアルな魔法の世界を創り上げた本作だが、製作段階で前シリーズとは大きく異なる点がある。それは原作となるストーリーがなかったということだ。そのため映画化に当たり、イェーツ監督は「ハリポタ」の生みの親であるJ.K.ローリングとともに脚本の制作段階から携わることができたと語った。「今回、スティーヴ・クローヴス(過去「ハリー・ポッター」シリーズの脚本家)も加わり、『こうしてはどうか?』というメモをJ.K..ローリングに渡しながら、より良い脚本となるように作り上げていきました。彼女と一緒に脚本をつくる過程は非常に楽しいものでした」。

またJ.K.ローリングについて「ストーリーテラーとして非常に寛大であることが彼女の魅力です。本作でも、魔法を語りながらも、感動的で、ユーモラスで、またアクション、怖く気味の悪いシーンなどがあったりと非常に多くの要素がある。だからこそ彼女の多様性の詰まった物語は魅力的なのでしょう。まさにフィルムメーカーの様々な筋肉をほぐして鍛えてくれる、私にとって“ジム”のような存在です」と表現した。

愉快なだけではない、苦しさや悲しさも含まれた多様性のあるストーリー展開が、子供だけでなく、多くの大人も魅了する「ハリー・ポッター」シリーズの強みとなっている。

この作品の“足”で立つことを意識しました

ファンタビ

(C)2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

5作目にして監督自身が初めて脚本から制作に携わった本作を「この作品の“足”で立つことができる作品になるように意識しました」とコメント。「ダンブルドアの名前が出てきたり、同じ魔法が使われたり、死の秘宝が登場したりと、2、3か所オマージュ的な要素はありますが、過去作シーンの意図的なオマージュは入れてません」と、過去シリーズとは一線を画した、独立した作品として撮影に臨んだことを明かした。

また、新シリーズ5作の監督を手掛けることについても「あまり先のことは考えずに、今手がけている作品に集中していました。J.K.ローリングの頭の中には今後のストーリー、展開はあると思いますが、私の立場では、まず一つ一つの山をちゃんと上る事を意識しています。その先を考えてしまうと自分の頭が爆発してしまいますからね(笑)」。「ハリー・ポッター」という大人気シリーズのネームバリューに頼らず、一作品としての完成度にこだわる情熱を語ってくれた。

ファンタビ

(C)2015 WARNER BROS ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

インタビュー中、終始熱心に質問に答えてくれたイェーツ監督。その姿勢からは、J.K.ローリングへのリスペクトと「ハリー・ポッター」シリーズへの深い愛情を感じる。最新作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は、そんなJ.K.ローリングが創り出す「ハリー・ポッター」シリーズの魅力を、新天地、新キャラクターの中で見事に表現してくれた。馴染みのある、しかしまだ見ぬハリー・ポッターの新世界。その裏側には、過去作から変わらない、監督のリアリティへの追及と「ハリー・ポッター」シリーズへの愛情が根付いている。

(文・nony)

デイビット・イェーツ監督

「ハリー・ポッタ―」シリーズ8作品の内、最後の4作品:『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07)、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(09)、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(10)、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(11)の監督を務めた。近年では、アクションアドベンチャー『ターザン:REBORN』(16)のメガホンも撮るなど、話題作が続く。

イングランド・マージサイドにあるセント・へレンズ出身。エセックス大学とジョージタウン大学(ワシントン)では政治学を専攻していたイェーツ監督。自身で脚本を書いた賞受賞短編映画『When I was a Girl』(88)で監督のキャリアをスタートさせる。


映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
絶賛、販売レンタル中!

監督:デヴィッド・イェーツ『ハリー・ポッター』シリーズ後半4作品
プロデューサー:デイビッド・ヘイマン『ハリー・ポッター』全8作品、J・K・ローリング
出演:エディ・レッドメイン『レ・ミゼラブル』、キャサリン・ウォーターストン、アリソン・スドル、ダン・フォグラー、コリン・ファレル

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

出演者 エディ・レッドメイン  キャサリン・ウォーターストーン  ダン・フォグラー  アリソン・スドル  エズラ・ミラー  サマンサ・モートン  ジョン・ヴォイト  カルメン・イジョゴ  コリン・ファレル  ロン・パールマン
監督 デヴィッド・イェーツ
製作総指揮 ティム・ルイス  ニール・ブレア  リック・セナト
脚本 J・K・ローリング
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
概要 「ハリー・ポッター」シリーズのJ・K・ローリングが、同シリーズの魔法世界を舞台に贈る新シリーズ。J・K・ローリング自ら映画用に書き下ろしたオリジナル脚本を、「ハリー・ポッター」シリーズの後半4作品を手がけたデヴィッド・イェーツ監督が映画化。主演は「博士と彼女のセオリー」のエディ・レッドメイン。おっちょこちょいの魔法動物学者ニュート・スキャマンダー。魔法動物をこよなく愛する彼は、世界中を旅して魔法動物たちを集めていた。彼の不思議なトランクには、そんな魔法動物たちがいっぱい詰まっていた。ある日、ニューヨークへやって来たニュートだったが、ひょんなことからトランクが人間のものとすり替わってしまう。そして中にいた魔法動物たちが人間界に逃げ出し、ニューヨーク中が大パニックになってしまうが…。

 作品詳細・レビューを見る 

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

TSUTAYAランキング

おすすめ映画ガイド

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST