新作映画『五日物語―3つの王国と3人の女―』を観るべき3つの理由――おとぎ話が秘める狂気と残酷さ、艶めかしい映像美で暴き出す

(C)2015 ARCHIMEDE S.R.L - LE PACTE SAS

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映画『五日物語―3つの王国と3人の女―』ってどんな映画?

3つの王国が君臨する世界。不妊に悩むロングトレリス国の女王は、魔法使いの教えに従い、川底に住む怪物の心臓を食べて、美しい男の子を出産する。ストロングクリフ国の好色な王は、美声をもつ女性を見初めるが、その正体は魔法によって若さと美貌を手に入れた老婆だった。多感な年ごろのハイヒルズ国王女は、父親の愚かな企みによって、山奥に暮らす屈強で醜いオーガ(鬼)との結婚生活を強いられることに…。3人の女を待つ運命は?

観るべき理由:1――『ファンタビ』じゃ満足できない大人のためのファンタジー

『ハリー・ポッター』の新シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』をはじめ、数々の話題作が公開され、再びブームの機運が高まるファンタジー映画。人気ジャンルとして多くのファンを獲得する一方、「ああいう世界観、ちょっと苦手…」という大人世代も多いはず。そんな人にこそ、ぜひ体験してほしいのが『五日物語―3つの王国と3人の女―』。見れば、ファンタジー映画がもつ幅広い可能性と多面的な魅力に引き込まれるはずだ。

その理由は原作にあり。17世紀初頭にナポリ王国で生まれた世界最初のおとぎ話「ペンタメローネ(五日物語)」から女の性(さが)を題材にした3つのエピソードを選び、1本の映画として再構築された。おとぎ話の“原点”ならではの狂気と残酷さが、艶めかしい映像美で暴き出されているのだ。

観るべき理由:2――女王が怪物の心臓をカブリ! ユーモアを交えた人間の喜悲劇

映画に登場する3人の女性は、内に秘めた欲望や願望を現実のものにしようと、見る者をあっと言わせる予想外の行動に出る。現代劇であれば受け入れがたい展開も、おとぎ話というフィルターを通すと、女性のたくましさ、男の愚かさといった人間の業(ごう)が色濃く反映された喜悲劇として、ストンと納得できるし、人生経験が豊かな大人こそ、身につまされてしまうはずだ。それだけに男女で大きく意見が分かれるかも?

不妊を解決しようと、国王である夫に怪物退治をさせてでも(しかも夫は怪物に襲われ、死亡!)、手に入れた怪物の心臓をガブリといっちゃう女王の姿は、恐ろしくもユーモラスだ。魔法で美を手に入れた老婆、鬼との新婚生活を耐え忍ぶ王女をめぐる運命も「笑っちゃうけど、笑えない」皮肉に満ちている。

観るべき理由:3――ハリウッドではこうはいかない! 鬼才が生み出した“動くアート本”

監督はローマ出身の鬼才、マッテオ・ガロ-ネ。複数のエピソードを交差させながら、犯罪組織の暗部を描いた『ゴモラ』(2008年)、ある出来事をきっかけに夢と現実の区別がつかなくなる魚屋が主人公のブラックコメディ『リアリティー』(2012年)で2度のカンヌ国際映画祭グランプリに輝いており、両作品のスタイルやテーマ性は最新作『五日物語―3つの王国と3人の女―』にも受け継がれた。若い頃は画家としても活動していたといい、その独特な美的センスが、壮麗かつ不気味なイマジネーション世界を盛り立てている。

また、世界遺産に登録されたアンドリアのデルモンテ城をはじめとした名城の数々、幻想的なシチリアのアルカンタラ峡谷、ソヴァーナ洞窟などイタリアが誇る「人工美×自然美」のコラボレーションも必見。ハリウッドでは決して実現できない、まるで“動くアート本”のような作品だ。

(文・内田涼)


映画『五日物語―3つの王国と3人の女―』
公開中

監督:マッテオ・ガローネ
出演:サルマ・ハエック、ヴァンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、ジョン・C・ライリー
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
後援:駐日イタリア大使館

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アーティスト情報

サルマ・ハエック

生年月日1966年9月2日(52歳)
星座おとめ座
出生地メキシコ

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ジョン・C・ライリー

生年月日1965年5月24日(53歳)
星座ふたご座
出生地米・イリノイ・シカゴ

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トビー・ジョーンズ

生年月日1967年9月7日(51歳)
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