【インタビュー】“予感がする3行”だった-第2回TCP準グランプリ受賞者・金井純一

金井純一氏

金井純一氏

11月10日(土)に都内で開催された、クリエイターの発掘と育成を目的とした第2回「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM(TCP)」最終審査会。375作品の応募企画からグランプリ1作品、準グランプリ2作品、審査員特別賞1作品の計4作品の映画化が決定した。この度、『ファインディング・ダディー(仮)』で準グランプリを獲得した金井純一氏にインタビューを行った。

良いストーリーは3行で説明できる

短編映画『転校生』(2012年)で札幌国際短編映画祭にて最優秀監督賞、最優秀国内監督賞を獲得。劇場長編映画デビュー作の『ゆるせない、逢いたい』(2013年)では、釜山国際映画祭に出品されるなど国内外にて高い評価を得てきた金井氏。2016年には『ちょき』が公開され大きな話題を呼んでいる。

TCP2016最終プレゼンでの模様

TCP2016最終プレゼンでの模様

本コンペで準グランプリを獲得した『ファインディング・ダディー(仮)』について、金井氏は“笑って泣けるエンターティメント作品”と語っている。妻に先立たれた主人公・御堂一男(42)は、明るく、可愛らしい中学生の娘・あかり(13)と仲睦まじいふたり暮らしを送っていた。しかし、そんなある日、あかりが白血病であることが発覚する。さらに一男は骨髄移植のため行った血液検査で、あかりと血がつながっていないことも判明。突然の現実に、困惑し絶望する一男。しかし、あかりを救うため“本当の父親”を探し出すことを決意する…。

そんなストーリーについて、プレゼンの壇上で金井氏は「良いストーリーは3行で説明できる」と主張した。「プロデューサーや脚本家の先輩方からこの言葉を聞きました。最初は『言葉で表現できないから映像にするんだろ!』と思っていたんですが、多くの人が楽しめる映画は確かに3行で説明できる」。プレゼンでは『七人の侍』を例に「七人の侍が、貧しい農村を救うために、野武士と闘う話」と、そのスト―リーのシンプルさを紹介した。

面白い話は、簡潔に説明可能

面白い話は、簡潔に説明可能

「どうでもいい3行は、企画をふくらましても響かない。ふくらませられる可能性があるような、演出の可能性がある3行でなければならない。今回の『血の繋がらない父親が、白血病の娘を救うため、本当の父親を探す物語』というストーリーは、絶対におもしろくなると確信した“予感のする3行”でした」。

物語の芯となる部分が、魅力的に思えるかどうか? 起承転結のまとまりやシンプルに説明できる分かりやすさと同時に、そこに詰め込める演出の“深み”に可能性を感じている様子だ。

実は、“夢”が原案なんです

そんなストーリーを考えついたきっかけについて聞いてみた。

「実は、ある日見た“夢”がストーリーの原案なんです。『植物状態の母親と中学生の娘。その後、娘は、母親とは実の親子ではなく、同級生と母親の間に血縁関係があることに気が付く』っていうすごいシリアスな夢でした。起きてすぐにメモしたんですが、いざ映画のネタとしてまとめてみようとしても、なんせ夢だから上手くまとまらなくて…(笑)。そんな時に丁度TCPの応募があったのを意識して、エンタメ寄りのコミカルな要素を入れたら、ストーリーとして企画がまとまっていきました」。

金井純一氏

金井純一氏

夢という突拍子もない出発点も、エンタメの俎上に乗せることで映画企画としてのストーリーにまとまりが生まれてきたと語る金井氏。そんな夢については「何で観たんでしょうかね? 多分仕事について不安だったからだと思いますよ(笑)」とユーモラスに話してくれた。

演技ではなく、そこにいる“人間”を撮りたい

シンプルで、広がりのあるストーリーを見出した金井氏。そんな本作の映画化について「出演俳優が、映画の中で人間として存在していられるように演出したい」とこだわりを話す。

「もともと、大学時代ドキュメンタリーを撮るサークルに所属していて、生身の人間の力強さを感じていました。だからフィクションでも、ストーリーの中で筋の通っている、存在している人間を描きたい。本作では、コミカルなテイストを加えたのですが、そこでも面白い演技ではなく面白い人を撮りたいと考えています」。

“芝居ではなく、人を撮る”。ドキュメンタリーに携わった金井氏だからこその着眼点を持った演出。そこから生まれるリアリティのあるコミカルなキャラクターを誰が演じるのか。本作のキャスティングにも注目だ。

ファインディング・ダディー(仮) プレゼン映像より

ファインディング・ダディー(仮) プレゼン映像より

おもしろい映画とは?-「観終わっても、ずっと続いてる映画」

最後に、金井氏が考える“おもしろい映画”について聞いてみた。「映画を観終わった後も、観客の心の中にずっと残っている映画ですかね…。2時間ほどでも、スクリーンに登場する“人”を印象づけることで、観客は見るだけではなく、その人物と一緒にストーリーを感じることができる。そうすれば『あのあと登場人物たちはどうなったんだろう』と、観終わった後にも考えることができる。それが、1800円を払う映画の価値だと思います」。

映画館を出た後も、登場人物に思いを馳せることができる映画。そこには前述にもあった、“演技ではなく、人を撮る”という思いが反映されているように感じる。そんなスクリーンに映しだされる、嘘のない魅力的なキャラクターが本作の“予感のする3行”の中で、どんな活躍を見せてくれるのか。金井氏が作る最新作により一層の期待が高まる。

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