【1月のおすすめ映画ガイド】『ダーティ・グランパ』『マッドマックス』モノクロ版など―映画ライターが選ぶ4選

(C)2016 DG LICENSING, LLC

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クリスマスとお正月はあっという間に終わりを告げ、すでに仕事始めを迎えている人も多いことだろう。映画界も既に始動しており、1月には話題作から隠れた名作まで、魅力的な作品の数々が公開を迎えようとしている。今回は、名優と期待の若手俳優が共演したコメディから、日本の小説をアメリカの巨匠が映像化した歴史ドラマまで、1月に公開する注目の4作品を紹介する。

『ダーティ・グランパ』/1月6日より公開中

ザック・エフロンふんする孫と、ロバート・デニーロ演じる祖父の旅路を描くロードムービー。物語の99%をゲスなギャグが占めるため、見たら知能が低下することは避けられない。それでも、残りの1パーセントで人生についてほんの少しだけまじめに考えさせられるというバランスが素晴らしい一本。

一気飲み対決や肉体自慢、ドラッグ吸引など下品なジョークは枚挙にいとまがないが、観客を引かせない絶妙なバランスでことごとく笑いを生むデ・ニーロとエフロンには拍手。サシャ・バロン・コーエン主演のコメディ映画や、『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』を手掛けてきたダン・メイザーは、改めてコメディ監督としての手腕を発揮。本作で脚本家デビューとなったジョン・M・フィリップスもポテンシャルの高さを見せている。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション』/1月14日より公開中

ジョージ・ミラー監督がかつて手掛けた『マッドマックス』シリーズを再始動させ、全世界でおよそ3億7800万ドル(Box Office Mojo調べ)を稼いだメガヒット作のモノクロ版。荒廃した世界を舞台に、流れ者のマックス(トム・ハーディ)が、砂漠の支配者イモータン・ジョー(ヒュー・キース=バーン)から逃げようと試みる女戦士フュリオサ(シャーリーズ・セロン)らと繰り広げる戦いを描き、その圧倒的な疾走感と鮮烈なビジュアルは激賞を得た。しかし、ブラック&クロームエディションでは、オリジナル版で印象的だった赤や青、オレンジといったカラーが削がれることに…。

魅力がなくなってしまうのでは?と思うかもしれないが、彩りが白と黒だけになることで、物語の舞台となる砂漠の荒廃した印象が強まると同時に、マックスやフュリオサの前に立ちはだかるイモータン・ジョー、そして彼に仕えるウォーボーイズが放つ狂気は効果的に増幅された。ミラー監督自身も「このバージョンがベストだ」と太鼓判を押している。オリジナル版を見たファンも、ぜひチェックしてほしい。

『ショコラ 君がいて、僕がいる』/1月21日より公開

誰もが知る伝説的なコメディアン:チャールズ・チャップリンの実孫であるジェームズ・ティエレと、フランスの人気俳優オマール・シーの共演で贈る悲喜劇。実在したコメディアンのショコラ(シー)とフティット(ティエレ)の友情を描く本作では、演技派の二人が見せる見事な芸の数々に目を奪われる。

普段はサーカスで活躍しているティエレは、しなやかなパントマイムや体を張ったギャグで笑いを生み、ハリウッド作品にも出演することが多いシーは、屈託のない笑顔とひょうきんなセリフ回しで観客をニヤリとさせる。見る者の頬を緩ませる暖かなコメディとして展開する本作だが、後半にかけては悲しい人間模様が紡がれていく。切なすぎるラストシーンには、涙してしまうこと必至だ。人種差別や芸人という身分に対する職業差別など、社会的な観点から考えさせられることも多い。

『沈黙―サイレンス―』/1月21日より公開

遠藤周作の名著『沈黙』を、巨匠マーティン・スコセッシ監督が豪華キャストを率いて実写化した歴史ドラマ。劇中では、ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)ら若き宣教師一行が、かつて教えを乞うたフェレイラ教父(リーアム・ニーソン)が棄教したという信じがたい報告の真相を突き止めようと、日本に密航して独自に調査を行う姿が描かれる。

特筆すべきは、ハリウッドスターに負けない輝きを放つ、窪塚洋介や小松菜奈、塚本晋也ら日本人キャストの熱演。弾圧を受けながらも信仰を貫く者、逆に貫くことができなかった者たちが織りなす人間模様は、信仰の価値観が薄れつつある現代社会に鋭く突き刺さるものがある。


紹介した作品のほかにも、人気アニメの劇場版3部作のトリを飾る『傷物語〈III冷血篇〉』、人気ホラー・アクションの第5弾『アンダーワールド ブラッド・ウォーズ』、中島裕翔と新木優子の共演で描くラブストーリー『僕らのごはんは明日で待ってる』、綾瀬はるか主演の歴史ドラマ『本能寺ホテル』、『ドライヴ』で知られるニコラス・ウィンディング・レフン監督の最新作『ネオン・デーモン』、ベン・アフレック主演のアクション・サスペンス『ザ・コンサルタント』、綾野剛主演で大ヒットを飛ばした『新宿スワン』の続編『新宿スワンII』、マーベル・スタジオの最新作『ドクター・ストレンジ』、菅田将暉と松坂桃李のW主演作『キセキ-あの日のソビト-』など、1月は注目作が目白押しとなっている。ぜひ映画館に足を運んで、良い映画と出会ってほしい。

(文:岸豊)

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