社会派の巨匠オリバー・ストーンが来日 アメリカ発のサイバー情報に「疑いを持つべき」と警鐘を鳴らす

オリバー・ストーン監督

来日したオリバー・ストーン監督

1月27日に日本公開を迎える映画『スノーデン』のメガホンを取ったオリバー・ストーン監督の来日記者会見が、18日に都内で行われた。『プラトーン』などの社会派作品で知られるストーン監督は、アメリカが発信するサイバー関連の情報について、「疑いを持っていただきたい」と警鐘を鳴らした。

映画『スノーデン』は、NSA(国家安全保障局)の職員として働いたのちに、米国政府による膨大な個人情報監視の事実を暴露した男、エドワード・スノーデン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の姿を描く作品。これまでに『プラトーン』『JFK』『ニクソン』など、戦争や政治をテーマにした社会派作品で評価されてきたストーン監督は、2013年に広島を訪れて以来、約3年半ぶりの来日となった。来日の感想を聞かれたストーン監督は、「日本が変わってるかどうかはわかりません。このホテルに詰め込まれて、ずっと取材を受けていますからね(笑)。過労死状態です」とジョークを飛ばし、会場を沸かせた。

ドキュメンタリー・シリーズ『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』では、1890年から2013年のアメリカの歴史を扱ったストーン監督は、同シリーズの第10章で扱った監視社会というテーマが、スノーデンの告発によって世界中の人々の目に留まったことを感慨深そうに振り返った。しかし、すぐに映画化しようとは思わなかったという。「スノーデンの告発に関しては、私は素晴らしいと思いましたし、拍手喝采の気持ちでしたが、映画にしようという興味は全くなかったのです。というのも、作家としてのスタンスから、私はニュースを後追いすることは考えていないのです。ニュースは内容が早く変わってしまいますし、映画作りには時間がかかりますからね」

しかしその後、ストーン監督はスノーデンの弁護士から一本の電話を受け、これが製作のきっかけになったという。「2014年の1月に、スノーデンの弁護を担当していた人権派の弁護士から連絡をもらい、(スノーデンが亡命している)モスクワに来るよう頼まれたのです。それから2年の間に、9回にわたってスノーデン本人に話を聞く機会を得ました。そうする中で、彼が話す物語を映画化したいという気持ちになっていったのです」

記者から、本作の内容がどの程度の事実に基づいているのか質問されると、「この映画で描いていることは、自分の思うことではなく、スノーデンが語った内容に基づくものです。NSAに話しを聞くことはできず、PR局に行っても、パンフレットを渡されただけでした。もしスノーデンが言っていることが間違いなのであれば、私の経験から言って、彼は最高の役者だと言えます(笑)。つまり私は、彼が言っていることは真実だと考えているのです」と回答。また、「起訴されてしまうので、彼が話せなかったこともあります。ただこの映画はドキュメンタリーではなく、ドラマ作品ですから、話せない内容に呼応するようなできごとを、彼に話してもらい、映像化するという手法を取りました」と話した。

会見でストーン監督は、「アメリカからは、サイバー関連において特に、嘘のニュースがたくさん発信されています。こうしたアメリカが伝えていることに対しては、皆さんにも疑いを持っていただきたいです」と日本人へ警鐘を鳴らした。「中には証拠が出ているものもありますが、ほとんどは証拠もなしに勝手に出てきているニュースです。スノーデンは、そういったすべてのことに注目するきっかけを作ってくれました。ただ、サイバー戦争の実態は表面的にしか明らかになっていません。新しい戦争ですからね。私にとっては、アメリカが1945年に日本へ原爆を落としたことも新しい戦争の始まりだったのですが、サイバー戦争は新しい戦争の形であり、ある意味では、それはもう始まっています。そういったものが、全世界的な監視システムとともに存在するということを、皆さんには知っていただきたいのです」

主演を務めたレヴィットのキャスティングについては、「2014年にスノーデンに会ってすぐに、ジョセフに連絡しました。まだ脚本が出来上がっていない段階で興味があるかと聞いたところ、彼は非常に興味があると答えてくれました。それからモスクワに連れて行って、スノーデンと会ってもらったのです。二人は同じ年頃で、ジョセフはスノーデンに敬服している部分があり、演技をする上では、スノーデンの一挙手一投足を模倣するような演技になっていましたね」と回顧。続けて、「ジョセフは自分を律することができる役者です。自分で決めて演技することができますし、また頑固なところもあります。私は俳優との関係をギブ&テイク、トライアル&エラーだと考えています。つまり、闘いながら何かが生まれてくるということです。本作での彼の演技は絶賛されましたし、非常に説得力があるものだと思います」と魅力をアピールしていた。

(取材・文:岸豊)


映画『スノーデン』
1月27日(金)公開

監督:オリバー・ストーン
脚本:オリバー・ストーン、キーラン・フィッツジェラルド
原作:『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』著 ルーク・ハーディング (日経BP社)
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ザカリー・クイント、リス・エヴァンス、ニコラス・ケイジ
2016年/アメリカ・ドイツ・フランス
原題:SNOWDEN
配給:ショウゲート

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