劇場版『黒執事 Book of the Atlantic』小野大輔インタビュー「“一生モノの役”をもらったなと改めて感じています」

小野大輔

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枢やなによる、人気コミック「黒執事」。TVアニメやOVAで過去4度映像化されてきた(「黒執事」「黒執事II」「黒執事 Book of Circus」「黒執事 Book of Murder)が、2017年、原作でも屈指の人気を誇る「豪華客船編」を劇場アニメーション化。映画の公開を記念し、セバスチャン・ミカエリス役を務める小野大輔にインタビュー。小野にとって代表的キャラクターの1人であるセバスチャンはもちろん、改めて「黒執事」の魅力について話を聞いた。

――まず、「豪華客船編」の劇場アニメ化を聞いた時、どう思われましたか?

みなさんが待ち望んでくれていたエピソードだと思います。「豪華客船編」という名前の通り本当にスケールが大きくて、「黒執事」が持っているホラーやアクション、コメディーといった全ての魅力が詰め込まれています。この一本を見ていただければ、「黒執事」の魅力がすべてわかるといっても過言ではないような、全部盛りな内容ですね。なので、「豪華客船編」が満を持して劇場版として公開できることを、一演者としても一ファンとしても、とてもうれしく思っています。

小野が演じるセバスチャン・ミカエリス/(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

小野が演じるセバスチャン・ミカエリス/(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

――「黒執事の魅力が全部盛り」というのは、登場キャラクターに関してもそうですよね。中でも、小野さん自身の心に残っている登場人物やセリフはありますか?

沢山あるんですが…今回の作品が「黒執事」の集大成であり、全部盛りというのは、主要キャラクターがほぼほぼ出てくるっていうところが、まず魅力として挙げられると思いますね。なので、一人に絞れないくらいみんなが印象的で。Wチャールズ(チャールズ・グレイ&チャールズ・フィップス)まで出てきましたもんね。原作の「豪華客船編」にはいないキャラクターなので、そういう意味でも全キャラクターがしっかりと見せ場があって、「どこからどう切っても黒執事だな」って思っていますね。

坂本真綾演じるシエル・ファントムハイヴ/(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

坂本真綾演じるシエル・ファントムハイヴ/(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

もう一つ言えることは、これまでのキャラクターが出ていることの“お祭り感”と、その裏側にある“原点回帰”ですね。悪魔と契約をしたシエル。でもまだ、執事としてはセバスチャンが機能していない時期があるんですよね。もう本当に、出会ってすぐのところを回想シーンとして描いていて。そのシーンで、最初にシエルが「お前はセバスチャンだ」って名づけるシーンがあるんですけど、そこが、僕すごい好きですね。「前任の執事の名前ですか?」「いや、犬の名前だ」ってなるところの一連の流れが、「あ~すごくセバスチャンとシエルだな」っていう風に改めて感じて、「ここから始まったんだな」って思うと、なんか、「8年間積み重ねてきて良かったな」って改めて思ったんですよね。“らしさ”がすごくそこに凝縮されていて、この「黒執事」が持っている様式美の美しさ、その裏側にあるちょっとシニカルな部分であったりとか、ちょっとしたコメディー要素であったりとか、人間の魂の気高い部分を描いたりとか。

この作品は裏腹な部分を表裏一体で描いているところがあるので、そういうところが今回回想シーンのところとかで垣間見れて。この完璧に見える執事は、実は最初は貴族社会について知らないことも多くて、シエルから教えてもらっているんですよね。逆にセバスチャンは、シエルの方に与えていくわけですよね、悪魔として力でなせることを。だから、そのふたりで一つになる、表裏一体になる部分の、最初のスタート地点を演じられたことも観れたこともやはりまたうれしかったですね(笑)。

(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

――8年間演じられてきたセバスチャンですが、昔と今とで何か変わったことはありますか?

技術的な面でいうと、セバスチャンのおかげで低音が、安定して出せるようになりましたね。本当に技術的な部分ですが、最初に第一期で演じたときに「とにかく低く、抑揚を抑えて感情を出さずに演じてください」というのは再三言われていましたから。これは、今だから言えるんですけど、本当に苦しくて、正直痛みを感じている部分もありました。本当に「このまま自分としては乗せたい表現をできない役なのかな?」って思った時期もあって、実はすごく悩んだキャラクターだったんです。

その経験を経てきているので、“引き算”をする勇気がもてたように思いますね。それ以降の僕が頂く役柄に、それがどんどん反映されていて、これまで以上に役の幅はすごく広がったなと思っています。昔だったら多分できなかったような、例えばすごく年齢を重ねた役であったりとか、ものすごくタフな役であったりとかも、セバスチャンを演じたことによって、声質とか声の幅が広がったことによって、演じられるようになった役柄って沢山あるので、本当に“一生モノの役”をもらったなと改めて感じています。

小野大輔

――本作では、セバスチャンが人間臭い役どころで、余裕なく必死に戦う様子が見られますが、そんな必死な様子をみせる部分をどのように演じられましたか?

アフレコに臨むにあたって、阿部監督からは「(前作では)極力感情表現をしないように演じて頂きましたけど、今回は存分に熱量を載せて頂いて構いません」と仰っていただきました。それは監督の想いであっただけでなく、「枢先生からも同じメッセージを預かってきています」とも言っていただいて。

枢先生からは「今回は葬儀屋(アンダーテイカー)という非常に強大な敵が現れて、これまでとは全く違った戦いになります。この戦いにおいてはセバスチャンもピンチに陥ったり、息が上がったり、感情をあらわにしたりといった部分が沢山出てきます。本作では小野さんが『黒執事』でずっと抑えてきた部分を逆に出してください。熱量を乗せてください」という内容でした。

これは僕にとっては“ご褒美”のような感覚がありましたね。これまで、演者としては(熱量を)乗せたくなる部分でも、乗せていなかったので。役を積み重ねてきた結果として、「今、出していいよ」って言ってもらえたのでそれは本当にうれしかったですね。

――熱量を乗せたアクションシーンはいかがでしたか?

とにかく今回はアクション、アドリブを沢山乗せていってますね。これまで類をみないほど。死神のグレルやロナルドがもともと躍動的なキャラクターなので、今回はよりアクションに熱量が乗っているんですよね。で、さらに強いところで葬儀屋(アンダーテイカー)がいて。だからこれまで出したことのない声であったり、熱量というものを乗せているような気がします。「セバスチャンって本気で戦う時はこういう息がでるんだ」と自分もやってみて改めて発見がありました。

――本作では、シリーズの中でも人気のエリザベスや葬儀屋(アンダーテイカー)の違った側面が観られる内容となっています。小野さんが思う彼らの魅力とは?

初期のころは、エリザベスって純粋に「可愛い!」という存在だったし、「黒執事」においてのある種マスコットキャラクターみたいな存在だったと思うんですよね。でもちゃんとバックボーンがあって、彼女を取り巻く環境が、引いてはシエルに影響を与えているし、シエルをある意味男にするためには、彼女という存在が必要不可欠なんですよね。

田村ゆかり演じるエリザベス・ミッドフォード/(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

田村ゆかり演じるエリザベス・ミッドフォード/(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

エリザベスは自分が強い部分を実は誇りに思いながらも、良しとはしていないんですよね、可愛いままでいたかった…そういうところは「すごく女の子だな」って思います。強い彼女が自分のバックボーンをシエルに教えられないというのは、やっぱりシエルを本当に大事に想っているからだと思うんですよ。そういう部分があるから、エリザベスがより女性としてすごく魅力的に見えるし、凛とした女性の美しさも感じて、ここにきてものすごく魅力が増したキャラクターだと思います。

葬儀屋(アンダーテイカー)については、“ただただ不気味な存在”“謎の存在”だったと思うんですけど。僕も正直、彼の存在がストーリーにどんな影響を与えてくるのかってことが全く分からなかったんですよね。それがここにきて“純粋悪”だってことがわかるんですよ。それがすごく痺れましたね。今までアニメで描かれている部分で言うと、“純粋悪”っていなかったと思うんですよ。「死神」って存在は、基本悪だと捉われがちですけど、彼らは死神の派遣協会から言われて、職務として魂を回収しに来ている存在で、実は職務に忠実な、すごくまじめな奴らかも知れない。生きる目的としての仕事をするっていうことになるので、「あれ?」と思って。「死神ってもしかすると悪じゃなくないか」って。むしろこっちが悪魔ですから、「セバスチャンとシエルの方が、この世界においては淀んだ存在なのかも知れない」って思うんです。

諏訪部順一演じる葬儀屋(アンダーテイカー)/(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

諏訪部順一演じる葬儀屋(アンダーテイカー)/(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

「サーカス編」で出てきたキャラクターたちも、本当に純粋に生きていくためにもがくわけで、ただただ悪いことをしたくてしてた人っていなかったと思うんですよ。でも、この葬儀屋(アンダーテイカー)に関しては、ただ自分の知識欲のために、死者を蘇生させて実験をしていく…本当にヘドが出るほどの“純粋悪”なんですよね。でも清々しいんですよね、ここまで突き抜けた悪だと。なので、本作でその正体が明らかになったことは、実は「黒執事」という作品においては、すごく有意義な事だったように思いますね。僕らが…セバスチャンとシエルが倒すべき相手というか、立ち向かうべき相手が本当の意味で現れたなと思っています。

――これから本作を見るファンの皆様に、メッセージをお願いします

コミックが10年を迎え、そしてアニメが8年という月日を積み重ねて、ついに本作をみなさんにお届けできる運びとなりました。本当に、長い間みなさんが応援してくれた“黒執事愛”の、その積み重ねの集大成であることと、僕たちスタッフ・キャスト一同も思っております。これまで、ずっと応援してくださった皆さんに必ず満足して頂けるような。そんな、黒執事の魅力を全て詰め込んだ作品になっていると思います。

だからこそ、これを見ていただければ「黒執事」のすべてが知れる、感じられるような作品になっていると思いますので、まだ「黒執事」を知らない方も一緒に劇場に足を運んでいただいて、これからまた、例えば次の10年であったりとか、これからずっと「黒執事」という作品がみなさんに色あせることなく愛されていってほしいなという風に願っているので、ぜひ、色々な方に黒執事の魅力をここでまた堪能して頂きたいなと思っています。


劇場版『黒執事 Book of the Atlantic』
大ヒット公開中

原作:枢やな (掲載 月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)
監督:阿部記之
脚本:吉野弘幸
キャラクターデザイン・総作画監督:芝美奈子
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
キャスト:セバスチャン・ミカエリス:小野大輔、シエル・ファントムハイヴ:坂本真綾、エリザベス・ミッドフォード:田村ゆかり、葬儀屋:諏訪部順一 他
(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Atlantic

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アーティスト情報

小野大輔

生年月日1978年5月4日(40歳)
星座おうし座
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生年月日1980年3月31日(38歳)
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