【TIPインタビュー】自主映画、「悩むならやった方がいいい」 『それでも、お父さん』高橋朋広監督

過去作品も出せる自主映画の配信サイト・TIP(TSUTAYA TV INDEPENDENT FILM PROGRAM)。

今回紹介するのは、『それでも、お父さん』の監督・高橋朋広さんだ。

死んだ母親が残した手紙に、「これまで育ててくれた父は、本当の父親ではない」という出生の事実が記されていた。これを見た娘は実の父親を捜すが、それに戸惑う父親…。

親子の物語を丁寧に描いたこの作品は、テレビ局のディレクターという、ただでさえ多忙な立場にいる高橋さんが、映画製作の情熱冷めやらず、伝手をたどってキャスティングを行い、完成にこぎつけたもの。

2015年に行われた「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015」「福岡インディペンデント映画祭」などの映画祭で上映され、「福岡インディペンデント映画祭」では優秀作品賞に選出された。

「人の生きざまを撮りたい」という高橋さんに、画に対する情熱や、働きながら映画を撮ることについて話を聞いた。

「映像データを陳列させてもらえるのはありがたい」

─今回、TIPに作品を出そうと思ったきっかけは?

高橋朋広さん

高橋朋広さん

高橋:TSUTAYAさんで流してもらえる、というのが大きかったですね。

『それでも、お父さん』は国内の映画祭など、いろんな所で流してもらっていた作品だったんですが、普通だったら作品がパッケージ化がされなければ、それで終わりです。

でも、データ化されることによって、何かしらで皆さんに観ていただけるし、「観たいんだけどDVD貸して」と言われたときに「あそこで見れるよ」って言えますし。それでまた何かしら広がっていけばいいなという思いで応募しました。

あと、動画配信についても考えていたことも理由の一つです。動画配信は図書館のように、 “自主映画”というジャンルもあったほうがいいのになぁ、と思っていた矢先にTIPを見つけました。

物体(パッケージ化)にはなっていないけど、「蔵書」として、映像データを陳列させてもらえるというのは、作リ手としてはとてもありがたいことです。

─自主映画に携わっている方々は、アウトプットの場所がないというのは、共通の悩みになっているのですか?

高橋:そうだと思いますね。

─撮影を始めるにあたって、会社には「映画を撮る」ということは伝えましたか?

高橋:言ってないです。「ここからここまで休みます」とだけ言って、休み中に撮影を終わらせて、編集は仕事の合間でやりました。で、結果が出たときに会社に伝えて。最初に映画撮影のことを伝えていたら止められていたかもしれませんね(笑)。

テレビの演出、映画の演出

─撮影されたのは2014年ですか?

高橋:2014年ですね。完成したのは2015年です。

─撮影の前年に、高橋さんはテレビ局で深夜ドラマの演出をされていました。映画を撮ろうと思ったきっかけは、このドラマの仕事も関係しているのでしょうか?

高橋:それはありますね。会社に入ってバラエティ番組の制作現場に3~4年いた中で、深夜ドラマを1本やらせてもらい、「一回映画を撮ってみよう」という気持ちになりました。30代も見えてくる中で、そろそろ動いておかないと一生映画なんて撮れないんじゃないかと焦っていたんですよね。

―『それでも、お父さん』の製作では色々ご苦労があったかと思いますが、特に難しかったところは?

高橋:「映画」になるためにどうすればいいか、悩みましたね。撮影が終わって1ヵ月ほどで編集を終えたのですが、見返してみると全然ダメで、出品した映画祭は全く通りませんでした。

そのあと、10ヵ月くらい編集を重ねて完成したのが2015年の3月でした。

―この時の作品が映画祭にかけられたり、賞を取ったものなんですね。

高橋:はい。最終版では、国内に出した映画祭は全て通していただきました。バラエティ番組は編集次第でいくらでも面白くなるものですが、脚本通りに撮影する映画であっても、編集次第で同じ撮影でも全く印象が違ってくるんだな、と思いました。

─ドラマと映画、作り手としての違いは何かありましたか?

高橋:違いは明確にあると思います。ただその違いをずっと言語化できずにいたんですが、ある監督の本を読んだ時に「ドラマはラジオに絵がくっついたもの、映画は写真が動いたもの」と書かれていて、すごく腑に落ちました。

その監督はドラマと映画のDNAまで遡って説明していたんです。それを読んでからは映画を見る目がまた少し変わりましたね。

ドラマの仕事でも「画」は大切にしているんですけど、ルーツが全然違う。それからテレビは、いつでもチャンネルを変えられてしまう、というのが根底にあります。なので、「ヤマ」をつくって、という作り方になります。「煽って、煽って」という作り方も最近は古い、と言われてますけど(笑)。

でも、最初から最後まで基本は見てもらえることが前提の映画って、物語の作り方が全く変わってくるので、僕は映画のほうが楽しいですね。

自主映画「悩むくらいなら、やってみたほうがいい」

─お勤めされながら、という話に戻りますが、高橋さんのまわりにも、同じように働きながら撮っている方はいらっしゃいますか?

高橋:会社に報告したときは「お前みたいなのは初めてだ」と言われました(笑)。

─高橋さんのように映画を撮りたい、と思っている監督志望の学生さんや、働いている方がいたら、どのようなアドバイスをしますか?

高橋:悩んでいるんだったら、やったほうがいいんじゃないかな、って僕は思います。

自主映画だと、友達に頼み込んだり、役者さんを口説いたりする時も、「何者でもない自分」にビジネスの関係抜きに時間をいただくわけなので、色んなものに押しつぶされそうになります(笑)当然、言い出しっぺの自分がやらなきゃいけないことは多くて大変です。

でも、それを乗り越えると達成感というか、やる前とやっと後では見える景色が絶対的に変わってくる。「またこの人とやりたい」という仲間も見つかりますし。なおかつ結果が出れば良し、です。

25歳のとき、ある映画プロデューサーに「映画を撮りたいんです」と言ったら「監督っていうのは、才能のある一握りの人しかなれないんだ。みんな監督をやりたいんだよ。でもなれないんだよ」って言われて、「なりたいなら30歳までは自分の才能を信じて突き進むしかない。それまでに芽がでなかったらあきらめたほうがいい」と言われたことがずっと心に残っていたんです。だから30歳をひとつの区切りとしました。

─「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015」のインタビューの中では、「“家族”と“人と人とのつながり”というテーマが常にある」とありましたが、次はどんな作品を撮りたいですか?

高橋:何本か脚本を書いてストックしているんですけど、「毒にも薬にもならない」ものじゃなくて、「毒か薬になる」ものを作りたいなと思いますね。それが心を揺さぶるものだと思うので。

高橋朋広(たかはし・ともひろ)さん

『それでも、お父さん』監督。テレビ局のディレクターとして活躍するかたわら、自主映画作りに励む。

一番衝撃を覚えた映画は『楢山節考』。現在、年間約100本の映画に目を通し、感想を1本ずつまとめている。「2017年中には撮る」と、次回作にも意欲を見せる。

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