新作映画『王様のためのホログラム』を観るべき3つの理由――トラブル続きの異国で、“生きる希望”を見つけ出す大人の冒険ファンタジー

映画『王様のためのホログラム』

映画『王様のためのホログラム』/(C)2016 HOLOGRAM FOR THE KING LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

『王様のためのホログラム』ってどんな映画?

大手自転車メーカーの取締役を解任されたアランは、家も財産も失い、妻とは離婚。愛する一人娘の学費を支払うために、IT企業の営業マンに転職した彼は、アメリカからはるか遠いサウジアラビアの王様に、画期的なテレビ会議システム「3Dホログラム」を売り込もうと現地入りするが、肝心の王様どころか、担当者にさえ会えない始末。慣れない異文化での生活や本社からのプレッシャーで、次第に追い詰められたアランに“ある異変”が…。

観るべき理由:1――きっかけは大物スターの絶賛ツイート

主演を務めるのはデビューから30年以上経った現在も、世代を超えて愛される大物スターのトム・ハンクス。アカデミー賞主演男優賞を2度受賞した輝かしいキャリアに加えて、最近では約1200万人のフォロワーを誇るTwitterも注目の的だ。そんなハンクスが2012年、ある1冊の小説への絶賛ツイートを投稿した。デイヴ・エガーズが発表した同名の原作小説だ。

一方、原作者のエガーズも「もし映画化するなら、主演はトム・ハンクスしかいない」と確信していたそうで、トントン拍子で映画化が決定。イマドキな堅苦しい契約書もなかったといい、実際に本作はいい意味でユル~く自由な空気が流れる、癒しに満ちた作品に仕上がった。ちなみに、ハンクスの次回作「ザ・サークル(原題)」も、エガーズ小説の映画化。両社の信頼関係はより強いものになっている。

観るべき理由:2――辛いときこそ「流れに身を任せる」べき?

人生も後半戦、一時は大企業の取締役として手腕を振るった主人公アランだったが、今や営業マンとして、見知らぬ土地で「3Dホログラム」を売り込むことに…。そんな彼に襲い掛かるのは、異文化がもたらす数々のトラブルだ。もしも主人公が、希望にあふれた青年ならば、きっとすぐにカルチャー・ギャップを乗り越え、新しい価値観に目覚めるはずだが、酸いも甘いも知る“オトナ”なアランにとっては、ご当地で経験する珍道中はストレスそのもの。先の見えない恐怖、失ったモノの大きさに打ちひしがれ、八方ふさがりなのだ。

そんなピンチを前に、あえて「流れに身を任せる」ことで、相互理解を深め、事態を好転させてしまうアランの姿が微笑ましい。そのドラマチックな展開は、まるで“生きる希望”を見つけ出す大人の冒険ファンタジー。現状に行き詰まりを感じる、すべての人に効き目バツグンなのだ。

観るべき理由:3――大国アメリカの“ビミューさ”も浮き彫り

もう1つ、異国の慣習に右往左往するアメリカ人の姿から、特に経済や産業の分野で、グローバリゼーションの波に巻き込まれている大国アメリカのビミョーな現状が浮かび上がる。アランがサウジで競い合うライバルは、優れたホログラム技術を有する中国のIT企業だし、実はアラン本人も自転車メーカーの取締役時代、生産拠点を中国に移し、国内の従業員を失業させていた。その反動で、現実世界ではトランプ大統領が誕生したのかも…なんて考えると、複雑な気持ちにも。

とはいえ、そうした問題提起は本作にとっては、ピリリと味を引き締める小さじ1杯分のスパイス。監督を務めるトム・ティクヴァ『パフューム ある人殺しの物語』『クラウド アトラス』)は、心を開いた異文化との交わりを通して、人生の再スタートを切る主人公の軌跡を暖かなタッチで描いている。どこか近未来SFのような、浮世離れしたサウジアラビアの風景(撮影はモロッコ)も、観客を異世界に誘う効果をいかんなく発揮する。

(文・内田涼)


『王様のためのホログラム』
2月10日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

監督・脚本:トム・ティクヴァ(『クラウド アトラス』『パフューム ある人殺しの物語』『ラン・ローラ・ラン』)
原作:デイヴ・エガーズ「王様のためのホログラム」(吉田恭子訳、早川書房刊/2016 年12 月発売)
出演:トム・ハンクス(『インフェルノ』『ハドソン川の奇跡』)、サリタ・チョウドリー(TV「HOMELAND/ホームランド」)、アレクサンダー・ブラック、ベン・ウィショー(『007』シリーズ、『パフューム ある人殺しの物語』)、トム・スケリット(『トップガン』『エイリアン』)

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