【インタビュー】サミュエル・L・ジャクソン、若手俳優時代を回顧「ハリウッドに呼ばれるまでは、行かないと決めていた」―映画『キングコング:髑髏島の巨神』

サミュエル・L・ジャクソン

サミュエル・L・ジャクソン

『パルプ・フィクション』『ダイ・ハード3』『スター・ウォーズ』シリーズ、最近では『アベンジャーズ』シリーズで知られるサミュエル・L・ジャクソンは、ハリウッドで最も成功を収めた黒人俳優の一人だ。そんなジャクソンが、トム・ヒドルストンブリー・ラーソンジョン・C・ライリーといった超豪華キャストと共演した映画『キングコング:髑髏島の巨神』が、3月25日に日本公開を迎える。これまで何度も製作されてきた『キングコング』映画の中で、紛れもなく最高傑作である本作でジャクソンが演じたのは、コングへの復讐心に燃えるプレストン・パッカード大佐だ。去る3月某日、本作のPRのために来日したジャクソンに、役柄やこれまでのキャリアについて話を聞くことができた。

―この映画はベトナム戦争後の世界を舞台にしています。演じられたプレストン・パッカード大佐は、コングが棲む髑髏島の調査隊を護衛する役割を持つ軍人ですが、登場人物の中で積極的にコングに戦いを挑む唯一の存在でもありますね。彼の好戦性の基になっているものは何なのでしょう?

世界からすれば、アメリカはベトナム戦争を捨てたわけだから、彼は自分のことを、任務を達成することができなかった戦士だと思っているんだ。そんな中で調査隊が髑髏島へやって来て、コングに攻撃を受けたとき、彼の頭の中でもう一つの戦争がはじまるというわけさ。彼に負けるつもりはないし、部下が不安を抱かないように、勇敢に立ち向かわなければならない。亡くなった部下への想いによって、彼は怒りを感じ、残された部下を守らなければならないという義務感を抱くんだ。

―ご自身はコングに立ち向かえそうですか?

私は逃げるよ。人生にはできることがもっと沢山あるからね(笑)。距離感が大事さ。

―役作りではどんなアプローチを取りましたか?

軍事アドバイザーが付いてくれていたから、軍事的な行動を取ったり、軍事用語を話すときには教えてもらっていた。私の頭の中には常に、お気に入りの小説である『白鯨』があったと思う。エイハブとモビィ・ディックの関係を、私自身にとっての比喩としてイメージしていたんだ。

(C)2016 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED

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―パッカード大佐と似ているところは?

似ても似つかないね。長身で黒人なのは一緒だけど(笑)。彼の中には、私の性格のいくつかの側面があると思う。私は強気だし、歯に衣着せないし、信念は曲げない。勇敢かと言われると、違うかもしれないけれど。あと、頑固だし、これと決めたことには向かっていくところがある。それは確かだね。それでいて、友人や家族には過剰なまでに誠実だ。あ、僕たちはとても賢いね。最高にハンサムで、かわいいところも似ているかな(笑)。

―本作でも見受けられたように、怒る演技の上手さは地球上の誰もが認めるものだと思います。しかし本作ではCGIでクリエイトされるコング相手に怒らなければならなかったので、非常に難しかったのではないでしょうか。どうやって怒りを積み上げていったのでしょう?

鏡を見つめたのさ。つまり、私自身を見つめたんだよ(笑)。私はこれまで、年月をかけて感情の積み上げ方を学んできたし、本作ではコングのいでたちなどをいろいろと想像したよ。認めない人もいるけれど、役者は自分の顔を鏡で見て、演技の練習をするものなんだ。この顔はいけるな、この顔はどうだろうって具合にね。感情の積み上げ方に関しては、役者としての技術のようなものがあって、一度コツをつかんでしまえばできるようになるんだ。とにかく練習をして、その瞬間を生きるという感覚で取り組んだよ。

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―自分以外で、怒る演技が上手いと思う俳優は?

そうだな…デンゼル・ワシントンは上手いね。あとはビートたけしさんも上手だ。たくさんいるよ。ブルース・ウィリスもそうさ。アクション映画に出演する役者には、怒りの演技が上手い人が多いね。

―これまで長きにわたってハリウッドをリードされてきましたが、俳優人生の成功の秘訣は?

もし秘訣があったら、それを売り物にしているよ(笑)。私は幸運だっただけだと思うね。映画というものは、実際に出てみないと分からないものさ。これまで私は、自分がハッピーになれるかや、出演したいかという、一観客としての視点を大事にして出演する作品を選択してきたんだ。ラッキーなことに、私が今まで出演してきた映画は、楽しくてワクワクするようなもので、どこかで誰かが必ず儲けるものになってきたね(笑)。

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―この映画の舞台は1973年です。『Together for Days(原題)』でデビューされた直後ですが、振り返ってみると、当時はどんな若手俳優でしたか?また、その後の活躍は想像できましたか?

険しい道だったよ。当時の私は若手の舞台俳優で、レパートリー・シアターやストリート・シアター、あるいは子供向けの劇場で舞台に立っていた。確かに、SAGカード(全米映画俳優組合のカード)をもらったのは1972年だったと思う。仕事はアトランタを拠点に行っていたね。その後、1976年にニューヨークへ移住して、シアター・オペラやテレビ番組に出るようになったんだ。とても昔だ。いろいろと動き出したかなと思えば、ピタリと止まったりするんだ。だから、どこでブレイクするかは分からないものだよ。そんな中で、モーガン・フリーマンやデンゼル・ワシントンがハリウッドに旅立つのを見送っていたんだ。でも、私はハリウッドに呼ばれるまでは、行かないと決めていたんだよ。ようやく呼ばれたのが、『ジャングル・フィーバー』だった。

―「売れたな」と思った瞬間はいつでしたか?

当時、自分のエージェントに「ハリウッドから電話はかかってきた?」って聞いて「いいえ」と返されるジョークを毎日交わしていたんだけど、ある日いつものように「かかってきた?」って聞いたら「本当にかかってきたわ」と言われたんだ。それが『ジャングル・フィーバー』だった。ゲーター役を務めた私の演技は評価されて、カンヌ国際映画祭では助演男優賞が特別に設けられた。その後、『ホワイト・サンズ』に出演するためにニューヨークからロサンゼルスに飛んで、それから『パトリオット・ゲーム』『パルプ・フィクション』『ダイ・ハード3』と続いたんだ。『パルプ・フィクション』でアカデミー賞にノミネートされてからは、風向きが変わった。オーディションを受けることがなくなったんだ。渡される脚本を読んで、自分で出演する作品を選べるようになった。選択ができるようになって、状況が変わったんだと気づいたよ。とはいえ、作品の選び方によっては、良いキャリアになるか、悪いキャリアになるかが別れてしまうけどね。

サミュエル・L・ジャクソン

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―当時、俳優仲間に言われた印象的な言葉はありますか?

『ダイ・ハード3』で共演したブルース・ウィリスに「『パルプ・フィクション』は良い映画だろうけど、この映画は君の人生を変えるぜ」と言われたんだ。なぜなら、その年の世界興行収入のトップを取った作品だったからさ。そのときに初めて来日して東宝の人間と話したんだけど、「黒人俳優で有名なのは?」と聞いたら、「日本で知られているのは、ウィル・スミスエディ・マーフィくらいだ」と答えられた。でも、後ろにいた人が私のことを指さして話していたから、「私も結構有名なんじゃないか?」と思ったけどね(笑)。

―劇中でパッカード大佐は絶体絶命のピンチに追い込まれますが、ご自身の人生における絶体絶命のピンチは?

動物に襲われたことはないんだけど、すぐに何かが起きなければ生死が別れるみたいな瞬間はあったね。一度ニューヨークの地下鉄で、電車に引きずられたことがあるんだ。誰かが緊急停止ボタンを押してくれて、何とか助かった。電車が止まって、足を引き抜くことができたよ。プラットフォームで電車の外にいたんだけど、ドアが足を挟んだまま電車が動き出してしまってね…。怖かったし、痛かったよ(笑)。

(取材・文:岸豊)


映画『キングコング:髑髏島の巨神』
2017年3月25日(土)日本公開

監督:ジョーダン・ボート=ロバーツ
出演:トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、MIYAVI、ジョン・C・ライリー、他
日本語版吹替キャスト:GACKT(主人公:ジェームズ・コンラッド役)、佐々木 希(ヒロイン:メイソン・ウィーバー役)、真壁刀義 [新日本プロレス](米陸軍兵士:レルス役)

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アーティスト情報

サミュエル・L・ジャクソン

生年月日1948年12月21日(69歳)
星座いて座
出生地米・ワシントンD.C.

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