主人公の“純情さ”にブルボンヌ感激 『ムーンライト』トークイベント実施レポート

ブルボンヌ(女装パフォーマー)

ブルボンヌ(女装パフォーマー)

第74回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、第89回アカデミー賞では作品賞・脚色賞・助演男優賞の3部門受賞、アカデミー賞の歴史の中でLGBTQをテーマにした作品として初めての作品賞受賞という歴史的快挙となった『ムーンライト』が、いよいよ3月31日(金)より全国公開となる。

今回、女装パフォーマーでありながら、映画ライターとしても活躍されているブルボンヌが、映画の歴史を変える愛の物語である本作について、ブルボンヌならではの視点で熱く語った。

まず「ジェットコースターに乗っているかのようにドラマティックな展開が起こる映画ではない。雫のように身体の中、心の中に垂らされたものを、後で自分が反芻して人生の中に影響を与えていくような、深みのある映画」と本作を観ての感想を述べた。

また、「15〜20年前だったらアンダーグランドでよく分からない映画としての扱いをされていたかもしれない作品が、まさかの作品賞で世界の頂点に立ったことは本当に驚き。ここ2年程言われていた“白人だらけのオスカー問題”や“トランプ政権に対してのアンチテーゼ”などの後押しもあっての時代に乗ったタイミングの良さも、もちろんあったと思いますが、“時代に乗る”ことも映画ですから!派手さがないにも関わらず作品賞を受賞したということは、メッセージを受け取る受け手が成長している証」であると観客の映画に対する見方も時代を経て変化してきていると説明した。

主人公の父親代わりになる麻薬ディーラーのフアンを演じたマハーシャラ・アリについて「出演シーンが24分間しかないのに、助演男優賞を獲れるのはスゴい! しかも、私から見ても異常なくらいいい男よ!」と言って会場を沸かせた。ナオミ・ハリスが演じた主人公の母親について「母親は全編を通して登場していて、(3つの時代の)パートごとにキャラが異なる。自分自身の周りの性的少数者の男性にとって“母親”という存在は大きい。下の子孫を残せないという意味で唯一の血縁は母だけで、産んでくれた人間がその存在を認めてくれるかどうか、愛してくれるかどうかで、“生きていていいんだな”と思わせてくれる部分がある。だから、(本作において)変容しながらも必ず近くにいる母親の存在が描かれていることは、とても重要なことである」と本作における母親の描き方が象徴的だったことに自身の経験踏まえ触れた。

3人の俳優がシャロンという一人の役をバトンタッチするかのように演じた本作。「マッチョになった青年期のブラック(主人公)は、自分の心と身体に鎧を着けて社会と渡り合うことにしたんだということを表現している。同じ人間がずっと同じではないということを伝えるためにも、この設定はよかった」と述べ、「シャロンの純情さ。どんなボーイズラブ作品よりも純愛でロマンティック!ラストシーンには胸キュンした」と印象的なシーンについて語った。

本作について、「分かりやすく観客をその場で泣かせようとしている映画はそういう製作者の意図が見えてきてしまう。本作はそういうことを一切しないで、観終わってしばらくしてから「なんでフアンはあんなに優しかったのだろう?」など、色んなことを想像させる“行間だらけ”でできた映画。馬鹿向きじゃない映画よね」とブルボンヌさんらしい結論に達した。

最後に「太陽の光は眩しいし明るいし色鮮やかだからみんな憧れがちだけど、真っ暗闇の中にほんのり光る月の光みたいなそんな人生があってもいいじゃないって思わされる映画です」と素敵なコメントでイベントを締めくくった。


映画『ムーンライト』
2017年3月31日(金)全国ロードショー

監督/脚本:バリー・ジェンキンス
エグゼクティブプロデューサー:ブラッド・ピット
キャスト:トレバンテ・ローズ、アッシュトン・サンダース、アレックス・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホーランド
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ/朝日新聞社
配給:ファントム・フィルム【2016/アメリカ/111分/シネマスコープ/5.1ch/R15+】原題:MOONLIGHT

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