【インタビュー】『溺れるナイフ』山戸結希監督「この瞬間だけのその人を撮りたい」ー4月21日よりTSUTAYA先行レンタル開始!

山戸結希監督、柔らかな印象に隠された熱意とは?

山戸結希監督。柔らかな雰囲気の奥に潜む、溢れんばかりの情熱とは?
(C)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

昨年11月公開、小松菜奈×菅田将暉の実写映画『溺れるナイフ』。本作のBlu-ray&DVDの先行レンタルが、TSUTAYAにて4月21日(金)からいよいよ開始となる! このたび本作のレンタル開始を記念して、山戸結希監督にインタビューを敢行。新進気鋭の映画監督が本作にかけた並々ならぬ想いを語った。

「溺れるナイフ」のためだけの“映画の時間”

溺れるナイフ

(C)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

原作は、別冊「フレンド」連載、10代女子を中心に絶大な人気を誇る、ジョージ朝倉の同名少女マンガだ。

東京でモデルとしても活躍していた美少女・望月夏芽は、海辺の小さな田舎町・浮雲町に越してきた。刺激的な毎日から一転、退屈な日常に満たされない思いを募らせる彼女はある日、地元の名家・長谷川家の跡取り息子で、傍若無人ながらカリスマ的な輝きを放つ少年コウと出会い、心惹かれていく。コウもまた、夏芽の美しさに特別なものを感じ、やがて2人は付き合い始めるのだったが…。

『あの娘が海辺で踊ってる』、『おとぎ話みたい』などを手掛けてきた山戸監督は、原作のリアルタイムの読者でもある。このたびの実写化にあたり「映画の時間」を意識したことを語った。

「マンガを実写映画にした作品は多いですが、“時間の流れ方”というのはマンガと映画で異質なものだと思います。マンガ「溺れるナイフ」はジョージ朝倉先生がご自身の眼で見つめている世界を描かれた作品。だから、マンガそっくりの時間を真似っこするのではなくて、自分のまなざしから“映画の時間”が流れ出すという気持ちを大事にしました」

マンガ全17巻の内容すべてを、2時間の映画で網羅することは不可能だ。だからこそ山戸監督は、自身の目線で原作のエッセンスをフィルムに落とし込んでいった。

「自分が『今、いいな』と思う瞬間まで撮影を行いました。誰かの映画を真似て作ったり、自分の過去作みたいに撮ろうとするのではなく、自分が生まれて初めて撮るようなカットを撮りたいと思っていました。だから、一回一回『あ、今日はこういう撮り方なんだ』って“撮りながら知る”みたいな感じでした」

「溺れるナイフ」という“一つしかない”原作の映画化もまた、“一つしかない”ものでなければならない。山戸監督の眼差しから生み出された新鮮なカットには、過去作にも、原作にもない、「溺れるナイフ」のためだけの“映画の時間”が流れている。

“瞬間の魅力”を捉え続けた17日間

溺れるナイフ

(C)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

そんな本作の撮影、実は17日間という非常に短い期間で行われていた。

「17日で撮るっていうのは、作家としては死刑宣告みたいなもので(笑)。でもだからこそ、自分の作家性よりも、目の前の4人(小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、上白石萌音)を『魅力的に撮るにはどうしたらいいんだろう?』ということに集中できました。17日間という撮影期間が与えてくれたものもあったと考えています」

短い期間だからこそ、カメラの前に立つ役者の姿の輝きを収めることに夢中になった山戸監督。そこには執念とも呼べる想いが隠されていた。

「基本的に『自分の映画の現場に来た俳優さんは、その瞬間が人生で一番いい瞬間になるんだ!』という想いがあります。だから『私がここで手を抜いたら、この人の人生の最高沸点が低くなる』という気持ちで撮影には臨んでいます」

自分の映画こそ、その役者の最高沸点。そんなドラスティックなまでの熱意は、役者が持つ“瞬間の魅力”を本作のキャラクターに焼き付けている。

「撮影中は、“この瞬間だけのその人が生きているところ”をちゃんと重ねて撮ってゆきたいと思っています。忘れられないシーンに、大きな沼を挟んで菅田さんが小松さんに石を投げるお芝居があります。小松さんに到達してしまうでもなく、ただ沼の真ん中に沈むでもなく、小松さんの足元の、まさにたった一つ望まれた位置に石が落ちて、悲しく水しぶきが上がる。そんな偶然も呼びこんでしまうあの頃の菅田さんと、それに反射する身体をもった小松さんの魅力的なシーンだったと感じています」

コウのキャラクターと、夏芽との距離感を象徴するワンシーン。そこで投げ込まれた石の水しぶきは、作ろうとして生まれるものではない。撮影当時のその瞬間にしか生まれない儚く美しいものだ。

溺れるナイフ

(C)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

そんな美しさのひとつとして、山戸監督は「前髪」を挙げた。

「具体的に気にしたところは…前髪ですかね?(笑)。前髪ガチッと固まっているとあんまり良いと思わないかも。深くは考えてはなかったんですけど、本作ではみんな髪の毛ぼさぼさで(笑)。でもそこに、生きている人だけが持つことの出来る“いびつな美しさ”が詰まっているような気がしていました」

作り上げられたキレイな美しさではない、その日、その瞬間にしか生まれない、いびつな美しさ。ボサボサの前髪は、キャストの“その瞬間の魅力”を象徴している。

とがっている一回感と、ほころびのある一回感

溺れるナイフ

(C)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

“瞬間の魅力”を取りこぼさないように積み上げられていった撮影。その中でも「一番大変だったシーンは?」と質問を投げかけてみた。すると山戸監督は「大変というよりも、切れ目なくずっと緊張していましたね」と当時を振り返った。さらに、そこには「緊張感の違いがあった」と語る。

「(大友と夏芽のバッティングセンターでのシーンでは)小松さんはタオルが落ちて拾い続けるんです。それによってセリフもしどろもどろする。そういう“取り戻せない一回感”がありました。そんな夏芽と大友のやりとりには、夏芽とコウちゃんのやりとりと違う時間の流れ方がありました。コウちゃんとは、隅々まで神経をとがらせて身体中で一発を呼び込む“たった一回感”と、大友とのやり取りにはほころびが必ず生まれる緩やかな、でもだからこそ大切な“たった一回感”。ふたりの間には、まったく違う緊張感がありました」

また、主演の小松と菅田のシーンについては「異常に張りつめていました」と語る。

「小松さん、菅田さんの少女期、少年期の一番とがった部分を映画の中に落とし込ませてもらったものだと思っています。撮影中も『人生の中でも、後戻りできないほど、特別な瞬間を生きているふたりがいるんだな』と痛感する瞬間が重なりました」

キャストがそれぞれの役として生きているからこそ生まれる緊張感の違い。そんな一回感の中で抽出されるのは、作られた演じる役者の姿ではなく、役者そのものの生々しさと、彼ら少年少女が持つ神聖なまでの美しさだ。それらの要素で構成された登場人物たちは実写映画でしか生まれない輝きを放っている。

「夏芽とコウちゃんが出会ったような衝撃を受けてほしい」

溺れるナイフ

(C)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

キャストたちがもつリアリティと、今しかない少年少女の美しさを余すことなく切り出した映画『溺れるナイフ』。映画という表現だからこそ生み出せる魅力に溢れた本作は、近年の大ヒットコミック実写映画化のムーブメントの中でも、成功例と呼べる1本だろう。

そんな本作のレンタル開始について、山戸監督は「小松さんが完成披露試写や取材のときに、『夏芽がコウちゃんと出会ったような衝撃を受けました。わたしにとってそういう作品でした』とずっと言ってくれていたことが、胸に響きました…。レンタルが開始されて、田舎の女の子とか、もちろん東京でも、そのような衝撃的な出会いを感じてもらえたら嬉しいなと思います」と待ち望んでいるファンにコメントした。

また、「(本作が公開されているときに)色んな人が見て、『もっとこうだったらいいのに』『もっとああだったらいいのに』って、女の子が自分ごととして、この映画を語ってくれた。彼女の中にあるクリエイティブを刺激されてくれた。そういう風にみんなが幻想の映画を見ていることが、ロマンチックだなぁって思いました。きっと生きていて代わりのないほどに」と公開当時を振り返った。

あなたは、本作の後にどんな映画を夢みるだろうか?

(取材・文/nony)

>関連記事「ファンが選ぶ菅田将暉おすすめ映画、『溺れるナイフ』が1位を獲得!


映画『溺れるナイフ』
絶賛、販売レンタル中!

小松菜奈、菅田将暉
重岡大毅(ジャニーズWEST)、上白石萌音、志磨遼平(ドレスコーズ)
原作:ジョージ朝倉「溺れるナイフ」(講談社「別フレKC」刊)
主題歌:「コミック・ジェネレイション」ドレスコーズ(キングレコード)
脚本:井土紀州、山戸結希
音楽:坂本秀一
製作:「溺れるナイフ」製作委員会(ギャガ/カルチュア・エンタテインメント)
助成:文化芸術振興費補助金
企画協力・制作プロダクション:松竹撮影所
制作プロダクション:アークエンタテインメント
企画・製作幹事・配給:ギャガ

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アーティスト情報

ジョージ朝倉

生年月日1974年5月11日(44歳)
星座おうし座

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菅田将暉

生年月日1993年2月21日(25歳)
星座うお座
出生地大阪府大阪市

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