ミュージカルの名匠ビル・コンドンが語る、 実写版『美女と野獣』の難しさとは?「アニメーターたちに嫉妬することもあった」

ビル・コンドン監督

ビル・コンドン監督

聡明な美女ベルと、魔女によって呪いをかけられた野獣のロマンスを描いたディズニーの名作を、『ハリー・ポッター』シリーズで知られるエマ・ワトソンを主演に迎えて実写化した映画『美女と野獣』(4月21日より日本公開)。『マレフィセント』『シンデレラ』に続くディズニーの実写化作品として、世界中で大ヒットを飛ばしている本作だが、メガホンを取ったビル・コンドン監督は、「アニメーターたちに嫉妬することもあったんだよ(笑)」と明かす。果たして、その理由とは?

特に悩まされたのは、『ひとりぼっちの晩餐会』のシーン

一つの絵としてコントロールできるアニメーションと、実際に人が動き、CGとの調和も実現しなければならない実写では、当然ながら前者の方が圧倒的に自由度が高い。実際にコンドン監督は、本作における様々な演出に悩まされたという。「我々はアニメ版のアニメーターたちに嫉妬することもあったんだよ(笑)。なぜなら、彼らは自分たちが望むことを、望むままにできるからね。しかし我々は、現実味を帯びた状態で表現しなければならなかったんだ」

(C) 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

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コンドン監督が特に悩まされたのは、ベルが野獣からの晩餐の誘いを断ったのちに、ルミエールらによってもてなされる、あのシーンだった。「『ひとりぼっちの晩餐会』のシーンだ。アニメ版では、アニメーターたちは自分たちの想像通りに作り上げていったと思うんだけど、我々の場合はそれを実現するために、どうやって撮影するかを考える必要があったんだ。照明の当て方や、音楽のかけ方、そして家財になったキャラクターたちの入場と退場をどうするかといったこともね。あと、食事の順番も考えなくてはならなかったよ。アニメ版では、適切な順番になっていないんだ(笑)」

アニメ版ではピエロだったル・フウ。本作で与えられた変化とは?

本作では、ベルに結婚を迫るガストン(ルーク・エヴァンス)の子分であるル・フウの性格にも手が加えられている。コンドン監督は、ル・フウを演じたジョシュ・ギャッドによる要望が、そのきっかけだったと明かす。「ジョシュに、少しル・フウのキャラクターを変えてほしいと言われたんだ。彼には、ル・フウに何かしらの旅を経験してほしいという思いがあったんだよ。というのも、アニメ版のル・フウはサンドバッグ的なキャラクターでしかなかったからね」

確かに、アニメ版におけるル・フウは、ガストンに殴られ、蹴られ、投げ飛ばされることによって笑いを生む、ピエロ的なキャラクターでしかなかった。しかし、それを実写で表現しても、単純に痛々しく映ってしまうだけだ。これを踏まえたコンドン監督は、ル・フウに精神的な成長を与えることで、キャラクターとしての魅力を深めることを選択した。「劇中で彼は、良心に気付くことになるんだ。それがアニメ版と実写版の違いさ」

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ベルとガストン/(C) 2017 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

『アナと雪の女王』のオラフ役も務めた過去があるギャッド。コンドン監督によれば、彼は本作の撮影中にもコミカルな姿を見せ、共演者やスタッフを笑わせていたという。「劇中でジョシュが乗る馬がいるんだけど、ジョシュに会った直後に、その馬がジョシュを気に入らなかったみたいなんだ(笑)。ジョシュが乗ろうとすると反対方向に行こうとしたり、とにかく相性が悪くてね。本編を見ても分かると思うんだけど、ルークが颯爽と馬から降りるシーンでは、ジョシュが馬から落ちないように必死になっているよ(笑)」

「『美女と野獣』以上に自分が手がけたいと思えるディズニー作品は想像できない」

4月14日現在で、世界興収が約10億ドル(Box Office Mojo調べ)という凄まじい成功を収めている本作。この成功を踏まえたうえで、コンドン監督に他のディズニー作品を実写化することを期待している人も多いことだろう。しかし当人は、『美女と野獣』以外に実写化を手がけたいディズニー作品は存在しないと明かす。

「『美女と野獣』は私が最も繋がりを持っている作品なんだ。私は子供のころ、ディズニー少年として育ったわけではなく、ヒッチコック少年、あるいはホラー少年として育ったんだけれど、偶然にも『美女と野獣』は繋がりを持つことができる作品だったんだ。そういうわけで、『美女と野獣』以上に自分が手がけたいと思えるディズニー作品は想像できないんだ」

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コンドン監督が並々ならぬ想いを注いだ結果、クラシカルでありながらも今日に生きる人々に刺さる魅力を持ったストーリーや、名作曲家アラン・メンケンを軸とする音楽、ワトソンを中心とするキャスト陣の熱演、圧巻の美しさを誇る映像表現、煌びやかなプロダクションデザインなど、観客を引き込む多彩な魅力が調和した本作は、ぜひ劇場で楽しんでほしい。

(取材・文:岸豊)


映画『美女と野獣』
2017年4月21日(金) 全国ロードショー

監督:ビル・コンドン
出演:エマ・ワトソン、ダン・スティーヴンス、ルーク・エヴァンス
原題:Beauty and the Beast
全米公開:2017年3月17日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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