新作映画『ノー・エスケープ 自由への国境』を観るべき3つの理由――息もできない88分! シンプルだからこその興奮と感動

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『ノー・エスケープ 自由への国境』ってどんな映画?

メキシコとアメリカの間に広がる砂漠の国境地帯。愛する家族に会うため、アメリカへの不法入国を試みるモイセスら15人の移民は、乗っていた車のエンジントラブルで、徒歩による越境を余儀なくされる。有刺鉄線でできた国境をくぐり、荒れ果てた砂漠に歩み出る移民たち。そんな彼らに銃弾が襲いかかった! 摂氏50度という過酷な状況下、「逃げ場なし、水分なし、武器なし、通信手段なし」の極限状態で壮絶なサバイバルが幕を開ける。

観るべき理由:1――胃が痛くなる緊張感、息もできない88分!

「アメリカとメキシコの国境に壁を作る」とトランプ米大統領が宣言するなか、国境付近で繰り広げられる不法移民たちのサバイバルというタイムリーな題材を映画化した本作。ただし、移民たちへのリサーチから映画化まで約7年の歳月が費やされ、2015年に製作されており、実際に映画を見ると、長年にわたり両国間で議論されてきた問題の根深さ(例えば、退役軍人らが結成する自警団の存在)がシナリオに反映されていることがわかる。

何より、「アメリカを目指す不法移民」vs.「正体不明の襲撃者」の対決は、過酷すぎるシチュエーションも加わり、見ているだけで胃が痛くなる緊張感の連続。あらゆるスリルが凝縮された88分間は、息することも忘れて、一瞬で過ぎ去ってしまう! シンプルだからこそ、味わえる純粋な興奮と感動が、サービス過剰な現代のエンターテインメントに一石を投じる本作は、第89回アカデミー賞外国語映画賞のメキシコ代表に選出されている。

観るべき理由:2――『ゼロ・グラビティ』の原点? キュアロン親子の新たな挑戦

本作のメガホンをとるホナス・キュアロンは、父親であるアルフォンソ・キュアロン監督の『ゼロ・グラビティ』で共同脚本を手がけた期待の俊英。本作では監督に加えて、脚本、編集、製作を担当し、アルフォンソがプロデューサーとして支援する体制がとられた。宇宙と砂漠という一見まったく異なる舞台だが、しかし荒涼とした孤独な空間で繰り広げられるサバイバルという意味では大いに共通点がある。

また、『ゼロ・グラビティ』のスピンオフムービーとして、ホナスが製作しネット上で公開された短編「アニンガ:地球との交信」(現在は『ゼロ・グラビティ』のBlu-ray、DVDにも収録されている)は雪原を舞台にした感動のドラマであり、その高い演出手腕は十分に確認できるはず。『ノー・エスケープ 自由への国境』ではドライな視点を貫き、あえて「泣ける映画」にしていない点に、新世代らしい野心がうかがえ、好感を持てる。

観るべき理由:3――主演のガエル・ガルシア・ベルナル、感動スピーチも大反響

「多くの俳優たちは移民労働者です。僕たちは世界中を旅し、家庭を持ち、物語を作り、決して分断できない人生を築いてきました。メキシコ人としてラティーノとして、移民労働者として、一人の人間として僕は僕たちを分断しようとするあらゆる形の壁に反対します」

トランプ政権発足後、初めて開催された第89回アカデミー賞に、プレゼンターとして登壇したメキシコ出身の実力派俳優、ガエル・ガルシア・ベルナルの感動的なスピーチは、会場のみならず、世界中で大反響を巻き起こした。そんな彼が脚本の段階から、出演を熱望し、エグゼクティブ・プロデューサーにも名を連ねたのが『ノー・エスケープ 自由への国境』だ。その活躍ぶりで、メキシコ出身俳優の地位向上に貢献しているガエルが、本作では家族との再会を夢見て、過酷なサバイバルを強いられる主人公の姿をひたむきに演じた。苦闘の果て、彼が目にする“光”は、壁問題における一縷(いちる)の望みか? ぜひ、映画を体感し思いをめぐらせたい。

(文:内田涼)


映画『ノー・エスケープ 自由への国境』
公開中

監督:ホナス・キュアロン(『ゼロ・グラビティ』共同脚本)
プロデューサー:アルフォンソ・キュアロン(『ゼロ・グラビティ』監督)
脚本:ホナス・キュアロン、マテオ・ガルシア
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル(『バベル』)ジェフリー・ディーン・モーガン(「ウォーキング・デッド」シリーズ)
原題:DESIERTO

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アーティスト情報

アルフォンソ・キュアロン

生年月日1961年11月28日(56歳)
星座いて座
出生地メキシコ・メキシコシティ

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ガエル・ガルシア・ベルナル

生年月日1978年11月30日(39歳)
星座いて座
出生地メキシコ・ハリスコ・グアダラハラ

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ジェフリー・ディーン・モーガン

生年月日1966年4月22日(52歳)
星座おうし座
出生地米・ワシントン・シアトル

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