イケメン俳優ジェームズ・マカヴォイが9人を演じ分けるために必要だったことは?―映画『スプリット』インタビュー

ジェームズ・マカヴォイ

ジェームズ・マカヴォイ

端正な顔立ちと確かな演技力によって、ハリウッドで着実にキャリアを積み上げてきたジェームズ・マカヴォイが、『シックス・センス』などで知られるM・ナイト・シャマラン監督とタッグを組んだスリラー映画『スプリット』が5月12日に日本公開を迎える。劇中でマカヴォイが演じたのは、なんと24人の人格を持つ多重人格者(劇中に登場するのは9人)だ。果たして、ウェールズ出身のイケメン俳優は、いかにして9人ものキャラクターを演じ分けることができたのか?去る4月某日、PRのために来日したマカヴォイに、役作りに必要だったことや、俳優としての哲学について話を聞いた。

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物語は、パーティーからの帰り道に誘拐された3人の少女と、1人の誘拐犯を軸に展開する。地下室で目を覚まし、誘拐犯に怯える少女たちだったが、驚くべきことに、誘拐犯は23人の人格を持つ解離性同一性障害の患者だった。幼児から女性に至るまで、予測不能に入れ替わる人格と対話しながら脱出を図る少女たちだったが、24人目として現れた人格によって、彼女たちはさらなる恐怖を味わわされることになる...。

(C)2017 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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9つの人格の差別化という至難の業に挑んだマカヴォイは、解離性同一性障害についてのリサーチに加え、キャラクターそれぞれの人柄を綴った“伝記”を書くことが重要だったと振り返る。「いつも行っている作業ではあるんだけれど、僕にとって最も重要なのは、演じるキャラクターの背景、つまり生い立ちや過去などについて記した伝記を書くことなんだ。今回は1人分だけでなく、9人分も書かなければならなかったのが、今までの作品との違いだったね」

本作で登場する人格たちは、軸となる人格“ケヴィン”の悲しい過去が理由で発生したものである。親から生まれたわけではない特殊な存在を構築するために、マカヴォイはそれぞれの人格に「属性」を見出したと明かす。「僕たちが今こうしてこの場にいるのは、両親がセックスをした結果だよね? ケヴィンもそうやって生まれた。でも、ケヴィン以外の人格は違うんだ。つまり、ケヴィンに内在する属性が独特な形で顕著化した結果、新しい人格になったというわけさ。僕はその誕生を起こさせるうえで、どういった属性があるかについて考えたんだ」

(C)2017 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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一例としてマカヴォイは、少女たちを震え上がらせるパトリシア、そして無邪気な心を持つ幼児・ヘドウィグの中に、それぞれ「信仰」と「無垢」を見出した。「パトリシアは信仰や信念という属性から出来上がっている人物で、僕は彼女を修道女として見ていたんだ。彼女には屈折した部分もあるけどね(笑)。一方のヘドウィグは、肉体的に虐待を受けてきたという点から、純真さ・無垢さが属性になったよ。この映画では、そういった属性をキャラクターごとに辿っていったんだ」

本作への出演は、コミコンでのシャマラン監督との偶然の出会いがきっかけだったとのこと。「彼はどうだったかわからないけれど、僕はとても酔っぱらっていたんだ(笑)。『X-MEN』を売り込むためのコミコンだったから、頭も剃っていて、彼からは『君のそんな姿は見たことないよ!』と言われたね(笑)」と苦笑交じりに振り返るマカヴォイは、シャマラン監督の作家性に賛辞を惜しまない。「僕の頭を見て何か思ったのか、数週間後にエージェントに連絡が入って、脚本を読むことになったんだ。とにかく、ページをめくるごとに衝撃を受けて、驚かされ、興奮したよ。自分がこの人格たちを演じることができるのかもしれない...という意味で、すごくワクワクしたね」

(C)2017 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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暗殺者にふんした『ウォンテッド』、天才ミュータントを演じてきた『X-MEN』シリーズ、そして悪徳警官を熱演した『フィルス』...。多彩なキャリアを積み上げてきたマカヴォイだが、俳優としての哲学を聞くと、本作こそが、彼が求める作品だったことがうかがえた。「例えば、楽しんで見てもらえるものというよりも、あまり関心を持てないような役柄だったり、最初は嫌だなと思わせるけれど、だんだんと引き付けて目が離せなくなるような...。そんな鑑賞体験をもたらす役に惹かれるよ」

ハリウッドのトップスターとなって久しいマカヴォイだが、その物腰はとても柔らかく、親しみが持てるものだ。リサーチなどの努力に加えて、たおやかな人柄が根底にあるからこそ、彼は等身大なものから特殊なものに至るまで、あらゆる役柄を柔軟かつ魅力的な演技で務め上げることができるのだろう。果たして彼は、今後どんな活躍を重ねていくのだろうか?イケメン俳優の役者道は、この先もまだまだ続く。

(取材・文:岸豊)


映画『スプリット』
2017年5月12日(金)全国公開

監督・製作・脚本:M・ナイト・シャマラン
製作:ジェイソン・ブラムほか
出演:ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ベティ・バックリー、ジェシカ・スーラ、ヘイリー・ルー・リチャードソンほか
2017年/アメリカ/英語/117分/原題:SPLIT/字幕翻訳:風間綾平
配給:東宝東和

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