『三度目の殺人』共演の福山雅治・役所広司・広瀬すずが第74回ベネチア国際映画祭に上陸!

(左から)是枝裕和監督、広瀬すず、福山雅治、役所広司、ドヴィコ・エイナウディ

(左から)是枝裕和監督、広瀬すず、福山雅治、役所広司、ドヴィコ・エイナウディ

9月9日より全国公開となる是枝裕和監督の最新作『三度目の殺人』が、第74回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品されたことを受け、キャストの福山雅治、役所広司、広瀬すず、そして是枝監督が現地入り。更に本作の音楽を手掛けたルドヴィコ・エイナウディも加わり、記者会見、フォトコール、レッドカーペット、囲み取材に参加した。その模様をレポートする。

公式記者会見 

―是枝監督に質問です。展開がスローな作品ですが、全編を通してスリル/サスペンスを持続するための秘訣はなんだったのでしょうか?

是枝監督:まずはお集まりいただきありがとうございます。どの映画もだいたいスローといわれるのですが、今回も自分のペースで作っているので、特になにかをゆっくりしたというつもりはないんですね。ガラス一枚隔てて向き合った男ふたりが言葉を交わさない時間、何かが止まって見えるその瞬間にいろんなものが動いて見える、実際は動いてないのに心の奥で何かが動いて見えるというのを丁寧に丁寧にやろうと思ったので、そういうことがもしかすると影響しているのかもしれません。ただ、止まって見える中で実は何かが動いて見える、というのをやりたいと思いました。

―素晴らしい映画でした。監督に質問です。エイナウディ氏を音楽に起用しようとしたきっかけは?

是枝監督:エイナウディさんとは今回とてもいいコラボレーションができたと思っていますけれども、きっかけは海外の映画祭を回っていた時に、たまたま飛行機に乗って聞いた曲が彼の曲で、音を聞いていたら、すごく風景が浮かんだんです。特に水、火、雪とか。その時は名前が読めなかったのですが、メモして日本に戻ってアルバムを買って、今回は脚本を書きながらずっと彼の曲を聞いていました。なのでサウンドトラックをお願いしたというよりかは、本の段階からこの音楽は絡まっています。すごく映画の中から生まれているような気がします。

―エイナウディさんの側からの話も聞かせてもらえますか?是枝監督と初めてあった時にはどのようにアプローチを受けたのでしょうか?どんな話をしましたか?

エイナウディ:コンサートのために東京を訪れた時に、是枝組が撮影しているセットに招待されました。セットとは別の部屋で、編集中の映像を見せてもらったのが、この映画との出会いでした。もちろん台本は読んでいたし、是枝監督の作品も見てはいたのですが、この謎めいた物語に心惹かれ、直ぐに夢中になりました。黒澤監督の名作『羅生門』にも通じると思うのですが、様々な視点から語られていて何が本当なのか分からない。そこが面白いと思ったので、「最後の最後まで顕れない真実」というスピリット(テーマ)で作曲しました。

―監督への質問です。今回の作品は、近年の是枝作品とは全く違った作風になっていると思います。どうしてジャンルムービーを撮ろうと思ったのでしょうか?どうしてスリラーを撮ったのでしょうか?

是枝監督:観ていただいた方が感じたほど新しいことをやった意識ではないような気がするのですが、ただこの10年ぐらいホームドラマを続けて人間のデッサンを鉛筆で書いていたようなそういう意識なのです。今回はやや「家」から「社会」へ視野を広げて、油絵で描くようなタッチを変えた作画をしているのですが、描く本人は変わらないので、変わっているところと変わってないところがあると思います。

―(直前の返答を受けて)でも、どうしてスリラーだったのでしょうか?

是枝監督:スリラーをやろうと思って最初スタートしたわけではないですが、社会に目を向けた時に人が人を裁くことについて考えてみたいと思ったことがスタートとしてありました。日頃お付き合いのある弁護士さんと話をする中で、「法廷が真実を追求するところではない、利害の追及をするところだ」という一言を聞いたのが今回のモチーフ、きっかけになりました。脚本作りも実際の弁護士たちに入っていただいて、一緒に作っていったプロセスがあるので、そういう意味では自分の記憶、家族をベースにして書いていたストーリーの作り方とは違う作り方をしました。そしてそれはとても刺激的でした。

『そして父になる』はベネチアでも話題になりました。日本ではロックスターとしても有名な福山さんですが、今回も是枝監督から起用され、是枝作品の常連になりつつあると思います。今回は社会の襞をかきわけ、事件を捜査する役ですが、どういった心構えで臨んだのでしょうか?

福山:僕自身、是枝監督、是枝作品のファンなのです。僕も音楽をやっているときはシンガーソングライターというスタイル、作詞、作曲、演奏、歌をやらせて頂いていますが、監督の映画作りの現場はすごく、手作り感があり、原案、脚本、監督、編集をやられていて、全ての工程を俳優として参加しながら、その現場を一番近くで見られるというのは、僕にとってこの上ない贅沢な経験です。贅沢な経験であると同時に、すごく刺激を受ける現場です。是枝監督という一人の人間を通して、そして映画製作を通して監督がどういう目線でこの人間社会を、人間を見つめているのかというのを知る機会を与えていただいています。私にとって自分の活動、表現をフィードバックできる現場で、参加させていただくことにいつも感謝しています。

―是枝作品ではよく「親子の関係性」にも言及されます。広瀬さん、役所さんはどういった心構えでこの作品に臨んだのでしょうか?  

広瀬:私は10代だからこそ、少女だからこそ見える、大人の方の言葉、行動、母への思いなど、色んなものを客観的に見ていました。お母さんが話す言葉を一字一句聞き逃さないように、ずっと話を聞いて、徐々にニュアンスが変わっていったり、どこか自分をかばうように話す姿を見て、また感情が生まれたりしていました。

役所:私は監督からは「だれか嫌いな人を二~三人殺す練習をしたらどうですか…」、、なんて言われたりはしませんでしたけど(笑)、監督から頂いた脚本と撮影の最終日まで脚本が変更になって、監督がどの方向に私たち俳優を導いてくれるのかというのが手に取るようにわかりましたので、それをひとつの手掛かりに、なんとかやりきることができました。

―劇中のセリフで、弁護士の父親である裁判官が、以下のように言うのが興味深かったです。「30年前は犯罪の原因を社会に求める風潮があった。当時もし有罪判決を下していれば今回の事件は起こらなかったかもしれない」。このセリフは、日本の社会が変化して来ているという事実を表現しているのでしょうか?

是枝監督:そのセリフは僕が書いているのですが、父親が言っている通り、犯罪は社会から生まれるという考え方が、日本にも定着とは言いませんが、建前としてでも通用していた時代があったのですが、いま“自己責任”という言葉が日本ではいろんなところで使われていようになっていて、その犯罪が生まれた社会的な、時代的な、経済的な背景を武器にして個人の責任にしていくという流れは、裁判長が口にしたような形で今の日本を覆っているのではないか、と思い、そういうものを背景として描きたいと思いました。

―是枝監督からの「法廷とは真実を暴く場所ではない、と弁護士達が言っていた」という話に関連して、作中の「誰を裁くかを決めるのかは誰か?」というセリフがキーになると感じました。これに関してコメントをいただけますか?

是枝監督:それは広瀬すずが演じた咲江という役が、「誰を裁くかは誰が決めるんですか?」というセリフを主人公にぶつけるという形で言葉にしました。今回はずっとこの映画を撮りながら、私自身が、人は果たして人を裁けるのか?法廷はだれかを裁く場所なのだろうか、それとも誰かを救う場所なのだろうか?ということを考えていて。それは多分、答えがあるわけではない。答えのない答えを作品を通して問うということが、僕は映画にとって一番誠実な監督の態度だろうと思い、その問いを問い続けました。彼女の問いにも答えはないのでしょうけども、その問いを主人公にぶつけるという選択肢を選びました。

―昨夜作品を拝見して、最後の最後まで途切れない緊張感に感銘を受けました。一つ分からなかったのは「盲人が二人で象を触る」という挿話です。一人は耳を触っているがもう一人は別の体の部分を、というこの挿話の意図は、真実は二つある、ということなのでしょうか?
  
是枝監督:たぶん一つなんでしょうけども、私たちのような常人には、確かなものとしては手にできないんじゃないですかね。通常の物語だと、謎があってだんだん解けていって、犯人に辿りつくというのが王道だと思うのですが、今回は逆を行っているので。シンプルな分かりやすい事件だと思っていたのが、複雑になって分からなくなっていく逆のルートをたどるつくりになっていますが、それは決してお客さんを煙に巻こうとしているのではなく、取材を通して出会った弁護士たちが、判決の後にある釈然としない感情が残る「おそらくそうであろうと思いながらも、でももしかしたら...」と思いながらも次の裁判に行かなくてはならない、そんな弁護士が感じるもやもやとした感じを、今回は主人公が感じ、お客さんも同じく感じていただくという、チャレンジングかもしれませんが、そんな着地点を目指して作りました。そして、それを楽しんでいただけたようで嬉しく思います。

―ドストエフスキーに影響を受けましたか?

是枝監督:『罪と罰』は、学生時代に読んだだけなので、今回の映画を作るにあたって読み直したわけではないです。ただ頭の隅にあったかもしれませんね。影響を与えた作品のなかの一つだと思います。

レッドカーペットの様子

レッドカーペットの様子

囲み取材

―公式上映を終えた感想は?

是枝監督:まずは一緒に映画を作ったスタッフ、キャストとこの場に来られて、上映を一緒に経験できたことをすごく嬉しく思っています。すごくチャレンジをしている映画なので、ホームドラマを撮っている時以上に、どういう風に届けられるのか非常に気になって見ていましたし、自分自身緊張していました。今、緊張が解き放たれて脱力しているところです(笑)。いい上映だったと思います。

福山:今日の会見の時も、公式上映もそうですが、監督への期待感というものがひときわ大きく感じました。監督の作品を心待ちにしているファンの方、メディアの方のたくさんいらっしゃるんだろうな、ということを感じました。その期待値が高ければ高いほど、監督のチャレンジが監督にとってのドキドキにつながっていったのだろうなと思って。今日上映が終わった瞬間、思っていたよりも早い段階から拍手が巻き起こって、すごく、良い届き方をしたな、と思いました。その時、監督がちょうど隣だったんですが、監督が僕の膝に手を置いてくださったんです。ほっとされたのかな、と思って僕もその瞬間ほっとしまして、うれしかったですね。まだ日本公開はしてないんですけど、日本公開に向けたすごく良いスタートを切れたのではないかと思っております。おめでとうございます。

役所:すばらしい上映会だったと思います。大きなアクションもなく、本当に静かな映画ですけど、僕たちも客席からお客さんたちの背中を見ると、本当に集中してこの映画を見てくださっていることを感じました。監督には終わった後は「コレいい映画ですね、誰の映画ですか」と(笑)、言いました。監督もおっしゃってましたが、僕たちも連れてきてもらって、自分たちが作ったものを、世界中のみんなが喜んでいる姿を見ることができるんですけど、来れなかったスタッフ、キャストの人たちには、素晴らしい上映会で(みんなが)楽しんでくださったことを伝えたいなと思います。

広瀬:上映時間の空間は、本当に言葉で表すことができないくらい緊張感にあふれていて、この時間を味わわせてくれたこと、ステージに立たせていただいたこと、一緒に参加させていただくことができて、本当に心から嬉しく思っています。

―館内のお客様の反応はいかがでしたか?

是枝監督:(お客さんの背中が)身動きをされないので、集中して観てくれているのがわかりました。なので、こっちもずっと緊張してました。笑いが起きる映画ではないので、時々吉田さんの所と橋爪さんのシーンでフッと緩むときはあるんですけど、ほとんど2時間緊張しっぱなしなので、狙いではあるんですけど、心地よい疲れを、この謎に向かっていく物語を、考えることを楽しんでくれたような気がします。

福山:僕はその海外でのこういう上映会を経験するのはまだ全然少ないんですけど、割と作品に集中してみることが出来たなと思いました。一瞬海外で上映しているんだってことを忘れてしまったりとか、今日ベネチアにきてるなっていうのを忘れてしまうくらい集中して作品に惹きこまれていったということは、監督が新しいトライ、チャレンジをした作品の持つ力だと思いました。もちろん緊張感はあるんですけど、どういう反応かなっていうのを忘れて、いち観客としてひきこまれてこのベネチアで『三度目の殺人』という映画を観るという気持ちになれたのは、凄く力のある作品なんじゃないかなと思いました。

役所:笑いとか驚きとかないんですけど、自分も映画と同じように呼吸しているのであれなんですけど、静かな中でも息を詰めてる瞬間とか、深く息をされているのが、あれだけの会場であれだけの人間が同じ呼吸をすると凄いんだなと思いました。張り詰めた中でも映画がドラマチックにぐらっと動く瞬間というのは、お客さんのほうから感じられた気がします。

広瀬:ほんとどこか緩む感じがあったりだとか、だけど言葉が違うとしても、人が見てる目だったりとか、三隅さんの目だったりとか、重盛さんの言葉とか目で、色んなものを超えて伝わるものが本当にあったんだなと思いましたし、終わった後の監督の表情を見て、私もちょっと気が緩む感じになりました。

是枝監督:今日1日ずっと取材を受けて、公式上映で一番忙しい1日だったんですけど、ほとんど正直22年前の記憶がないものですから、初めてに近い経験をここでしていて、あまり好きな言葉じゃないですけど、僕を発見してくれた映画祭ですし、ここでのデビュー作での経験がなかったら、多分今こんな風に映画を撮れていないと思うので、少し22年分とは言わないまでも、成長した姿をまたここで見せることが出来たかなとちょっと思っています。

―カンヌ、ベルリンと並び世界三大映画祭といわれるこのベネチア映画祭に参加されたご感想を改めて教えてください。

福山:大変光栄な瞬間に立ちあわせて頂いたなと思っていて、やっぱり監督のチャレンジですよね、今回の映画の。映画祭ってこともそうなんですけど。監督のチャレンジを側で見させて頂いていて、監督の緊張感、そして映画が終わった後の安堵というか、深い呼吸がやっと出来た感じというか。それをこの国際的な映画祭で体験させて頂けたということが、久しぶりでもう4年ぶりですけど、凄く嬉しかったですね。

役所:僕たちがお客さんと一緒に観てるから、ああやって拍手してくれているのかもしれないですけども、なんでしょうね…嬉しいですよね。普段お客さんと見る事はこういう機会でしかないです。こういう映画祭に来て、お客さんと見て、お客さんが拍手してくれたり「よかったよ」って言ってくれるっていうのは、こういうところしかないので。今回も温かく拍手を送って下さったので、また頑張って映画作りに参加したいなって勇気をいつももらいますね。普通、一般上映であのくらいみんなキャストとか監督いなくても、あのくらい拍手して終わる劇場ないかなって(笑)。悪役が出てくると、あんぱん投げつけるようなお客がいると、映画館もなんだかものすごい盛り上がりそうな気がしますけどね。

広瀬:前回3年、2年前くらいに監督とカンヌに行かせて頂いた時とは、違う色だったり音だったりに触れることができて、本当にふくさんがおっしゃったように、この生のリアクションを本当にそのまま伝えてもらったりとか、それがすごく喜びになったりエネルギーになるので、また頑張ろう!って思える力になりますし。こういうところでしか感じれないものは凄くたくさんあるので、その時間を今回は楽しもうと思いました。

―海外取材を沢山受けられているかと思いますが、今までの是枝監督作と違う風に捉えられている感じはありますか?

是枝監督:そうなんですよね。多分、僕日本でとらえられている以上にこっちだと家族の作家なので、大きくモチーフを、作風を変えたのはなぜかという事をほとんどが最初の質問で聞かれるんですけど。自分にとってそんなに、もちろんホームドラマとは違う社会的なものへってことで少し視野を広げて作っているつもりなんですけど、作ってる人間は変わらないので、見えているほどには変わってる意識は、実はないんですけど、継続して見てくれているっていうことの証なので、ありがたいことなんですけど、前の作品、前の前の作品との比較の中で、この作品をどういう風に、僕の新作として位置づけようとしているのかっていう戸惑いも含めて、悩んでいるみたいで面白かったですけどね。いい意味で裏切れてよかったと思います。

―今まで描いてきた家族よりに比べて、社会派というか社会のダークな面を描いていますが、何かたまっていたものが今炸裂したのでしょうか(笑)?

是枝監督:そうですね。この間に人間不信になる出来事が自分にあったわけではないんですけど、今回は本当に現役の弁護士さんと一緒に脚本を作っているところもあるので、かなりシビアに、彼らの仕事と彼らが向き合うかぎかっこ付きの真実っていうものを、どういう風に僕自身もこの物語を通して向き合うかっていう、決して真実なんて分からないんだ、分からなくていいんだっていう映画だとは思っていないので、そこはそんなにネガティブには自分ではとらえていないんですけど。

―屈指の観光地ベネチアですが、滞在されていかがですか?

広瀬:本当に、船での移動の時間なんかもすごい短いわけではないので、本当に海の上から街をみたりとか建物をみたりとかすごく癒しになってます。

―是枝監督はカンヌの常連ですが、今回はなぜベネチア?ベネチアへの想い、選択の理由を教えてください。

是枝監督:そうですね、いろんな理由があるんですけど、今のディレクターのアルベルトさんとはもう17,8年前からのお付き合いでして、常に僕の作品を評価してくださる方なのですが、彼はしばらくベネチアを離れていたんですけれども、戻られてから、やっぱりどっかのタイミングでアルベルトに僕の作品を…という想いはありました。ただ、どうしても作品を売っていくうえでカンヌを優先するということが、エージェントの考え方としてもありますし、そちらを優先する方向でここ10年ぐらい動いていたのですが、今回はたまたま完成時期も6月を超えていましたし、自分としては選んでいただけるのであればベネチアでというのは思っていました。

『羅生門』との共通点は?

是枝監督:羅生門だからベネチアってことは全然ないんですけど、ただこの作品の構想をしているときに、ひとつのモデルとして、サスペンスとはいえ謎が解かれて真実にたどり着く映画ではなく、まったく真逆の道をたどる映画ですから、そういう意味では羅生門が一番参考にもなりました。

―受賞の手ごたえは?

是枝監督:簡単に届く映画ではないと思うので、自分でもよくこの題材でこういうチャレンジをこのキャスト・スタッフでやったなという、そう意味では「頑張ったなあ」という感じですね。これを観た方がどう感じてくださっているかは感触を探っているところです。「家族の作家」だと思って観に来てもらった人たちにとっては、いい意味でも悪い意味でも戸惑いはあるでしょうし、サスペンスだと見に来た人たちにとってもいい意味でも悪い意味でも「え!?」という感じがあると思います。でも両方とも狙ってやっていることだから、その辺はかなり天邪鬼なんですけど…そう意味で言うと、狙ったところには届いている、とは思っています。それがどう評価に関わるかについてはわからない。

―授賞式は楽しみですか?

是枝監督:そうですね、それはもちろん。それについては答えないようにする癖がついてるので答えないですけど(笑)、それはもちろん評価に繋がったほうが作品にとってはうれしいことだし、スタッフもキャストも喜んでくれることだと思うので。

―役所さん演じる三隅は、何度も殺人を犯しているとは思えない、静謐で優しさを感じさせる役でした。役所さん自身はどのようにお考えですか?

役所:ぼくは誰も殺してないです。僕も同じようにですね、今日二度目なんですけど、やっぱり映画って1回じゃ見切れないんですよね。凄い新しい発見があったり、あっこういう映画だった!全然感じが違った見方ができましたし、監督は死刑制度に関して大きな声で反対する映画にはしないとおっしゃってましたけど、やっぱり考えさせられる映画でしたね。人を裁くってどんなことかって事は、2回目は非常にまた違った形で映画を楽しませて頂きました。

―福山さん、カンヌでは涙を流されていましたが、今日は笑顔でしたね?

福山:何で泣かないんだ? ということが言いたいんですか(笑)?ベネチア映画祭という国際的な舞台で、1人の観客として楽しめたんですよね。前回の(カンヌの)経験からまた欲張りな楽しみ方をしようとしたのかも知れません。めったにこういう経験はできないので。制作過程を知っている人間が、この場でこの映画を一観客で楽しむことは、凄く贅沢な事なのかもと思って、そういう風な楽しみ方をしていたのかもしれません。

―監督のチャレンジや喜びといったお言葉を仰っていて、監督へのリスペクトがありますが、ご自身にとっては今回はどんなチャレンジでしたか?

福山:ま、でも監督ですけどね。監督がチャレンジするということが、必然的に僕も、出ているキャストも多大なるチャレンジをして、スタッフもチャレンジしてましたよね。撮影監督の瀧本さんも新しい提案をされていましたし、撮りたいシネスコというスタイルで撮った、その撮り方に対して照明や美術や全てが、監督がチャレンジするということがその映画に参加している全員が挑戦するということになるんだと思うんですよね。監督がチャレンジしてるんだけど、俺同じことやってるよってことは多分ないと思うんです。その勇気に導かれて、自分も何か新しいものを得ることが出来ているのかもしれないです。

―ご自身の安堵感について

福山:僕も安堵しかけたときに監督の手が僕の膝に来て、「監督が安堵されている!」と。でも、それが一番嬉しいことなんですよね。さっき移動の車で広瀬さんと話してたんですけど、「監督はやっぱり凄く可愛いよね」ということで、監督のあんな姿初めて見たと嬉しそうなんですよ、すずちゃんも。すいません、なんか恥ずかしいですよね(笑)。

フォトコール

フォトコール


映画『三度目の殺人』
2017年9月9日(土)全国ロードショー

監督:是枝裕和
出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功
配給:東宝・ギャガ

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是枝裕和

生年月日1962年6月6日(56歳)
星座ふたご座
出生地東京都

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