役者魂を試される廣木隆一監督の現場は“ウェルカム力”がすごい! 映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』林遣都×門脇麦インタビュー

門脇麦と林遣都

門脇麦と林遣都

世界累計900万部を突破した東野圭吾による「ナミヤ雑貨店の奇蹟」が実写化。どんな相談にも答えてくれるというナミヤ雑貨店に投函される“手紙”を通じて複数のエピソードが絡み合う群像劇だが、林遣都演じる“魚屋ミュージシャン”こと松岡克郎と、門脇麦演じる人気アーティストのセリに関しては“音楽”という共通項が彼らを繋いでいる。

大学を中退し、ミュージシャンを目指す青年・克郎だったが、帰郷した実家で父が過労で倒れていたことを知る。夢を追うべきか家業を継ぐべきか悩んでいる時、ナミヤ雑貨店へ手紙を投函したところから彼の物語は始まる。

林:東京で苦しんで地元に帰ってくる若者っていうのは、時代は違えど自分に通ずる思いもありました。克郎の音楽に対する思いと、実家のことでどこか諦めかけているという、どこか吹っ切れている部分と吹っ切れていない部分だったり、丸光園(児童養護施設)で子どもたちと接して、彼がどういう思いになるのかとか、自分で考えたままやった感じですね。もがいている様や家族に対しての接し方、ナミヤさんからの手紙を読んでいるときの気持ちや心の揺れ動きは、しっかり内面で表現しないとなという意識でした。

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

克郎が登場するのは、山田涼介演じる矢口敦也たちが居る時代から32年前の1980年。外見における人物像も早々に決まっていた。

林:廣木監督は全ての役のイメージがハッキリ見えているんです。自分のイメージも持っていきますが、すでにある程度決まっていましたから。そのなかで「遣都どう思う?」と聞かれることもありますけど、まずジョン・レノンの写真を最初に出されました。

一方、門脇演じるセリは現代の人気アーティストとなる女性。幼少期に丸光園で克郎と出会い、その時に彼の演奏を一度聞いただけで曲(後の「REBORN」)を完コピしてしまうような才能の持ち主でもある。

門脇:35歳のカリスマシンガソングライターという役どころで…衣装合わせの時、白いワンピースを来て廣木監督が提案したピンクのメッシュを入れた時、なんとなく役が見えた感じがありました。歌の練習はしていましたし、ライヴということでセリもパフォーマンスをしている時間だから、Wパフォーマンスしているような感覚もありました。

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

セリという役を演じながら、劇中で観客に対してさらにアーティストとしての側面を見せることは言うほど簡単なことではないだろう。

門脇:色んなアーティストさんのライヴ映像を見て参考にしました。ただ立って歌うのではなく、セリとして魅せる歌い方というのは普段(の芝居)と比べると「演技しちゃった」みたいな感覚はありますよね(笑)。廣木監督からもよく「芝居をするな」と言われている身からすると、ちょっと恥ずかしい感覚でしたけど…自然に出てきたことが表情になったりすると思うんですが、意識的にそこよりジャンプしたほうがいいなと思ったので、結構やった気がします。アーティストはパフォーマーなんだなと思いました。

廣木組の現場を経験したことがある二人だからこその心構えもあったが、それでも役者魂を試される場面も多々あったという。

門脇:廣木監督は相変わらず無茶振りが凄かったですね(笑)。劇中、セリが海岸で踊っているPVのシーンがあるんですけど、あれも前日に「踊ってみて」って言われたり…ライヴのシーンでは「どこでもいいから一筋涙を流してください」って。

林:すごいなぁ…。

門脇:今回はライヴシーンで一日、(山下)リオちゃんとのシーンで一日と撮影日数が少なかったんです。その中でセリとしての存在感をしっかり出さないといけなかったし、でも出過ぎちゃダメ…なさじ加減も難しくて。時間が少ないからこその集中力の使い方も、他の方とは違っていたと思います。廣木監督とは何度もご一緒しているということもありますが、撮影一日目でも一瞬にして現場に取り込んでくれる強さがあるんです。廣木組のみなさんはウェルカム力が強くて、いつも助けられるんですが、今回は特に助けられた感じはありました。

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

2012年から克郎がいる1980年への返信。その内容は…/(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

門脇が廣木監督に涙のオーダーを受けたというライヴのシーンでは、自然と彼女の頬を一筋の涙が伝っていく様に、観客はセリに対してグッと感情移入することができる。

門脇:1回目で涙が出たのがあのタイミングだったんです。歌のテイクは何度かやりましたけど、何回目かでも(涙が出たのは)同じタイミングになっちゃいましたけど…。歌っているシーンは結構丸々使っていただいているんですが、「最後の方で泣くから使わざるを得なかった」って後から廣木監督に言われました(笑)。

林:僕がもしも麦ちゃんみたいに踊りを振られるようなことがあれば絶対予想できないし、びっくりしたと思うんです。でも経験上「生歌・生音で行くぞ」と廣木監督が言ってくるだろうとある程度予想して役作りをしていかないとダメなだとは思っていました。音楽の監督からは「(収録したものを)演技に当てる」と聞いていましたが、絶対に廣木監督はそうじゃないだろうなと思っていたので…。案の定現場では、ハーモニカのシーンは「頭から最後まで吹いて。生音で撮るから」と言われましたから。

門脇:録音の深田さんがすごく嬉しそうに「麦ちゃん、遣都は生だったよ」って言ってましたね(笑)

本作では劇中だけにとどまらず、エンドロールでも克郎が演奏するシーンが挿入されている。それがストリートライヴの一幕だ。

林:あれは「REBORN」を気持ちよく歌ってます(笑)。僕はギターも歌も素人なので、割と早いうちに「最後のシーンどうしたら良いでしょうか?」と廣木監督に相談したら「『REBORN』を歌え」と言われまして。バックには(エンディングだから)本当の「REBORN」(山下達郎が手がけた本作の主題歌)がかかっていると思うから、って。だから気にせずに気持ちよく歌っています。

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

シーンでは共演していない二人だからこそ、完成した作品に対しての想いも全く違ったものとなった。

門脇:幼少期のセリと克郎のシーンだったり、他のパートの様子がわからなかったので、繋がった感はありました。完全にお客さん目線で作品を純粋に楽しめましたし、あの火事のシーンはちゃんと燃やしているんですか?

林:結構燃やしています。

門脇:本当に? あんなに燃やしていると思っていなかったので…すごく胸が苦しくなりました。私は、役柄として克郎を自分の拠り所にしていたので、全体を客観的に観ることはできなかったんですが、たくさんの人達が出てきていろんなドラマが展開しているのに、それぞれできちんと感情移入も出来て最後回収されてぐっと集まるので。廣木監督はすごいなと思いました。

林:映画の冒頭、商店街の明かりがついて3人(山田涼介、村上虹郎、寛 一 郎)が迷い込んでいくところからすぐに「廣木さんってなんでこんなに素敵な絵を撮るんだろう」って。とにかく全体を通して、出て来る人たちも素敵ですし、ストーリーも感情移入できて、最後までずっと観ている側も気持ちが繋がっていられる感覚もそうですし。最後の西田さん演じる浪矢の手紙で「人生そのものが素晴らしくて、より素晴らしくするために強く生きていかなきゃいけない」ということ教えてもらった気がしています。


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
2017年9月23日(土) 全国公開

原作:東野圭吾 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川文庫 刊)
出演:山田涼介、村上虹郎、寛 一 郎、成海璃子、門脇麦、林遣都、萩原聖人、尾野真千子、西田敏行
監督:廣木隆一
脚本:斉藤ひろし
配給:KADOKAWA/松竹 (共同配給)

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