【ロングインタビュー】いまおかしんじ監督と主演の森岡龍が『ろんぐ・ぐっどばい ~探偵 古井栗之助~』を語り尽くす

いまおかしんじ監督と森岡龍

いまおかしんじ監督と森岡龍

レイモンド・チャンドラーの名作ハードボイルド小説『ロング・グッドバイ(『長いお別れ』)』を鬼才いまおかしんじが映画化した『ろんぐ・ぐっどばい~探偵 古井栗之助~』。今年5月に公開され、熟練監督の遊びの効いた作風が映画ファンを喜ばせました。10月4日のDVDリリースを記念して、いまおか監督と主演の森岡龍を直撃。おふたりの素敵すぎる人柄と、貴重な製作秘話をお届けします。

イメージはキアヌ・リーヴス!?

―まず、企画のはじまりからお聞かせください。

監督:探偵ものをやりたいなと思ったんです。今ある探偵もののベースは、すべてチャンドラーにあるなんてよく言われるじゃないですか。松田優作さんのドラマ『探偵物語』が好きでよく観ていたんですけど、あれもチャンドラーを基に作られている。じゃあ大元のチャンドラーをやってみようと。

―それでチャンドラーの『ロング・グッドバイ』なんですね。タイトルがひらがなになって、主人公の私立探偵フィリップ・マーロウが古井栗之助に。遊びが効いています。

監督:ただのもじりだけどね(笑)。探偵ものの主人公って大体がアウトローじゃないですか。自然とそっち寄りのキャラクターになりました。ひねくれていて、ちょっと愛嬌があって、面倒くさいけど憎めないヤツみたいな。

―そんな栗之助を森岡龍さんに依頼したのは?

監督:たまたま、その前に会っていたんですよ。山下敦弘さんの『超能力研究部の3人』っていう映画で僕が脚本を書いていて。現場に行ったら、森岡くんがいたんです。僕の中では森岡くんって俳優よりも自主映画の監督のイメージだったから、気軽に声をかけて。山の中の撮影だったんだけど、煙草がなくてね。初対面だけど、もらおうと(笑)。そういうのがあって、ちょうど候補に森岡くんの名前も挙がっているというから、じゃあ一緒にやるかなぁと。

森岡:あのとき煙草を持っていてよかった(笑)。実はいまおか監督の作品は以前から追いかけていてファンだったんです。うれしかったですね。台本もすごく面白かったし、探偵ものを演じることに憧れもあったし、古井栗之助というキャラクターに出会えたことは自分の財産になったなと思います。ぜひシリーズ化をお願いします(笑)。

―いいですね、シリーズ化。栗之助のキャラクターについては?

監督:キャラクター……森岡くんには特に何も言ってないよね(笑)。衣装合わせがあんまりうまくいかなかくて、皮ジャンはどうだろうとか、ああだこうだといろいろやって。

森岡:最初に台本を頂いた時に、いわゆる探偵のイメージで、いくつか絵を描いて、こんな衣装どうでしょうって提案をさせて頂いたら、監督が「ちょっと違うねえ」って(笑)。

監督:だって(スタッフ・キャストが初めて顔を合わせる)顔合わせの時に、持ってくるんだもん。「なんだ、いきなりだなぁ」って(笑)。

森岡:(笑)。最初に提案させて頂いた時はもっとハードボイルドな感じだったんですけど、結局、最終的なイメージはキアヌ・リーヴスさんの私服。

監督:そうなの?(笑)

森岡:そうなんです(笑)。インターネットで話題になっている、ちょっとゆるい感じ。かっこいいのか、かっこわるいのか……(笑)。

監督:そうだったのか……キアヌ・リーヴスだったのか……(笑)。

(C)日本スカイウェイ

(C)日本スカイウェイ

―あの衣装でキャラクターが決まった気がします。

監督:ジャージとか、いろいろやってみたんだけど。(いわゆるハードボイルドの)パターンから外すと、衣装って難しいね。パターンでやった方がいい場合もあるんでしょうけれど。

―あのチャーミングな栗之助像は、どんな撮影から生まれたんですか?

森岡:すでに台本に愛嬌のあるキャラクターとして描かれていたので、基本的には台本どおり演じさせて頂きました。あとは、いまおかさんが「もう1回」「もう1回」って(笑)。

監督:(笑)。撮影初日が10月末で冒頭のシーンだったんだけど、雪が降ったんだよね。

森岡:台本では「川原でパンツ1丁で寝転ぶ栗之助」だったんです。でも、朝起きたら雪が降っていて、これは延期かな?って思ったんですけど(笑)。

監督:俺も延期?っていうのは思ったよ(笑)。でも、せっかくだし、ここはやろうと。でも、現場に行ったら、雪ですごいことになっていたよね。

―ロケ地はどこなんですか?

監督:荒川です、東部の。スカイツリーがある方ですね。

森岡:雪の中、寝転んで撮影しました。

バカにしてください!?(笑)

―この映画、ひらがなのタイトルが印象的です。タイトルをひらがなにしたのは?

監督:え? うん、そうねぇ……なんでだろうなぁ(笑)。

森岡:(笑)。

監督:最初は『新・探偵物語』だったんだよ。でも、他の作品と重なるとマズイからやめようと。じゃあ、『ロング・グッドバイ』から企画がスタートしているから、これでいこうか。でも、カタカナのままだとまずいしな……じゃあ、ひらがなで!って(笑)。ちょっとハードボイルドから離れるけどね、日本語だと。

森岡:雰囲気が違いますよね。

(C)日本スカイウェイ

(C)日本スカイウェイ

―監督の映画には、これまでもひらがなのタイトルがあります。

監督:パッと見てわかりやすいのがいいなと。目に飛び込んでくるじゃない?ひらがなだと。

―監督の「いまおかしんじ」というお名前も?

監督:なんかバカっぽいじゃない?ひらがなだと。バカにされたい……バカにしてくださいっていう感じ(笑)。

森岡:(笑)

監督:敷居を低くした方がいいかなと。ほら、ひらがなだと映画も簡単そうじゃない?無意識なんだけど。キャラ的に小難しいのができないので。難しい映画も撮ってみたいんですけど、教養が追いつかないので(笑)。

―森岡さんも映画を撮られますが、監督視点からご覧になったいまおか組は?

森岡:さっきの話じゃないですけど、雪が降ったら雪のシーンにしちゃうし、ロケ現場の状況次第で、それを生かして撮ってしまうんです。臨機応変にその場で作っていく感じが、国映(いまおか監督がピンク映画を撮ってきた製作会社)チームの映画作りのプロフェッショナルなところだなと。面白かったです。状況に合わせて、いかようにも撮れるというのが。

監督:あ、俺の話か(笑)。

森岡:(笑)

―何の話だと思われたんですか?(笑)

監督:いや森岡くんが監督する時の話かと思ったの。へえ~そうなのか~と思って聞いていたら、俺の現場の話だった(笑)。

森岡:(笑)

監督:まぁ、晴れのシーンって台本で決めたら、晴れで撮るってこだわってもいいんだけど。それはキャスティングでも何でもね。でも、あんまり自分を信用できないというか……完璧にやるよりかは、いろいろ想定外のものを呼び込んだ方が面白いんじゃないかと思うんだよね。せっかくなんだから、めちゃくちゃになった方がいいじゃん。

森岡:起きたことに反応して受け容れていくみたいな。

監督:そうそう。

森岡:合気道みたい。もしかしたら『酔拳』の方が近いかも(笑)。

―ジャッキー・チェンの『酔拳』(笑)。達人ですね。

監督:それね、俺、6年前に『UNDERWATER LOVE ―おんなの河童―』という映画をクリストファー・ドイル(ウォン・カーウァイ作品などで世界的に知られるカメラマン)とやったんだけど、彼はテストが大嫌いなんですよ。俺はテストしたい方なんだけど、「いいから(テストなしの本番でカメラを)回そう」って言うの。その代り、(同じ場面を)何本でも回すんです。「何が起きるかわからないものを撮りたいんだ」って。「設計図どおりに撮ったってつまらない。どんどん思いついたものを撮っていけばいいじゃないか」って。ああ、なるほどなぁって。

森岡:今、聞いていて思い出したのですが、いまおか監督の現場はテストが多いんです。多いんだけど、本番は1回でOKだったりして、不思議な緊張感があるんです。

監督:癖なんだよ、多分。フィルムでずっと撮ってきたから。そんなに回したら、フィルムがもったいないじゃない(笑)? だから、どうしても、そういうリズムになるんだよね。飽きるまでテストする(笑)。やりすぎて、飽きて、誰もやる気がなくなった頃に(本番でカメラを)回す(笑)。テストがよかったりすると、回しておけばよかった……といつも思う。

森岡:川瀬陽太さんとのシーンは、特にテストが多かったような気がします。

監督:最初だからね。

森岡:10回、20回ぐらい重ねましたよね。

監督:さっき言った雪のシーンね。

森岡:何回もテストを繰り返す中で、3回前がよかったとか、7回前の感じでって言われて、よくわからなくなってきちゃって(笑)。

監督:川ちゃんが怒ってたもん。「もういいよ、変わんないよ、そんなに言われたって」って(笑)。

森岡:それで回し始めると一発で「ハイ、OK」ってなるから、(いまおか監督の現場は)あ、こういう感じなんだって。そこがすごく不思議で面白いんです。

(C)日本スカイウェイ

(C)日本スカイウェイ

―監督の頭の中には3回前とか7回前とか、記憶が鮮明に残っているんですか?

監督:いや、あまりない(笑)。

森岡:(笑)

監督:完璧なシーンってないんですよ。手前の二人の芝居はいいけど、別のところがちょっとダメだなとか。芝居はよかったのに、曇ってきたとか。全部がOKにならないといけないとしたら、ワンカットも回せないんです。だから、最低限、ここだけは守るというところを探す。あとはめちゃくちゃでもいいというか。こっちとあっちで人がいたら、あっちは諦めるとか(笑)。コイツのシーンは、この台詞だけ、ちゃんと撮れればいいとか。ワンシーンしか出ない人がいたら、この場面はコイツを印象づけて、後はいいやとか(笑)。役者にも飽きっぽくて何度もテストをやれない人もいれば、テストやる度によくなるタイプがいて、いろいろだから。どっちをとるか、何をとるかというのが難しい。

―森岡さんはどちらのタイプなんですか?

監督:どうなの?(笑)

森岡:常にいいものを出していきたいです。監督の現場は、さっきのひらがなの話じゃないですけど、皆、すごくリラックスできて、いい意味で肩の力の抜けた空気があって、それが心地よかったです。

―本当に肩の力の抜けた感じ、経験の少ない監督が撮ったら、こうはならないんじゃないかという緩やかな面白さ、豊かな感じがありますよね。現場で何が起きているのか気になります。

監督:大したことは起きてない(笑)。

森岡:そこがすごいんだと思うんです。映画の撮影って、どうしても大したことをしようとしてしまうんですよ。大したことをしようとしないって実はすごく難しいんです。

―演技と思わせない、さり気なさがいいんですよね。役者さんもすごく楽しそうで。撮る時に心に決めていることはあるんですか?

監督:最近はありますよ。引き算でなく、足し算でやろうと。前はわりと引き算だったんです。いろいろやって、うまくいかなかったら、何もしないで、ただ二人そこにいてしゃべっているとか。一周回って、そうなるという感じだったんですけど。なんかね、それだと想定内じゃないですか。だから、失敗してもいいから、なるべく足す。最近はそういう風にしています。

―想定外を呼び込むってことですね。

監督:そう。何をやっても案外、伝わらないものなんです、細かなことっていうのは。だから、本当に足して足して足しても、まだ伝わらない。その「足し」をどういう風にするかっていうのが、最近考えることですね。どこかで想定を裏切る方向に行けば面白いなと。「これ、大丈夫!?」みたいなのを常にやる(笑)。「これは……やばいだろう」みたいなのをやる。やばいから、やる(笑)。

―今回もあったんですか?

監督:いっぱいありましたね。

―あの…どうやばいんでしょうか?(笑)

監督:どうやばい(笑)。「あ、すべるな……」っていう感じ、やばいっていうのは。すべってもいいやみたいな。

―それもあって、テストをたくさんやるんですね。

監督:そうですね。何を足すかみたいな。

―いろいろ試すことができて、贅沢な現場ですね。

監督:まあね、そんなにやれないんだけど。やれる範囲で、ですけどね。

―この映画、女優さんもすごく魅力的です。女優さんの演出には、長年の監督生活で培われた秘訣が?

監督:いや、ないですけど……なんていうんですかね、女の人の方が好きだなぁって思いますね(笑)。なんかフツーに。男は寄りたくないなぁと(笑)。どっちかっていうとね。

森岡:(笑)

監督:女の人の方が肝が据わっている……とまでは言わないですけど、好きにやるようになるタイミングが男よりも早いですよね。「好きにやって」と言ったら、女の人はすぐに好きにやりはじめる。男優陣もやるんですけど、ちょっとおずおずした感じというか。ま、そういうところが好きなんですけどね。やっとる、やっとる。ああ、やっちゃったよ、みたいな(笑)。そこまでしなくていいのにって(笑)。

森岡:おずおずながら、やっちゃったシーン……あったかなぁ。女性がいっぱいいる風俗店のシーンは、けっこうやっちゃってると思います。勝手にポラロイド写真を頭に付けてみたり、わりと……(笑)。あと、栗之助はよく鼻歌を歌うんですけど。「即興で、なんか歌って」という監督からの無茶ぶりが(笑)。10シーンぐらい撮りました。

(C)日本スカイウェイ

(C)日本スカイウェイ

―そういう役者さんを見ながら、監督は?

監督:好きにやって下さい!もっともっとやって下さい!という気持ちです。

森岡:あと、栗之助が追っている女性の過去を知る男性を水澤(紳吾)さんがやられているんですけど、アパートに尋ねてくるシーンの撮影もすごかった。

監督:水澤くんはテストするたびに毎回、まるっきり動きが違うからね。自分でも制御できない(笑)。

森岡:(笑)

監督:役で髪の毛を茶色にしてもらったんですけど、やたら職務質問に会うようになったって(笑)。「やばいですよ、1日に2回もあいましたよ」って。

森岡:完璧な役作り(笑)。

監督:あそこはテストもだけど、テイク(本番)もけっこうやったんだよね。7~8テイクぐらい。

―今はデジタルで撮っているから、撮った方がいいですもんね。

監督:そうなんですよね。なかなか慣れないですけど。

―釣り堀のシーンも印象的です。あれ、都内なんですか?

監督:そう、都内にあるんですよ。テストの段階で、釣れちゃったことがあって(笑)。あ、釣れてる!廻しとけばよかったって。あれ、笑ったな。

森岡:(笑)

シリーズ化するとしたら……

―チャンドラーの『ロング・グッドバイ』と同じく、この映画も私立探偵の栗之助が亡くなった女性の謎を追う中で話が進んでいきます。監督の映画では亡くなった人が、何気なく現実世界で共存している。そのやさしい感じがいいなと思うんです。

監督:女性はもう亡くなっているんだけど、皆が彼女の悪口を言う。でも、栗之助だけは自業自得だと言いながら、彼女とちょっと心を通わせる。それは彼しかできないことで、そこがこの映画の肝かなと。そこさえうまく伝われば、大した映画ではないんですけど、観てくれた人が持ち帰れるものがあるかなと思うんですけどね。

―シリーズ化するとしたら、栗之助の最後は決めているんですか?

監督:決めてないです(笑)。ただ、最初にこの映画をやる時、プロットは5本ぐらい作ってあって、今回の映画は2本目ぐらいのプロットなんです。1本目は妹が出てくるんですよ。栗之助の妹が結婚するっていう。

―ああ、だから今回の作品で、妹さんはお腹が大きいんですね。

監督:そうそう。その結婚で、栗之助と妹が再会するんです。(育った)施設から逃げ出して十何年も会っていなかったのが。最後はどうなるのかなぁ。

―じゃあ、エピソード・ゼロみたいなこともできるんですね。

監督:そうそう。友だちにはめられる話とか、プロットはいくつかあるんです。今回はわりとソフトタッチだから、ちょっと笑えねぇよみたいなハードな話もやりたいよね。ドラマ『探偵物語』もずっと笑えるけど、最終話だけやたらシビアじゃない?やっぱりコイツ、怖いヤツだったんだっていうのがわかる。最終話はそういうのもいいかもしれない。栗之助がなんか急に殺しまくっちゃうとか(笑)。

(C)日本スカイウェイ

(C)日本スカイウェイ

―森岡さんはどうなってほしいですか?

森岡:一度育った愛着がある役なので、大切にしていきたいです。どうなるのが、栗之助らしいのかなぁ。なんだかんだいって最後まで生き延びちゃう感じがしますけどね。AIとと闘うとかはどうですか(笑)?

監督:うーん、そうねぇ。もっとヒドイ目に遭わないとね、栗之助は。

―ハードボイルドですもんね。日本でハードボイルド映画をやる時、やっちゃいけないことってあるんですか?

監督:やっちゃいけないことはないと思いますけどね。

―フィリップ・マーロウを日本でそのままやったら、きっと、ちょっと浮くじゃないですか。今回の見事な着地感は何だろうと。

監督:あんまりいい話にしないとか、それぐらいはあるけど。お涙ちょうだい的なのはやめようよと。あとは、片隅に生きている感。皆そうなんですけど、ヒーローじゃなくて、日の当たらない場所でこっそり生きている人たちが、それでも悦びも悲しみもあってというところをすくいとれるといいかなと。そういう感じはあるんですけどね。

―こういう作品は、どこか知っている懐かしさというか、お約束でやってもらいたいことと、逆に新しさを求めるところ、観ている側としては両方あるんですけど、監督の中ではどうお考えですか?

監督:両方あっていいと思うんです。でも、やっぱり新しいもの見たいですけどね。なかなか難しいですけど。まぁ、ある種のプログラム・ピクチャーの匂いというか、そういうのがないとね。あまりにも堅苦しくても、あれだし。

―そこが楽しいところですよね。

監督:そう。なんか面白がれればいいと思うんですけど。作る方も観る方も、演る方もスタッフも。変な話だなと思いながらも(笑)。

―そういうプログラム・ピクチャーの楽しさって、やはり熟練の監督ならではという気がします。

監督:もうね、錆びきってますからね(笑)。若い監督の方が面白いと思うけどね、エネルギー的には。エネルギーないですから(笑)。そこはもうしょうがないですからね。

―監督の中でエネルギーのピークは?

監督:30代ぐらいですかね。

―その頃と映画の撮り方、撮影の臨み方は違いますか?

監督:勘違いだと思うんですけど、若い頃はこの1本を撮ったら死んでもいいと思いなら作るみたいな感じでした。最初の3年ぐらいは。だから、こだわりも色々あって。まぁ、結局は範囲内で作っているんですけどね。何百万も借金して作るとか、予算を10倍ぐらいオーバーしたりとか、そこまでにはならずに一応やれてきましたけど。でも、このままのやり方では撮り続けていけないなという転換点がどこかであって、じゃあどうやって作り続けていくんだろうと。そういうのを考えながらやってきている感じですかね。まあ、だけどね、その時々で興味のあることを、やっている感じです。自分でそんなに制御できないですけど。

―逆に力が抜けた方が、予想外のものを呼び込めたりするものですか?

監督:人によって違うと思うんですけどね。年齢に関係なくエネルギッシュな方はいっぱいいますから。うっとうしいぐらい熱量のある人が(笑)。でもなんか、俺はマジメにやると失敗すると自分で思っているので。マジメになっちゃイカン。ずっとフザけてないと面白くならない(笑)。

森岡:一生懸命フザける(笑)。

監督:マジメにやってんじゃねぇよという(笑)。「テーマが」なんて、何言っているんだよという立ち位置にいないと、つまらないような気がする。

―ということは、監督はすごくマジメな方なんですね。

監督:マジメっていうかね、小市民的というかね。放っておくと、ものすごく普通のことしかできないんですよ。だから、怒られるようなことをしないと(笑)。だって映画ってそうじゃないですか。怒られたり、問題になったりしないと、あまり意味がない。なかなか難しいですけど。非難されるぐらいのインパクトがないとね。でもまぁ、1本1本違うしね、自分のやり方を模索しながら。

(C)日本スカイウェイ

(C)日本スカイウェイ

―今後の展望は、まずシリーズ化ですね。

監督:シリーズやります。もうね、いろいろやります。

―それ、書いておきます(笑)。うれしい一言が伺えたところでシメの質問を。目の前にいる森岡さんの役者としての魅力をお聞かせください。

森岡:なんですか急に(笑)

監督:魅力ね…そんなに二枚目でもないし、かといって三枚目でもないし……どこにでもいる……あれ、褒めてねえな(笑)。

森岡:いいですよ、そんなに絞り出さなくても(笑)。

監督:でもなんか……。うん。なんだろうなぁ。主役の方がいいんじゃないかな、脇役よりも。主役をやったらいいんじゃないかと思います。

―主役をやったらいい、というのは華があると?

監督:華?……うん、魅力なぁ……(笑)。自分の魅力は自分で言えないよな。人に言ってもらわないとな。

森岡:そうですね(笑)。自分のこと、わからないですね。

―では、監督の魅力は?

森岡:監督の魅力はやっぱり肩肘張っていないという風通しのよさ。そういうところが、いちばん、いまおか監督の魅力かと思います。

監督:何でもやれそうな範囲が広い!だから、主役って感じなのかな……一生懸命、褒めるところを探している(笑)。いろいろな色に染まれる感じかなぁ。

―最高の褒め言葉ですね。森岡さんの今後も楽しみです。

監督:絞ってみました(笑)。

(取材・撮影・文:多賀谷浩子)


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