『ムーンライト』は「新しい時代のブラック・ムービー」―宇野維正×西寺郷太がDVD&Blu-ray発売記念イベントで熱いトーク

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(写真左から)宇野維正、西寺郷太

9月21日(木)、LOFT9 SHIBUYAにて第89回アカデミー賞作品賞含む3部門を受賞した『ムーンライト』のDVD&Blu-ray発売記念イベントが行われ、映画・音楽ジャーナリストの宇野維正NONA REEVESのボーカルで音楽プロデューサーの西寺郷太が登壇。映画の感想はもちろん、アメリカの映画・音楽事情について語り合った。

『ムーンライト』が画期的だったのはアートとしても評価されたこと(宇野)

宇野は「いろんな意味でネクストレベル感がある。70年代にブラックエクスプロイテーション映画が商業的に成功してきた一方で、『ムーンライト』が画期的だったのはアートとしても評価されたこと」と指摘。また「監督や出てる人が全員黒人。だけれど、プロデューサーのアデル・ロマンスキーや製作総指揮のブラッド・ピット、音楽のニコラス・ブリテルも白人。そういう意味で、新しい時代のブラック・ムービーと言える。今の映画界で才能のある人たちが作品を支えている」と現状のアメリカ映画界について語った。

宇野維正

宇野維正

西寺は「自分が認められないものや、異なる人種、異なる考え方にも様々なパターンや状況があるということをこの作品は描いていて、教えてくれている。それは今最も必要とされていること。」と語った。また、主人公を年代別に3人の違う役者が演じている点について、「あえて(顔が)似た人を選んでいないところ、リハを入念にやらず一回目のテイクでオーケーした点など、脚本の追い込みは散々した上で、瞬間を感覚的にパンと押さえたりもする。その混ぜ合わせ方の妙をすごく感じる映画」と演出の点から本作の印象を語った。

監督のバリー・ジェンキンスがケンドリック・ラマーにシンパシーを感じている(西寺)

本作の後半で舞台がアトランタに移ったことに触れながら、宇野は「映画と音楽において今、世界の中心はアトランタ」としたうえで、「アメリカでは映画を撮影する際、舞台が特定の場所に限定されない場合は、税制優遇のあるジョージア州かルイジアナ州で撮影している。」と語った。音楽については「アメリカのブラック・ミュージックの世界で、今、男性ソロアーティストでは、ケンドリック・ラマー、チャンス・ザ・ラッパー、ドナルド・グローバー、フランク・オーシャンという4人の天才がいる。また、ケンドリック・ラマーは『ムーンライト』に影響を与えている。映画冒頭で流れる“Every N****r Is a Star”はケンドリック・ラマーのアルバム『To Pimp A Butterfly』の始まりと同じ。監督も同じ曲で始まりたかったと言っている」と本作と音楽の共通点について話した。

西寺郷太

西寺郷太

一方、西寺も「監督のバリー・ジェンキンスがケンドリック・ラマーにシンパシーを感じていて、ギャングスター的な映画ではなくこういう映画の一曲目にケンドリック・ラマーを引用しているのは、すごく符号している。また『ムーンライト』の主人公がフランク・オーシャンのようにも思える。今の音楽界の天才たちに映画への出演をオファーしてもいいのにそれはせず、でも『ムーンライト』とリンクしている。その加減は絶妙ですね。」と本作の音楽の引用の妙を語った。

最後は「改めて観ることで発見のある映画」(西寺氏)、「DVDで初めて観る人も是非楽しんでほしい」(宇野氏)とコメントし、2時間のトークイベントを締めくくった。


映画『ムーンライト』
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