「曲を通して役作りをさせてもらった」『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章「純愛篇」』神田沙也加インタビュー

神田沙也加

神田沙也加

1978年に公開された劇場用映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』を基に、新たな解釈で描く新シリーズの最新作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章「純愛篇」』が10月14日より劇場上映を開始。『宇宙戦艦ヤマト 復活篇 ディレクターズカット』でアニメーションディレクターを務めた羽原信義が監督、副監督を『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』の小林誠、『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』などで知られる小説家・福井晴敏がシリーズ構成を担当。キャスト陣も古代進役の小野大輔、森雪役の桑島法子をはじめ、豪華なメンバーがそろう。

今回、物語の中でも重要な役どころを担うテレサ役の声優を担当するのが神田沙也加。シリーズ序盤での登場シーンは控えめだが、物語を観て強く感じたことがあるという。

「昔からのファンの方が“胸アツ”となる部分がたくさんあったりする中、リメイク版ではあるものの“オリジナルと呼んでもいいと思います」

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

そんな熱い思いを語る神田が演じるテレサは、ひと言で説明するのが難しい役だが、「女神にはやっぱりなれないじゃないですか」と神田は笑いつつ、役作りを語る。

「たとえば“魔法が使える少女”のように、キャラクターがはっきりしているならもっと考えようもあるかもしれませんが、テレサはもっと神秘的な存在であり、立ち位置が難しいキャラクター。イメージで補てんしなければいけないところが多かったですね」

人間ではない存在を演じる難しさ。そこには現場での指示や流れを汲み取りながら作り上げるという独特の役作りがあり、アフレコ当時をこう振り返る。

「最初のアフレコのときは、監督が仰ることを聞いてすぐ実践できるようにしようという柔軟さ勝負みたいなところがありました。特に『違う次元を生きている人という“ただ者”じゃない感を意識しつつ、あまり抑揚をつけないようにしゃべってください』と監督は仰っていたのですが、抑えた“引き算の演技”はあまり経験がなく未知の領域であり、勉強になりました」

神田演じるテレサ(宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第一章「嚆矢篇」より)(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

神田演じるテレサ(宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第一章「嚆矢篇」より)(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

声優業に限らずとも、何かを引きながら作り上げる行為が簡単ではないことは想像に難くない。どんなポイントを意識したのだろうか。

「(テレサは)引いていくわりには大事なことを言ったり、古代さんたちの行動の源になったりするような残る言葉を発したりもします。そのバランスが難しいですね」

神田はミュージカル女優や歌手として活躍もしているが、子供の頃から一番なりたかった職業は声優だという。

「最初に声優になりたいと思ったきっかけは、ゲームの『ときめきメモリアル』なんです。小学生の頃は、好きなアニメやゲームの音を消して自分の声を当てるという遊びをよくやっていましたが、そういうときはグラフィックが助けてくれるので、あたかも声優になった感じがしていました(笑)」

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

子供の頃は『美少女戦士セーラームーン』『ママレード・ボーイ』『魔法騎士レイアース』といった作品が好きだったという神田は、微笑ましいエピソードを明かす。しかし声優としての勉強を進めていくうちに、多くのことに気付かされたと語る。

「声優になりたいとワクワクしてるときは、とても強気(笑)。でも学び出すと、ひと言では言えないし、見て学ぶという要素がとても多いジャンル。緻密なコンロールの上に成り立っている、貴重な声というパートであることをわかってアニメを観ると、本当にすごいなって。自分にとってはいつまでも難しいジャンルですが、(声優というものが)現実的に見えてくるようにはなってきました」

近年では声優活動も増えてきているが、そのことについてはこう話す。

「監督をはじめ制作の方は、ブースの外から完成図を頭の中でイメージされた状態でマイクを通した声を聞くので、(アフレコでは)実態がない段階から先回りして録らなければいけません。その読み込みの深さを試される空間な気がしていて、自分はまだまだ足りないな、と。難しいジャンルというイメージが拭えずにいるからこそ、ずっと初心で『声優志望です』と言い続けられるところはあります」

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

観ている側からすれば、映画『アナと雪の女王』のほか、数々の劇場版アニメやテレビアニメにも出演していて順風満帆な印象を受けるが、当人は初心を忘れずにいるだけでなく、「どの時点で自分が声優だと思えるのかが想像つかない」というから驚きだ。

「声の仕事はキャラクターに自分が持てる全力を1回1回注ぐべき値が高いのか、毎回、独立した試練であり、独立した勉強の場という感じがしています。今の時代は声優さんの名前からアニメの話が始まったり、ご本人名義でCDを出されたする方もいらっしゃって、いろんなことができる職業というイメージがあります。そうした中、現場で知っている方だったり、一度ご一緒したスタッフさんとの再会を経て(声優が自分の)“居場所”だと思えていくのかな、と」

好きなことを仕事にしていく。それは一見、うらやましくも感じるが、その道を進む人にしかわからない苦難がいくつも待ち構えているものだ。

「声優は最初は『なりたい!』という純粋で純度の高いところから入りましたが、飛び込んだら本当に難しくて……。今は『これを知りたい』という、職としての探究心みたいなものが動かしている感じがします。好きだから続けていけるかもわからないですし、結果を出さないと次につながっていかない。そういうものに逃げずに向き合うという意味では、負けず嫌いな部分がきっと自分の中にあり、好きというものの裏にいるんだろうなって感じるときがあります」

そう話す神田は本シリーズの第二章「発進篇」で、エンディング主題歌「月の鏡」(10月11日リリース)をテレサとして歌っている。

「キャラクターソング(以下、キャラソン)は、物語のキャラクターが、トーンや声、キャラクター性はそのままに、音楽というフィールドで生きていることが聴いていて面白い。テレサの声のイメージが皆さんにあまり印象がない時期にレコーディングしたので、そういう意味では自由度は高かったですね。歌っている時間の方が本編に登場していた時間よりも長いので、1曲を通して役作りをさせてもらった感じもあります」

絶妙な時期に起用されたこともあり、テレサのキャラソンとしても、アーティスト・神田の曲としても、どちらの楽しみ方も可能にしている。

「もちろんキャラソンですが、私がイメージするテレサや『ヤマト』というものを重ね合わせたり入れ込むことができる自由度があり、結果的には(テレサと自分という)両方の要素はあったと思います。キャラクターがあまり登場していない段階でキャラソンをやらせてもらえたという“ぜいたく”さですね。歌というのが、時に聴いた人にビジュアルが伴っていなくてもこんなに情報量がいっぱいあって説明できることを、『月の鏡』を通して知りました」

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

神田自身も「こういう形で役作りを助けてもらうのは初めてだった」と明かすように、テレサというキャラクターを作り上げていく中で、『月の鏡』という楽曲が果たした役割は大きいようだ。今後は、いよいよ物語へと深く関わっていくことになるが、どのように感じているのだろうか。

「まずは、『(出番を)お待ち申し上げておりました』という気持ちですね(笑)。もちろん、それはとてもプレッシャーがかかる現場ではありますが……。旧作のセリフや演出など『観た! 観た!』というゾクゾク感がありつつも、やっぱり『2202』はもはや“オリジナル”といえるような完成度ですから、最新版の“オリジナルのテレサ”ということに、最終的には自信が持てようになることが目標です。先輩方の中で萎縮せずにいるのだけでも精一杯な気がするので(笑)」

(取材・文:遠藤政樹)


映画『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第三章「純愛篇」
2017年10月14日(土)より全国20館にて劇場上映中【3週間限定】
​バンダイビジュアルクラブ・上映劇場にてBlu-ray特別限定版 発売!

<第三章「純愛篇」CAST>
古代 進:小野大輔/森 雪:桑島法子/島 大介:鈴村健一/真田志郎:大塚芳忠/南部康雄:赤羽根健治
相原義一:國分和人/太田健二郎:千葉優輝/徳川彦左衛門:麦人/西条未来:森谷里美/アナライザー:チョー
佐渡酒造:千葉 繁/桂木透子:甲斐田裕子/加藤三郎:細谷佳正/山本 玲:田中理恵/篠原弘樹:平川大輔
斉藤 始:東地宏樹/永倉志織:雨谷和砂/沖田十三:菅生隆之/土方 竜:石塚運昇/バレル:てらそままさき
キーマン:神谷浩史/ズォーダー:手塚秀彰

<STAFF>
製作総指揮:西﨑彰司/原作:西﨑義展/監督:羽原信義/シリーズ構成:福井晴敏/副監督:小林 誠
キャラクターデザイン:結城信輝/ゲストキャラクター・プロップデザイン:山岡信一
メカニカルデザイン:玉盛順一朗・石津泰志/美術監督:谷岡善王/色彩設計:福谷直樹/撮影監督:堀野大輔
編集:小野寺絵美/音楽:宮川彬良・宮川 泰/音響監督:吉田知弘/音響効果:西村睦弘
オリジナルサウンドエフェクト:柏原 満/CGディレクター:木村太一/アニメーション制作:XEBEC
製作:宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

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