『J:ビヨンド・フラメンコ』撮影監督で振り返るスペイン映画界の巨匠カルロス・サウラのダンス映画

カルロス・サウラ/(C)TELEFONICA STUDIOS, DTS, TRESMONSTRUOS MEDIA, TRESMONSTRUOS PC, ARAGÓN TELEVISIÓN

カルロス・サウラ/(C)TELEFONICA STUDIOS, DTS, TRESMONSTRUOS MEDIA, TRESMONSTRUOS PC, ARAGÓN TELEVISIÓN

スペインのアラゴン地方で生まれ、フラメンコのルーツとも言われる民俗舞踊「ホタ」の魅力を、多くのダンサー、ミュージシャンが登場し、スペインの巨匠カルロス・サウラが迫る至福のダンス&音楽エンターテインメント『J:ビヨンド・フラメンコ』が11月25日より日本公開となるスペイン映画界の巨匠カルロス・サウラ。新作公開の前に、これまで彼が30年間培ってきたダンス映画の代表作とともにおさらいしていこう。

初期:撮影監督テオドロ・エスカミーリャ

75年の『カラスの飼育』以来、サウラとは全部で9本の作品で組んだ名カメラマン。35mmのフィルム撮影の時代にも関わらず、ダンスと一体化したかのよう見事なカメラワークはダンスファンをもうならせた。アントニオ・ガデスと組んだフラメンコ三部作が有名。

初期3作

初期3作

(左から)『血の婚礼』(81 ※日本公開は85年)、『カルメン』(83)、『恋は魔術師』(86)。『カルメン』は日本で初めて公開されたサウラ作品。音楽は昨年ドキュメンタリー映画『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』が公開されたパコ・デ・ルシア。ちなみに『J:ビヨンド・フラメンコ』には、パコの後継者、カニサレスも出演。

中期:撮影監督ヴィットリオ・ストラーロ

アカデミー撮影賞を3度受賞している映画ファンには説明するまでもないイタリア出身の名カメラマン。サウラとは以下の作品を含め6本仕事している。有名な言葉に「光で書く」(Writing with Light)がある通り、「光の魔術師」と称されライティングにこだわった流麗な映像がすばらしい。

『フラメンコ・フラメンコ』

『フラメンコ・フラメンコ』

『フラメンコ』(95)、『タンゴ』(98)、『フラメンコ・フラメンコ』(10)。『フラメンコ』はアキン・コルテス、メルチェ・エスメラルダ、マリア・パヘスなどを迎え日本でもフラメンコ熱に火付け役ともなった作品。

おまけ

『ゴヤ』(99)。ダンス映画ではないが、ヴィットリオ・ストラーロ撮影でホタの第一人者、ペドロ・アリソンが出演しており、『J:ビヨンド・フラメンコ』でもオマージュが捧げられている。

最新作『J:ビヨンド・フラメンコ』 撮影:パコ・ベルダ

撮影機材は、キャノンの『EOS C300 MarkII』。水谷豊初監督作品の『TAP-THE LAST SHOW-』でも使われている。監督にとってデジタルでの映画作品は本作で2本目(日本では未公開の「ZONDA」(2015)がデジタル撮影)。

(C)TELEFONICA STUDIOS, DTS, TRESMONSTRUOS MEDIA, TRESMONSTRUOS PC, ARAGÓN TELEVISIÓN

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カルロス・サウラ監督はパコ・ベルダとの仕事についてこう語る。

「パコ・ベルダはとてもまじめで、プロ意識が高い男だ。バレンシアで上演したオペラ『カルメン』や舞台でも一緒に仕事をした。そして『J:ビヨンド・フラメンコ』でもすばらしい仕事をしてくれている。いつだって撮影は大変な仕事だ。どんなふうに撮りたいか理解してもらうのが大変だし、一見簡単そうに見えるシーンで全て理解したとしても、例えば照明の当て方が難しい。アーティストが踊ったり歌ったりしてもセットに映えないことがある。あるいはそのアーティストをクローズアップする時は背景の質を考慮する必要がある。簡単なことじゃない。撮影そして照明において異なるテクニックが必要なんだ。僕に言わせれば曲の1つ1つがひとつの芝居で、それぞれが独立した作品なんだ。それぞれが完全に独立した作品で、どの曲にも一曲のなかで起承転結がある。パコはよく理解してそれぞれの特徴を活かした撮影を行ってくれた。踊りをダイナミックに撮ったテオドロ、見事なライティングのヴィットリオらにも劣らない物語性を映像に持ち込んでくれて、感謝している」

また、本作でも見える鏡を多用した撮影については「わたしがよく行う形式の撮影、この装飾というか、アルミにプラスチック加工した物による組み立ては、とても容易なんだよ。カメラを動かす時に、置いたり外したり、投影するのに照明を調整したりするのにね。とてもいいアイデアだと思う。大昔に『Sevillanas(日本未公開)』で思い立った方法だが、それ以降ずっと活用しているよ。このような芸術的なドキュメンタリーを7~8本、こんな形で作った。このシステムをオペラや演劇でも使用した。なぜなら豪華で、シンプルだから。複雑なことは必要ない」とコメントしている。


映画『J:ビヨンド・フラメンコ』
11月25日(土)、Bunkamuraル・シネマ他、全国順次ロードショー

監督:カルロス・サウラ
出演:サラ・バラス/カニサレス/カルロス・ヌニェス/ミゲル・アンヘル・ベルナ
原題:JOTA de Saura/英題:J:Beyond Flamenco/2016年/スペイン/スペイン語/90分/ビスタサイズ/5.1ch/DCP/カラー&モノクロ
日本語字幕:渡部美貴/字幕監修:小倉真理子
後援:スペイン大使館/セルバンテス文化センター東京/一般社団法人 日本フラメンコ協会/公益財団法人 日本スペイン協会
配給:レスぺ

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